鉄の骨
(2010年7月期、土曜21時NHK)

脚本:西岡琢也
音楽:川井憲次
演出:柳川強、松浦善之助、須崎岳
制作統括:磯智明

http://www.nhk.or.jp/nagoya/tekotsu/


第4話 誰にも言えない
--------------------------------------------------------
真屋建設に検察の査察が入る。名目では北陸での小さな談合
事件だが、業界のものたちはそれが目的では無いと感じていた。

山岡建設の市原は対応策を協議しようと、大手ゼネコンの首脳
陣を集める。真屋建設の社長・迫水はみんなの前で心配をかけ
て済まないと謝罪する。市原は業界のダーティなイメージを
払拭するためにもコンプライアンス重視の姿勢を表明して行こ
うと告げる。
松田は迫水にこれでも合併を進めていくのか?と問い、今は一谷
組をどう守るかを考えると告げる。
そんな中、一谷組では地下鉄15号線の入札に関して、どうするの
か協議される。尾形はみんなで決めたとおり、一谷と村河が落札
するという。新多摩川工区では概算で162億円が割り出される。
尾形は平太や西田たちに、過去の調整の書類やメモの処理を
命令する。

萌は平太のことで頭を悩ませていた。
園田と共にいつものバーで飲みながら語らう。どうしたら良いの
か分からないという萌。そんな彼女に園田は近々異動することに
なりそうだと告げ、ロンドンに行くことになる事を語る。
一度ロンドンに渡れば2年は帰国できず、萌に一緒に行かないか
と呼びかける。そんな二人が一緒に居るのを帰宅途中の平太は
見てしまう。

2006年1月、大手ゼネコンは記者会見の場で、法令遵守の姿勢
を貫き、談合とは決別することを改めて宣言する。
しかしその裏で松田は山岡建設の市原に対して、地下鉄の件は、
既定路線通りでいくという事を確約を貰う。

その頃、検察によって取り調べを受ける長岡は完黙していた。

そんな中、落札に向けて調整中の一谷の元に、荒島重工業から
掘削に必要なシールドマシンの見積書が届く。そこには39億円
と書かれていた。早速平太は荒島重工業に行き、見積額について
語り合う。前回の同規模のシールドマシンの時とは倍近い金額
の見積もりに不満を示す平太。すると担当者は、今回の入札に
関して落札するのは山関と村河ではないのか?という。その根拠
として、山関もシールドマシンの見積書を要求してきたという
のである。

平太は早速談合している他社の関係者を呼び出す。
平太は和泉に対して、何故一谷が落札する工区のシールドマシン
の見積書を出しているのかと問う。ガチンコ勝負に方針転換
したのか?と問うが、和泉は調整通りだと矛盾した解答を示す。
そんな中長岡が検察の事情聴取を終えて合流する。みんなに
北陸の件で色々と聞かれたが問題がない事を語る。
平太は地下鉄の件で、和泉が違反を犯していることを告げると、
チャンピオンとして長岡は和泉に今回は一谷と村河でお願いする
と念を押すのだった。

--------------------------------------------------------

真屋建設に東京地検の査察が入った事で、大手ゼネコンは意識
の改革が求められる。
業界一位の山関組は、主導してその改革を行うことを宣言するも
果たしてその言葉の真意はどうなのか?

山関組が他のゼネコン相手に、仲間であることをアピールしな
がらも次のステージに一人静かに進んでいる感じが嫌らしく
描かれた話だった。これまでにも和泉や三橋の存在は、仲間の
フリして実際には業界全体の調整をしていた事もあって、その
真意が分かりづらく、それがドラマを盛り上げる要素の一つだ
ったと思う。

談合の流れを止められない事は明らかで、その尻尾切りのために
誰が犠牲になるのか。
長岡の性格を考えると、一連の流れの中で彼が犠牲になる事は
明らかで、取調室の緊迫した様子はとても上手く描かれていたし
あれだけ緊張していると、簡単にボロが出そうな感じだった。
かつて「チーム・バチスタの栄光」で白鳥が使っていたアクテ
ィヴ・フェーズ的誘導尋問を北原慎二が嫌らしくも巧みに使って
いた所は見事だった。

ドラマとしては平太がどのような態度を見せていくのか。
遠藤から談合が必要悪だという事を叩き込まれるも、彼自身が
古い慣習だと一刀両断する姿があったし、逆に長岡昇が初めて
談合によって仕事を得た事実に静かなる喜びを表明しつつも、
それが本当の喜びなのかという複雑な葛藤を持ち込んでいる。

萌と平太の関係も気になる要素として存在し、平太は一連の
談合から足を洗うことに繋がっていくのか。そしてその時
横には萌の姿が有るのかどうか。


富島平太 …… 小池徹平 (一谷組入社3年目)
遠藤安男 …… 豊原功補 (一谷組・課長)
野村萌 …… 臼田あさ美 (平太の恋人)
西田吾郎 …… カンニング竹山 (積算課出身)
園田俊一 …… 宅間孝行 (銀行の本部)
三橋萬造 …… 中村敦夫 (山関組顧問、稀代のフィクサー)
尾形総司 …… 陣内孝則 (一谷組・常務)
松田篤 …… 笹野高史 (社長、創業家の五代目)
城山和彦 …… 北村総一朗 (建設族のドン)
和泉勇人 …… 金田明夫 (山関組・営業部長)
富島八重子 …… 松田美由紀 (岐阜で美容室を営む平太の母)
山本勲 …… 高橋一生 (社長)
柴田理彩 …… 小谷早弥花 (某公団理事の娘で、コネ入社)

長岡昇 …… 志賀廣太郎 (真屋建設・営業部長)
田中勝 …… 田中実 (三沖建設・営業課長)
牛島雅彦 …… 草見潤平 (岩波工務店・営業課長)
岸原薫 …… 菅原大吉 (村河建設・営業課長)
市原範一 …… 真実一路 (山関組・社長)
迫水頼久 …… 石田太郎 (真屋建設・社長)
竹下庄一 …… 秋野太作 (元国土交通省OB)

城山和彦 …… 北村総一朗 (衆議院議員)
北原慎二 …… 小市慢太郎 (東京地検)
メーカーの関係者 …… 近江谷太郎
長岡妙子 …… 鳥丸せつこ (妻)

鈴木林蔵、棚橋真典、阿部六郎、沼崎悠、藤元英樹、知嶋大貴
久川徳明、後藤崇之、早川けい、渡辺竜也、鈴木駿、中山夕莉


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system