宿命1969-2010
〜ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京〜

原作/楡周平
脚本/坂上かつえ
音楽/長谷部徹、AudioHighs
チーフプロデューサー/森山浩一
プロデューサー/柴田聡、島川博篤、佐藤毅
協力プロデューサー/小橋智子
演出/内片輝、遠藤光貴

http://syukumei1969-2010.asahi.co.jp/


第8話 決戦!血の密約

--------------------------------------------------------
崇と尚子は総理・滝沢の晩酌により結婚する。
それは週刊東和によって写真付きで報道される。
しかしそれと同時に掲載された滝沢総理の元中国諜報員との
密会写真のスクープにより話題は一気に滝沢総理の進退問題に
及ぶ。
幹事長の長谷部は眞一郎の元を訪れる。現在白井の箱根の別荘
に滝沢を匿っているという。参院選直前のこの時期に大変なこ
とをしたという。

一方宣子は美容院で見た雑誌により崇と尚子の結婚を知る。
更に滝沢の密会した写真の女性は自分が持っている崇とツーシ
ョットの女性と同じで有ることを知る。

崇と尚子は新婚旅行の帰りの空港で滝沢総理に起こっている
事態を初めて知る。

総理はジージィとの関係について特別な関係には無いことを
告げる。12年前の厚生大臣の頃、通訳として雇った彼女のこと
を本人はスパイだとは思っていないだろう事は白井にも分かって
いた。間違いなく失脚する事。晩酌を受けた崇にも何らかの
被害を受けるのか?出馬に関してはまだ先のことなので、その頃
には眞一郎が総理になっているのではないかと言う。

幹事長も失脚前に滝沢は引退を表明すべきで、派閥を継ぐのは
白井しかいない事を口にする。
崇は尚子に結婚を取材した週刊東和の時任について尋ねる。
父も可愛がっていた記者の一人だという。しかしそんな時任が
この写真が出ることを知らなかったというのか?と疑問に思う。
父と時任は同郷の繋がりがあるという。

その頃宣子は崇とジージィの写真を見つけ、週刊東和宛てに
送りつける。

国枝に会いに行く崇。国枝から滝沢総理は98年から99年に掛けて
中国を多く訪問していたことで外事2課は目を付けていたこと。
既にこの件も周知の事実であり上からの圧力で表沙汰にはしな
かった事を知る。確か当時の国家公安委員長は白井で有った事
を知る。


滝沢と白井は別荘で面会する。滝沢はジージィからは日本で働
きたいとの相談を受けていただけだという。しかし表沙汰にさ
れた情報によって滝沢は政界からは身を引くことを告げる。
派閥は白井に任せる事を告げる。一旦は財政基盤を失った眞一
郎だが新たにその財政基盤を見つけた君に誰も文句は付けない
だろうという。ただし一つ条件があり、息子の公弘を、白井の
次女・亜希子の婿養子にして秋田の選挙区から出馬させて欲しい
という。滝沢の名で出馬させる訳にはいかないタメの措置で、
これは血の盟約だという。その変わりに眞一郎が手にするのは
派閥だけでなく、滝沢が持っていた全てを手に入れることになる
と語る。
--------------------------------------------------------

ドラマは崇と尚子の血縁を巡る話が終息し、ドラマとしての
求心力を失うかと思っていたけど、最後の最後まで骨太のドラマ
が待っていたという感じ。

ドラマとしての主人公が崇でなく、三奈や眞一郎にあることは
分かっていたけど、最後に来てその辺りが色濃く描かれた話
だった。

正直、崇と宣子が因縁の関係が小切手の件で終息した後にも
まだまだ再燃する辺りはちょっと説得力がないのかなと思って
見ていたが、これくらいの事で潰れるようならば・・・との
セリフによって、敵意と言うよりもイタヅラに近く、最後の餞の
言葉にも取れるところが面白い所だ。

ドラマとしては宿命というよりも"絶望"ではないかと思うような
最終回だが、シナリオとしてはこれから始まる感じで続編に
期待せざるを得ないものがある。

現時点に於いては、政治というものがどんなものなのかを強く
印象づける内容で、眞一郎が一枚上の策略を見せたが、その様に
手を汚して手に入れたトップの座に価値があるのかと問う辺り
はとても興味深いものである。

三奈に取っては40年間が無意味だったとする絶望感に打ちひし
がれるが、崇に植え付けた政界への信念はそれが無意味ではない
事を証明しているし、まさにドラマとしてはこれからなんだけど
ね。これからの話を描くとなると、政治が絡んでくる故に気難
しさから受け入れない人も出てきてしまうかも知れないけど、
今回の話は誰にでも楽しめる造りだと思う。

みんな期待値以上の演技力を見せてくれた。
最後の北村&奥田瑛二の迫力有る演技合戦は勿論、尚子と宣子の
女性同士の戦いも見逃せなかった。続編が有れば尚子と亜希子の
ガチ対決になりそうだね。

有川崇 …… 北村一輝 (財務官・主計局主計官)
笹山宣子 …… 小池栄子 (為替ディーラー)
白井尚子 …… 上原美佐 (長女)
有川透 …… 細田よしひこ (次男)
白井亜希子 …… 藤井美菜 (次女)
白井逸子 …… 松坂慶子(母親)
有川和裕…… 田中健 (継父)
白井眞一郎 …… 奥田瑛二 (民自党・政調会長)
有川三奈 …… 真野響子 (母、医療法人有川会)

国枝芳史 …… 矢島健一 (財務省次官)
長妻良明 …… 皆川猿時 (為替ディーラー、宣子の上司)
笹山太一 …… 森次晃嗣 (福岡に住む父・公務員)
八尋秘書 …… 隆大介 (眞一郎の秘書)
佐藤 …… 高橋洋 (財務省)
福本 …… 松尾政寿 (財務省)
原口由加里 …… 別所あゆみ (三奈の秘書)
岡内眞一郎 …… 山内基寛 (眞一郎の大学時代)
石野 …… 井之上チャル (探偵事務所)
小林 …… 七世一樹 (会員制"マーメイド"バーテン)
渡辺茂 …… 立川三貴 (財務大臣)
依田美佐子 …… 水崎綾女 (三奈の大学時代)
遠山運転手 …… 草野速仁
柳田事務長 …… 戸井田稔 (病院)
小野内科部長 …… 小須田康人 (病院)
時任良和 …… 山田純大 (東和新聞記者)
滝沢宗晴 …… 若林豪 (内閣総理大臣)

村越尚史 …… 田窪一世 (東都中央銀行・統括部長)
河村 …… 市野世龍 (麻布南警察署・刑事)
岩田 …… 不破万作 (麻布南警察署・刑事)
山瀬俊介 …… 三上市朗 (山瀬貿易・東京支店長)
須田菊枝 …… 村上玲子 (宣子の弟が事故で怪我させる女性の母)
女将 …… 福井裕子 (料亭"松房")
女子行員 …… 海山真央 (東都中央銀行)
ジージィ …… チェン・チュー
小学生時代の崇 …… 林凌雅
田辺 …… 山田明郷 (産婦人科)
菅谷 …… 近江谷太朗 (産婦人科医)
看護師 …… 大櫛エリカ
岡崎医師 …… 仲篠サエ子
長谷部 …… 山下真司 (民自党・幹事長)
小学時代の崇 …… 林凌雅
鷲津和裕 …… 細山田隆人
滝沢公弘 …… 黄川田将也
兵藤 …… 久保酎吉
記者 …… 俵木藤汰
カメラマン …… 岡田吉弘
美容師 …… 定松直子
記者 …… 壁谷俊介


評価:★★★★★★★★☆☆ (8.0)

inserted by FC2 system