鉄の骨
(2010年7月期、土曜21時NHK)

脚本:西岡琢也
音楽:川井憲次
演出:柳川強、松浦善之助、須崎岳
制作統括:磯智明

http://www.nhk.or.jp/nagoya/tekotsu/


第1話 談合課勤務を命ず
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2005年秋、富島平太は一谷組の設計課として現場で働いていた。
現場作業員の田巻芳治が、現場のルールを守らず、禁煙にも
関わらずタバコを吸い、資材を灰皿代わりにした事に対して
平太は激怒。しかし上司で所長の永山徹夫から、会社の評判を
落とす行動をするなと逆に怒られる。
徹夫からは、来週から本社に異動だという。現在一谷組は、
海外での損失を埋めるために必死だという。しかし平太は設計
の仕事をしたかったのに、不本意にも土木統括本部の営業部に
回される事を快く思わなかった。

平太は彼女で白水銀行初台支店に勤めている野村萌と待ち合わせ
して食事に行く。明日から営業に回された事を口にし、設計者
失格のレッテルを張られたようで落ち込んでいることを告げる。
しかし萌は与えられた仕事をこなすしかない事を告げる。

翌日本社の土木統括本部・営業一課にいく平太。
課長の遠藤安男に挨拶に行くと、平太はどうして営業に異動に
なったのか尋ねる。すると安男は平太を上司の尾形総司の元に
一緒に連れて行き挨拶させる。平太はそこで同様の質問をしたい
と考えるが、出来る雰囲気ではなかった。
常務の命令だから仕方がないという安男は、平太に新しくできた
名刺を手渡し、これから名刺配りに行くという。上司の決定に
不服ならば辞表を書けば良いと言われる。
安男はとにかく名刺を配りまくれと告げ、役所や国土交通省など
に連れていき名刺を配らせる。しかし殆どの場合、面と向かって
手渡せる場面は少なく、事務的に名刺入れに入れてくる事ばかり
だった。

東部地方開発局のバイパス工事に関する説明会に足を運ぶ。
開発局の役人・細井から説明が行われる。
そこには一谷組と同業者である、山関組の和泉勇人、真屋建設
の長岡昇、三沖建設の田中勝、岩波工務店の牛島雅彦、村河建設
の岸原薫が同席していた。しかし平太は説明会に於ける緊張感
が無いことに違和感を覚える。質問に関しても全くでないこと。

不思議に思っていると上司の安男は平太を麻雀荘へと連れていく。
そこには先程ろくに挨拶もしなかったメンバーが集まっていた。
安男があれこれライバル会社の社員と会話している姿を見る平太。
更に安男は、バイパス工事が行われる現場へと平太を連れて行く。
平太は疑問に思うことを安男にぶつけてみる。
すると二週間後の入札なのに、今頃設計図書を手渡されて
間に合うと思うのか?と問われ、その内分かるという。
平太はこれは談合ではないか?と問い、こんな仕事をするために
入社したのではないと訴える。しかしこの仕事には何十億の
利権が掛かる物で、会社の売り上げをパーにするつもりかと
問われる。

安男は和泉の元に行くと、各社の入札価格表を持ってくる。
これで各社に連絡を取れと告げる。

一方平太は萌に逢うと、愛社精神は有るか?と問う。見つかれば
捕まるような事を会社のためにやらねばならない時、果たして
どうするのか?と尋ねる。萌はそんな事はやらないとするが・・

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建築家を目指して入社した富島平太だが、突如営業に回され、
しかも会社が談合を行っている事を知る。
世間は談合に目を光らせ規制も検討されていく中で、果たして
平太はどのような行動を取っていくのか。

小さな事も見逃さずに、現場では喫煙さえ気を配る彼が、
そんな事はちっぽけな事だと吐露するまでに至る、建設業界の
裏を体現させていく。

公共工事の減少、そして天下りの現実など、ネタとしてはタイ
ムリーなもので、建設業界の生き残りをかけたサバイバル戦と
いう感じの内容が展開される。

談合に於いて出し抜く企業が出てくれば、それは即ち全滅を
意味するものだけど、そんなリスクを犯しても何故一谷組を
潰そうとしてくるのか。

談合と言うことで役所の説明会で緊張感が無いというのは
分かるけれど、リスクを感じている人と感じていない人の差
がありありと出ていて、この厳しいご時世の中でも仕事中に
ゴルフに興じたり、将棋を指したりしている人物と、土下座
までして仕事を取る人のギャップが目に付くものだった。

主人公らがどのような行動を取るのか、そしてどういう方向性
を持って行くのか分からないが、談合を明らかにしていく事で
どの人物も無害では済まされない状況は、常に緊迫感を孕んで
いくものかもしれない。


富島平太 …… 小池徹平 (一谷組入社3年目)
遠藤安男 …… 豊原功補 (一谷組・課長)
野村萌 …… 臼田あさ美 (平太の恋人)
西田吾郎 …… カンニング竹山 (積算課出身)
園田俊一 …… 宅間孝行 (銀行の本部)
三橋萬造 …… 中村敦夫 (山関組顧問、稀代のフィクサー)
尾形総司 …… 陣内孝則 (一谷組・常務)
松田篤 …… 笹野高史 (社長、創業家の五代目)
城山和彦 …… 北村総一朗 (建設族のドン)
和泉勇人 …… 金田明夫 (山関組・営業部長)
富島八重子 …… 松田美由紀 (岐阜で美容室を営む平太の母)
山本勲 …… 高橋一生 (社長)
柴田理彩 …… 小谷早弥花 (某公団理事の娘で、コネ入社)

長岡昇 …… 志賀廣太郎 (真屋建設・営業部長)
田中勝 …… 田中実 (三沖建設・営業課長)
牛島雅彦 …… 草見潤平 (岩波工務店・営業課長)
岸原薫 …… 菅原大吉 (村河建設・営業課長)
市原範一 …… 真実一路 (山関組・社長)
迫水頼久 …… 石田太郎 (真屋建設・社長)
細井 …… ヨシダ朝 (役場職員)
竹下庄一 …… 秋野太作 (元国土交通省OB)
三橋満子 …… 高林由紀子 (妻)
吉川良哉 …… 矢島健一 (専務に昇格)
雑誌記者 …… 藤元英樹
田巻芳治 …… CHIKARA (建築現場)

黒田啓之、深山義夫、くるわ大介、田中靖治、山本仁
大島守人、松永吉訓、櫻井忍、山田永二


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