鉄の骨
(2010年7月期、土曜21時NHK)

脚本:西岡琢也
音楽:川井憲次
演出:柳川強、松浦善之助、須崎岳
制作統括:磯智明

http://www.nhk.or.jp/nagoya/tekotsu/


第5話 最後の入札
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長岡が自殺し、元上司の遠藤から談合が時代錯誤である事を
解かれる。そんな中、尾形常務は地下鉄入札に関して、ガチン
コ勝負で行くことを告げ、調整は無しだとする。その為には
予定価格の80%が必ず必要であること。そして利益を必ず出す
事を告げられる。80%と言うと129億6千万。一谷組の社員は
その価格を目指して、調整に入る。

平太は尾形に礼を告げる。自分には談合を辞める勇気が出なか
った事。すると尾形自身も、談合がもう成立しない事は分かっ
ていたという。そんな悪あがきが長岡を追いつめた一因である
事も明らかだった。必ず地下鉄を落札して一谷組は生き残ろう
と告げられる。

一方下請け周りをしていた平太は、バスの中でトキワ土建の
長沢地区の工事が行われている現場を通る。調べてみると
シールドマシンに関して流用が可能であること。普通は使い捨て
である事を考えると、流用が可能ならば7、8億円は安く上がる
という。しかし問題はトキワ土建が大手ゼネコンを信用して
いないことだった。この件は平太に一任し、静岡には尾形も
自ら足を運ぶと告げる。

静岡のトキワ土建に足を運ぶ平太と尾形。
そこで社長の山本に一谷と組んでくれないかと頼む。当然最初
は断られるが、平太は時代を変えるのは我々若い世代だと社長が
以前に語った言葉を引用して説得に入る。尾形も脱談合の輪が
広がっていけばトキワ土建の理想にも近づくのではないかと
説得する。山本社長は業界が大変革を起こそうとしている中、
無関係ではいられないとして、協力することを約束する。

平太は萌に電話し、今週中に逢いたいことを告げる。これで
ちゃんと仕事の話が出来そうだと告げ、木曜日の8時に約束
する。

そんな中、城山議員は総裁選挙に出るという。業界からの
バックアップを頼まれるが、真屋建設の迫水は、今は自分の
会社の経営も成り立たないという。すると城山は、仕事に関して
は三橋に用意させるという。三橋は検察が動く今は危険だと
するが、この様なチャンスは早々ある物ではなく、多少のリスク
を犯してでも実行することを告げる。

園田はついにロンドン行きの内示が出る。
萌をいつものバーに呼び出しその事実を告げ、以前から誘って
いる一緒にロンドンへ行くことについて返事が聞きたい事を告
げる。萌はもう少し待って欲しい事を告げる。

いよいよ一谷組は見積もりの概算が129億5700万円で、目標額に
達成する。しかしそれと同時に尾形は社長室に呼ばれ、同席
している三橋から、今回の地下鉄落札の仕切りは私自らが行う
事を告げられる。

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談合での話が決別したことを受けて、尾形はガチンコで仕事を
取りに行くと宣言。平太たちは苦しい中でも、正々堂々とした
勝負にやる気を見せていた。そして勝利を確信していく中で、
再び談合の誘いがやってくる。

僅か5話のドラマながらも、とても感情移入させるだけの熱い
やりとりが行われている話だった。当初談合を素材にしたドラ
マなどとても地味な内容になる事を覚悟していたけど、一転
して次世代の若者に向けて、旧体制を変革することへの必要性
、そして勇気と希望に満ちたメッセージ性の溢れる内容となった。

ドラマとして上手かったのは、三橋が主人公にとって親の敵
みたいな存在でもあるし、逆に恩人でも有るという設定の妙だ
った。最後にそんな恩人を裏切る事への気難しさと共に、
越えるべき壁としての存在が上手く描かれていた。

同時進行している平太と萌の関係性なども、あまり気の利いた
ロマンスは無かったけれど、互いの信用の問題だったり、将来
への不安や道徳心の問題、そしてライバルの相手の台頭など
バランス良く描かれて、複雑な葛藤を演出したなと思う。

最終的には想定するような展開にはなったけれど、最後にエン
ディングに向けてたたみ掛けるような勢いある展開を用意した
事で、迫力有るシーンを演出したと思う。
多少平太たちが足を突っ込みながらも、何の刑事罰を受けなか
った事に対する違和感は存在するが、まぁその辺はやむなしと
言った感じか。


富島平太 …… 小池徹平 (一谷組入社3年目)
遠藤安男 …… 豊原功補 (一谷組・課長)
野村萌 …… 臼田あさ美 (平太の恋人)
西田吾郎 …… カンニング竹山 (積算課出身)
園田俊一 …… 宅間孝行 (銀行の本部)
三橋萬造 …… 中村敦夫 (山関組顧問、稀代のフィクサー)
尾形総司 …… 陣内孝則 (一谷組・常務)
松田篤 …… 笹野高史 (社長、創業家の五代目)
城山和彦 …… 北村総一朗 (建設族のドン)
和泉勇人 …… 金田明夫 (山関組・営業部長)
富島八重子 …… 松田美由紀 (岐阜で美容室を営む平太の母)
山本勲 …… 高橋一生 (社長)
柴田理彩 …… 小谷早弥花 (某公団理事の娘で、コネ入社)

長岡昇 …… 志賀廣太郎 (真屋建設・営業部長)
田中勝 …… 田中実 (三沖建設・営業課長)
牛島雅彦 …… 草見潤平 (岩波工務店・営業課長)
岸原薫 …… 菅原大吉 (村河建設・営業課長)
市原範一 …… 真実一路 (山関組・社長)
迫水頼久 …… 石田太郎 (真屋建設・社長)
竹下庄一 …… 秋野太作 (元国土交通省OB)

城山和彦 …… 北村総一朗 (衆議院議員)
北原慎二 …… 小市慢太郎 (東京地検)
メーカーの関係者 …… 近江谷太郎
長岡妙子 …… 鳥丸せつこ (妻)
江口秀樹 …… 宮本浩二
公団の課長 …… 黒川慶一
三橋夫人 …… 高林由紀子
榊原保 …… 渡辺哲

深山義夫、黒田啓之、鬼頭卓見、久川徳明、山中誠也
近藤薫、早川真代、藪下貴子、藤元英樹


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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