八日目の蝉
(2010年4月期・NHK火22時枠)

脚本/浅野妙子
演出/佐々木章光 藤尾隆
原作/角田光代
音楽/渡辺俊幸
制作統括/大加章雅 黒沢淳

http://www.nhk.or.jp/drama/semi/


第5話 光の島〜許されない母と子…最後のとき

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島に来て幾つかの季節が過ぎる。すっかり薫も日に焼け、言葉
使いも島の子となっていた。
薫は友達が島の文教所に通う姿を見て、早く小学生になりたい
と感じていた。希和子はそんな薫を見て、小学生にしてあげら
れるだろうかと不安な気持ちになる。
学校を見に行く薫と希和子。薫はこれからママの事をお母さん
と呼ぶという。早く大人になって男の子になって、ママと結婚
するのだという。

希和子と薫は休みの日に二人で八十八ヶ所寺巡りをしていた。

店に文治がやってくるが、希和子は素っ気ない素振りを見せる。
海辺でも文治を見掛けるが、希和子は余所余所しい態度を見せる。
文治は希和子の気持ちが知りたいという。ずっと他人行儀で
有ることに違和感を覚えていた。しかし希和子は、私の人生に
関わってもろくな事が起こらないと告げる。文治は薫と希和子
が大好きで有り、困ったときには頼って欲しいと告げる。

昌江と逢う希和子。彼女の行動がおかしいことに気がつき事を
かけると、なんと娘の久美が戻って来るという。希和子が居る
と話したら喜んで戻ってくると言っているという。
夜に帰宅するかと思えば一本早いフェリーで到着する久美。
希和子との再会に手放しで喜ぶ。

文治は希和子の元に行くと、今度"天使の散歩道"に連れていくと
いう。休みの日に行かないかと言われ、考えておいてほしいと
言われる。

そんな中、昌江から希和子にお見合いの話を持ちかけられる。
しかし希和子の態度から文治に気があると知った久美は、この
人には先約が居る事を告げ、文治と仲良くしている事を話す。
翌日店に来た文治に対して、昌江は希和子のことをくれぐれも
頼むと彼に告げる。
文治は昌江たちに自分たちの関係を話していてくれたことを
喜ぶ。これからはコソコソしないでつきあえるという。
文治は二人のことを大切にする事を告げる。文治は目を離した
隙に希和子が居なくなるんじゃないかと不安であることを口に
する。

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島にやってきた希和子と薫は島民達の優しさに触れ、いつしか
幸せを感じていた。しかし島の祭りの写真が新聞に掲載される
事で事態は一変していく。

希和子が掴まることは明らかなので、どのタイミングでどういう
風に掴まるのかが興味深い点か。

一度手にした幸せをなかなか手放すことは出来無い物だけど、
この二人もまた手にした幸せを手に入れられなかったようだ。

希和子は定住できない自分が今後どうなるか不安に怯えている
訳だけど、それを支えようと近づく文治の存在が、実に良い
感じに複雑な心情を与えてくれる。

多くの幸せは望まず、ただ薫と居られれば良いとする健気な
希和子が意地らしくなるし、その子供が薫であるならば、
それも納得するもの。

久美と昌江のエピソードが挿入され、ちょっとしたアクセント
として存在する所など面白い所だし、あのタイミングで逃げら
れれば掴まることはなかったけれど、薫が引き留めたことや
久美もまた母親の傍にいて欲しいとした事で、決断を鈍らせる
難しいシーンを演出させた。

子供の無邪気なイタズラだけど、母親の気持ちも知らず隠れて
しまう辺りも主人公の心情を揺さぶり面白いシーンになった。


野々宮希和子 …… 檀れい (OL、丈博と不倫)
秋山丈博 …… 津田寛治 (夫)
秋山恵津子 …… 板谷由夏 (妻)
薫=恵理菜 …… 北乃きい (秋山家の娘)
岸田 …… 岡田浩暉 (薫の不倫相手)
仁川康枝 …… 京野ことみ (希和子の友人)

沢田久美 …… 坂井真紀
薫 …… 小林星蘭
薫(6ヶ月) …… 奥村夏帆

沢田昌江 …… 吉行和子 (久美の母、沢田製麺)
篠原文治 …… 岸谷五朗 (猟師)
永井千草 …… 高橋真唯 (元マロン)
大出喜美 …… 左時枝 (ラブホテル従業員)
医師 …… 志賀廣太郎
土田 …… 石井正則 (客)
与太者風の男 …… 日野陽仁 (希和子をナンパ)
良子 …… 阿部朋子 (沢田製麺)
光恵 …… 内山千春 (沢田製麺)
写真店 …… 藤村俊二

舩木壱輝、平尾仁、坂東正敏、櫻木誠、井上麻衣子、和田望羽
福栄新、野口百花、宮下梓


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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