うぬぼれ刑事
(2010年7月期・TBS金曜22時枠)

脚本:宮藤官九郎
監督:宮藤官九郎、吉田健、土井裕泰
プロデューサー:磯山晶
音楽:仲西匡、 市川淳

http://www.tbs.co.jp/unubore5/


第7話 マラカスの詩
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うぬぼれは過去の事件のポスターに目を留める。
町田刑事から1995年8月20日世田谷医師経営殺人事件である事
を聞き、その事件を解決すれば名実共にうぬぼれは卒業だと
いう。

うぬぼれは一日の疲れを癒すために"I am I"へと足を運ぶ。
そこには飾り無い友人たちが、何の意味もない会話をしている
事に癒されるうぬぼれ。マスターに話を聞くと昨日から彼らは
ずっとここに居るのだといい、30時間飲み続けているという。
それを聞いたサダメ、松岡、穴井、栗橋は、30時間居続けても
何の支障もない現実が恐いと呟く。

帰り道に一人の女性に目を奪われる4人は、その女性が"I am I"
に入っていくのを見て再び彼らは飲みに行くことに。
うぬぼれは疲労しているゴローの手伝いをしていたが、女性・
里奈が入ってくると一瞬にして恋をしてしまう。
4人も戻ってくると、里奈は栗橋を見て声を掛ける。
里奈によると栗橋は短大時代の教授であり、自分は平成元年
卒業生だと告げる。
里奈はすぐに店の雰囲気を気に入る。何よりも客の感じが良い
という。しかし里奈は酒が進んでいくと、とんでも無い酒乱で
有ることが発覚する。

4人は疲れて寝る。
酒で酔っぱらう里奈は、うぬぼれと話をしながら、貴方も面倒
くさい女だと思っているのでしょうと尋ねる。するとうぬぼれ
は好きだと告白し、面倒くさいと好きはイコールだと告げる。
格好良く決めたうぬぼれは店を出て行くが、彼女を横目で見る
彼はきっと追い掛けてくるに違いないと実感。切なげな表情を
していたとするが、期待しても来なかった。

町田とうぬぼれは、被害者遺族の元を訪ねる。
町田は世田谷医師殺人事件についてうぬぼれに説明する。
被害者は安藤和馬で自宅で絞殺されたもの。奥さんの安藤サツキ
が帰省中に起きた事だという。和馬には愛人の福原直美がおり
家で働く家政婦だったという。
4月27日から殺人事件に対する時効が撤廃されるが、遺族には
その事は話さないという町田。サツキはガンでもう長く無いと
の事だった。

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うぬぼれは15年前の事件の主謀者である福原直美を好きになる。
彼女は逃亡中のみでありながらも、何故か目立つような行動を
して全国を転々としている姿があるのに対して、逆に遺族の
女性は事件解決を積極的に望んでいない様に思えてくる。
果たして事件に隠された真相とは何なのか。

15年前の世田谷医師殺人事件に於ける人間関係だけを洗い出し
て見ると、それだけで面白いドラマが作れそうな題材ではある。
加害者と被害者の遺族が15年後に約束していた時効後の旅行に
関して、円満な三角関係もこの世の中には有るという面白さを
引き出した物。

しかしこの世の中、時効が撤廃された事で、こういうドラマ
チックな演出が潰される事にも繋がり、ドラマ界にとっては
不利に働くことが有るのかな。勿論遺族の気持ちを考えれば、
時効など無い方が良いんだけどね。

栗橋がメインとして描かれるのかと思いきや、やっぱりドラマ
としては急旋回し、うぬぼれがメインとなった。
過去の顛末に於いて、このドラマに主演しているメンバーを
回想シーンの役者に据えた事で、なんともややこしい感じが
してくる。

酒乱女を演じた小泉今日子さんの役回りがとても面白いもの
だった。コメディアンではないかと思わせるくらい突っ込み方
にキレがあったし、玲子が今回喋る辺りも笑える物があった。
そしてまた都合良くマラカスを洗う姿をそんなシーンに被せて
有る辺りが良かったな。

町田警部の役割も何とも複雑な気持ちにさせてくれる物で、
捜査情報を漏らしてしまっていたのは、天然なのかそれとも
故意によるものなのか。

冴木さんの汚い文字にも笑えるし、ホワイトボードを使って
必死に足取りを説明する所も、NGが出せそうにない長いカット
だっただけにそのやりとりは緊迫感があっても面白く見ることが
出来た。


うぬぼれ …… 長瀬智也 (刑事)
本城サダメ …… 生田斗真 (俳優)
日暮里恵 …… 中島美嘉 (主婦)
冴木優 …… 荒川良々 (刑事)
松岡征士郎 …… 要潤 (30歳、パティシエ)
穴井貴一 …… 矢作兼 (カメラマン)
ゴロー …… 少路勇介 (バーテン"I am I")
町田警部 …… 小松和重 (世田谷通り署)
登戸 …… ムロツヨシ (世田谷通り署)
婦警・小山 …… 伊藤修子 (世田谷通り署)
婦警・南 …… 西慶子 (世田谷通り署)
栗橋 誠 …… 坂東三津五郎 (心理学者)
葉造 …… 西田敏行 (元刑事・現作家)

玲子ママ …… 森下愛子 (バーのママ)
田代正輝 …… 橋本じゅん (監督)

福原直美 …… 小泉今日子 (42歳、家政婦)
安藤サツキ …… 木野花 (妻)
安藤和馬 …… 村松利史 (夫、医師、殺害される)
鶴川 …… 辻義人 (継続捜査係)

遠山景織子、升田尚宏(アナ)


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