新・警視庁捜査一課9係2
(2010年7月期・テレ朝水曜21時枠)

脚本/深沢正樹(1)(5)、岡崎由紀子(2)(9)、波多野都(3)
徳永高彦(4)、ハセベバクシンオー(6)、瀧川晃代(7)
真部千晶(8)
監督/杉村六郎

http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari/


第9話 二つの血痕
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捜査一課9係は通報を受けて現場へと直行する。
被害者は佐竹菜穂子(26歳)。夕べの9時過ぎに匿名で110番が
掛かってきたので調べると、女性が部屋で亡くなっていたと
いう。顔には殴られたような跡が有り、その反動でテーブル
に後頭部を打ち付けて亡くなった可能性が高かった。
床に敷き詰められていたカーペットが新品である事に加納は
気がつく。
管理人によると菜穂子は女優さんとの事だが、テレビでは見た
事がないという。若い男性と住んでいた様だが、男は夜中に
ギターを弾くなど騒がしい人物だったという。
被害者の携帯電話を調べると純一と書かれた人物にメールを
していることから同居しているのは彼ではないかという。

加納はベッド脇から片山浩が演出する演劇"ハムレット"の台本
が出てくる。台本には多数の書き込みがしてある事から、
彼女は出演者ではないかと推察する。部屋にはハムレットの
登場人物、オフィーリアのリトグラフが飾られていた。

住民に話しを聞くとストーカーらしき人物が存在していたという。
60歳代の大柄の男性が217号室の窓を見上げているのを目撃
さけていた。

片山浩が率いるレオーネ座の稽古現場へと足を運ぶ。
そこでスタッフをしている太田亜季から話しを聞くと、
彼女は本木梓という名前でハムレット劇に出演するという。
突然ヒロインに抜擢されたとの事で、片山が有るときラジオド
ラマに出演している彼女を聞いて抜擢したとのことだった。
7時までは稽古し、その後居酒屋へ飲みに行ったが、彼女は30分
くらいで帰宅したという。メールでは純一に対して深夜まで
用事があると書かれていた事を考えると、その後彼女は何処へ
行っていたのか?

検視の結果、死亡推定時刻は午後10時から12時だと分かり、
頭部挫傷にによる志望だと判明する。あざは顔だけでなく、
身体中から見つかっていることから、同居している彼から常習
的に殴られていた可能性があるという。男性の名も判明し、
彼は青森出身の自称ミュージシャン、江藤純一(23歳)だと
分かる。江藤からのメールを解析すると別れ話をしている様な
形跡が見つかる。彼女に大役が回ってきて取り残されたと思った
のか?

青柳は片山浩の写真入りのポスターを見つけて、住民が目撃した
ストーカーは彼だと分かる。片山の元に行き事情を聞くと、
彼女にゾッコンだったが、下品な想像は辞めてくれとして、
男女の関係がない事を告げる。
青柳たちはそこで片山の声紋照合のためのデータと指紋を採取
して帰る。

一方部屋を捜索していた加納と浅輪は、貸金庫の鍵と、クロコ
ダイルレコードと書かれたレコード店のレコードが多数見つかる。
クロコダイルに行き話を聞くと、主人の松尾謙太朗郎は覚えが
無いと言うがスタッフの一人がそのレコードを買っていったのは
女性だと言う。彼氏は毎週五反田の駅前でライブをしている事を
知る。

加納たちは双葉銀行の貸金庫に鍵を使って何を預けていたのか
調べに行く。するとあおば声優学校時代に卒業演劇に出演した
時のDVDと2千万円の現金が見つかる。

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女優を目指している女性が自宅で後頭部を殴打されて亡くなる。
容疑者は同居している男性・江藤純一。彼は彼女の男性関係を
不審に思い常習的に暴力を奮っていた事が判明する。

被害者の女性に対する不自然な形の人間関係。
その内の誰が殺害するだけの動機を持ち合わせているのか。

鹿児島から女優目指して出てきた佐竹菜穂子役の原田佳奈さんが
とても純粋で清潔感に溢れる役で好演したと思う。
そんな彼女にも暗い過去があり、出逢うべき人物を誤った故に
自ら犯罪を犯し殺害される。

ドラマとしては、脚本家が仕掛けた実生活に於けるシナリオで、
テレビや映画界で受け入れられない彼が、実生活に於いて
そんな不満を演出すべくシナリオを作り、現実とシナリオの中
の自分とが倒錯を起こして、自ら犯行を犯してしまう。

騙されていると分かっても投資だとして、罪に問おうとはしない
山村清志とのやりとりは、上手く騙し騙されるだけの絆を
短い時間の中で描けていたし、シナリオの中に生きていた彼女が
現実へと呼び戻されるだけの関係性を描けていたと思う。
最初の出会いが彼ならば、この被害者の菜穂子も違った人生を
歩むことになったのだろうね。

どうしても最終的には自供頼みの所が有るけれど、どの人物
にも裏の側面と表の側面がバランスよく描かれて居て、それな
りに犯人像として当てはまるものが有った。
比較的早い段階で自供が成立した後での、反転したシナリオだ
った事もあり、また違った感覚でドラマを観ることが出来た。

人との出会いが将来を左右するという複雑なものが有った。
菜穂子に近づく者が、良い人か悪い人か対照的に分かれている
所が面白い。


加納倫太郎 …… 渡瀬恒彦 (警部)
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (巡査)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (巡査部長)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (警部補)
青柳靖 …… 吹越満 (警部補)
矢沢英明 …… 田口浩正 (巡査部長)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (東京都監察医務院に勤務する監察医) 
石川倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の彼女)
広岡巧 …… 新貝文規 (検死医)

佐竹菜穂子 …… 原田佳奈 (26歳、女優志望)
山村清志 …… 渡辺哲 (年金生活者)
片山治 …… ベンガル (演劇の演出家)
松尾謙太郎 …… 大村波彦 (ライブハウス"クロコダイル")
江藤純一 …… 篠田光亮 (自称ミュージシャン)
太田亜季 …… 山田キヌヲ (演劇スタッフ)
戸田愛子 …… かでなれおん (岸商店で働くおっかけ)

山本雅子、村上新悟、山内理沙、外波山流太


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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