鉄の骨 (2010年7月期、土曜21時NHK) 脚本：西岡琢也 音楽：川井憲次 演出：柳川強、松浦善之助、須崎岳 制作統括：磯智明 http://www.nhk.or.jp/nagoya/tekotsu/

第3話 地下鉄争奪戦〜巨大プロジェクト受注に社運を懸けろ
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地下道建設の件でまたしても一谷組が落札する予定だったもの
が地方のトキワ土建によって落札される。東京に下請けを持た
ない彼らが利益を出すのは難しいハズで、特に舗装に関して
どの下請けが担当するのか気になる所。
平太は下請けの坂元と最後の食事をしたこともあって、自らの
無力さを実感する。しかし一緒に飲んでいた西田からは次の
地下鉄のプレゼンの事を考えろと言う。
平太は残業中の萌に電話し愚痴を告げる。自分のせいで下請け
を潰してしまった。銀行は公的資金が投入されるが、我々は
ギリギリの所でやっているとして、萌に悪態を付いてしまう。

一方一谷組では、次の関東地下鉄工事に関する話し合いが行わ
れる。総工費1835億円の事業。上大蔵工区と新多摩川工区の
2つの工区で落札が行われる。社長の松田は事業規模・利益率
を尋ねると、上大蔵工区は230億円で新多摩川工区は155億円の
仕事。必ず落札するよう厳命される。

社長の松田は専務の吉川と共に、追加融資の件で白水銀行本部
へと足を運ぶ。しかし佐伯によると頭取も副頭取も席を外して
いていないのだという。空振りに終わった松田は不機嫌になるが、
吉川は相談に乗っても良いとする人を知っていると告げる。

尾形は国土交通省OBの竹下に頼み、業界の動きを調べて貰う。
すると業界再編の動きがあり、大手ゼネコンは6社から5社に
減らそうとしていること。世論が後押ししてその流れに拍車が
掛かっているという。
松田にも相談すると、彼は既にその動きを先程聞いて知っており
頭取の吉田久次らから真屋建設との合併の話を打診されたという。
松田は冗談じゃないと憤怒する。

トキワ土建の下請けを調べるために、山本たちの動きを偵察
していた平太は榊原に見つかってしまう。弱い会社が潰れるの
は当たり前であり、今までそんな当たり前のことをこの業界は
怠っていた事を告げる榊原。しかし平太は善悪だけでは図れな
いものが有るはずだとして一向に引かなかった。

平太は尾形に報告すると、恐らく真屋建設が怪文書やトキワ土建
の件を仕掛けたのだろうと告げる。
尾形は次の地下鉄の件もこれまで通りの方法で行くという。

萌は園田と一緒に飲みに行く。萌が落ち込んでいるのを見て
彼氏を気にしているのか?と園田。一谷は相当ヤバイ状況であり
彼とつきあうのは少し考えた方が良いのではないかと告げられる。
萌は平太の家に行き、先日の電話の件を謝罪する。平太も悪態
を付いたことを謝罪。平太は今度母が東京に出て来るので一緒に
食事をしないかと誘う。萌はこれからの私達のことについて
平太はどう考えているのかと問われるも、平太は今は仕事のこと
で頭がいっぱいだとして、謝罪する。お互い謝ってばかりだと
いう萌。

三橋、和泉、迫水、長岡は料亭で食事をしながら、合併への
道筋が立ったことを報告し合う。吉川も後から合流すると、
この一件でもっともネックなのは尾形の存在だという。しかし
尾形は忠誠心が有るので社長を落とせば問題は無いとして、
地下鉄の件で息の根を止めよと厳命する。
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バイパス工事に続き、地下道建設も落札できなかった一谷組。
何者かが意図的に一谷組を潰そうとしている事を知りつつ、
次の地下鉄に関しては、是が非でも落札しなければならない
状況に追い込まれていく。

談合しようとしている主人公の視点で描かれている為に、談合
が成功することを願ってしまう所に、微妙な心情が存在する
ドラマである。

愛社精神と談合の事実がバランス良く描かれている為に、
平太が戸惑う事実も分かるし、談合の現場に入り込みすぎる
ことで、感覚が麻痺していく様子が描かれる。

今回は一谷組を陥れようとする思惑が発覚したことと、それが
誰の手によって主導されているのかが発覚していく過程が
描かれたので面白く見ることが出来た。
それと同時に将来に不安を持つ萌の存在が、絶妙のバランス
を保っているなと思う。

談合している人たちの権力争いも面白く、意外とみんな誠実さ
が有ったりして、和泉勇人のしてきた事に対して、全員が
否定的に捉える所など、思ったよりも関係が上手く保たれている
なと思わせた。

今回、平太と三橋の関係が明らかになった。
三橋の方が時代を読む力があり、尾形が随分昔気質の男だと
いう辺りも面白い設定である。
そんな両者に挟まれる平太はどんな決断を見せていくのか。

真屋建設が最終的にやり玉に挙がってしまい、生け贄とされる
訳だけど、談合は一社潰れれば芋づる式に発覚していくという
事はないのだろうか。
そうなってくると、まさにトキワ土建の時代になるな。


富島平太 …… 小池徹平 (一谷組入社3年目)
遠藤安男 …… 豊原功補 (一谷組・課長)
野村萌 …… 臼田あさ美 (平太の恋人)
西田吾郎 …… カンニング竹山 (積算課出身)
園田俊一 …… 宅間孝行 (銀行の本部)
三橋萬造 …… 中村敦夫 (山関組顧問、稀代のフィクサー)
尾形総司 …… 陣内孝則 (一谷組・常務)
松田篤 …… 笹野高史 (社長、創業家の五代目)
城山和彦 …… 北村総一朗 (建設族のドン)
和泉勇人 …… 金田明夫 (山関組・営業部長)
富島八重子 …… 松田美由紀 (岐阜で美容室を営む平太の母)
山本勲 …… 高橋一生 (社長)
柴田理彩 …… 小谷早弥花 (某公団理事の娘で、コネ入社)

長岡昇 …… 志賀廣太郎 (真屋建設・営業部長)
田中勝 …… 田中実 (三沖建設・営業課長)
牛島雅彦 …… 草見潤平 (岩波工務店・営業課長)
岸原薫 …… 菅原大吉 (村河建設・営業課長)
市原範一 …… 真実一路 (山関組・社長)
迫水頼久 …… 石田太郎 (真屋建設・社長)
竹下庄一 …… 秋野太作 (元国土交通省OB)

城山和彦 …… 北村総一朗 (衆議院議員)
北原慎二 …… 小市慢太郎 (東京地検)
佐伯 …… 伊沢勉 (白水銀行)

小島範子、成瀬徹

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)