悪党 〜重犯罪捜査班〜
(2011年1月期・テレビ朝日・金曜21時枠)

脚本:深沢正樹
演出:小松隆志(1)(2)、塚本連平(3)
音楽:朝倉紀行
ゼネラルプロデューサー:黒田徹也
プロデューサー:中込卓也、飯田新、川西琢、伊藤達哉

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第3話 救え!小さな目撃者 決死の取調
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胡桃沢忠行(40歳)が現場で殺傷される。
すぐに通報を受けた刑事達は現場に向かうが、入り口の所で
少年タケルが、彷徨いていた。正義は
タケルに声を掛けるが、
少年は一言も言葉を発しない。不法入国者の子供で言葉が通じ
ないのか。交通課の亜美&由美が保護すると告げる。

被害者は
ベイホールディングスの専務で、空き店舗の管理を
している社員が被害者とこの物件に関して契約を詰めている
段階だったという。死後1時間程度。財布などが残されている
から物取りの犯行ではなさそう。入り口には貝で作ったネック
レスが落ちていた。それを見て正義は先ほどの少年が首から
掛けていたのを思い出し探しに行く。玲子も後に続いて探しに
いく。そんな姿を見た里中は、いい加減な捜査のやり方だと
して非難する。

少年は目撃者である可能性が高い。玲子にそう告げてタケルを
見つけて保護する。彼は道ばたで怯える姿が有った。
四係の刑事達はみんなでカラオケ店にいくと、タケルから話を
聞き出そうとする。山下によると話は通じて居るみたいとの事。
本部では怨恨の線で捜査を続けているという。

被害者が勤めている会社の社長は女性の
篠崎光代。3年前に胡桃沢
忠行を社員として迎えて以来、会社の業績は上がっている反面、
業務提携やフランチャイズ契約で訴訟騒ぎを何度か起こしている
という。
社員に話を聞くと、新店舗の開発は殆ど単独で専務の胡桃沢が
担当していたとのこと。彼は
根岸地区の商業施設で町野屋グルー
と争っていた事を社員の一人・池ノ上から話を聞く。しかし
相手からは撤退するようヤクザまがいの男から脅しを掛けられて
いた事を知る。

正義はタケルが不法入国者の子供だとしたら、すぐに連れて行
かれる可能性があり、身柄を保護するために自宅に連れて行く。
そしてその世話を義母の藤井佐知代に頼む。

訴訟騒ぎを起こしていた会社の社長の下を尋ねると、夫は10日
前に自殺した事を聞く。胡桃沢の事を何度も警察に訴えるが
聞いてもらえなかったという。しかし神様は居るもので、天罰
を与えてくれたのだという。未亡人の女性は、これを篠崎に
返してくれと柴田らに渡す。そこには大金が入っていた。柴田
はどんな金であろうと金は金だとして女性に突き返す。

正義は東南アジアの人たちを不法入国させているブローカー
重松を捕まえる。男は東南アジア人が勤めるパブで、子供の
事を聞いて回ると、少年はタケルで、一年前に母親と一緒に
入国したが半年前には母親が亡くなったという。公園でよく
一人で遊んでいるが、品の良いどこかの女性が何度も遊んでいる
のを目撃したとの事だった。

一方里中は町野屋グループの会長・
立石に話を聞きに行く。
すると立石は胡桃沢は殺す価値もない男だとし、女社長は良識
有る女性だという。

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ビルの改装中の工事現場で、ベイホールディングスの社員の
男・胡桃沢忠行が殺害される。怨恨のせんで捜査を始めるが、
どれも決定的証拠はなく、現場に落ちていたペンダントから
少年が見ていたであろう事を掴んでいく。

悪党というタイトルに負けないために、子供をおとり捜査に
加わらせたり、証拠が無いと見るや殺すと脅して自白を強要
する。
ちょっとそんな言葉ばかりに気負いすぎているのか、
最後のつめの段階で、刑事が殺すと脅して自白をとるというのは、
正直殆ど説得力がない。その前の捜査の段階でこの方法を
使うのは悪くない使い方なんだけど、最後くらいはきっちりと
証拠を突きつけて有無を言わせないで欲しいところだ。

里中に対してルール通りの捜査は決して事件の解決にはなら
ないと分からせたり、検挙するに至らない事を実感させる流れ
は悪くはない。
里中の価値観を変えさせることこそが、一つのドラマのポイント
だと思うのだけど、真面目な彼ならば、今回の被疑者の社長が
自分のせいで死んだとなれば、それなりの精神的ダメージが
残る物ではないか。刑事にはそんな傷を引きずって生きている
部分もあるのかも知れないが、今回の展開ではあまりにそんな
傷を彼の中で消化しすぎている所がやや不自然に思う。

このドラマで必要な要素は、刑事たちがこれまで通りの捜査法では
一筋縄ではいかない犯罪の横行であったり、手順を省く必要性の
有る事案だと思うので、そういう意味では犯罪の特質さなんかも
もう少し要求されるものかも。

今回やたらとみんなが手にパワーストーンの様なブレスレット
をしていたけど、そんなにはやっているのだろうか?

事件解決後の後味の悪さなんかは、こういうドラマの中に於いて
は逆にキラリと光る物がある。里中のとったルール通りの行動。
警察官としての使命感というよりも、前島の言いなりと化して
しまっている辺りが気になるけど、里中はどんな方向性をもって
刑事を務めていくのか。

余談だが今回の犯人役の緒形幹太さんは、緒形拳さんの息子さん
で緒形直人さんのお兄さんだ。

富樫正義 …… 高橋克典 (主任。巡査部長。)
里中啓一郎 …… 小泉孝太郎 (係長。警部補。)
飯沼玲子 …… 内山理名 (刑事。巡査部長。)
柴田安春 …… 鈴木浩介 (刑事。巡査部長。)
山下学 …… 平山浩行 (刑事。巡査部長。)
森川明日香 …… 滝沢沙織 (雑誌記者)
津上譲司 …… 八神蓮 (刑事。巡査部長。)

里中理恵 …… 原田佳奈 (里中の愛妻、専業主婦)
西村和也 …… 敦士 (玲子のヒモ)
平松亜美 …… 松原夏海 (交通課の女性警官)
三枝由美 …… 桃永 (交通課の女性警官)
富樫のぞみ …… 宮武美桜 (富樫の娘。中学二年生)
猪原勇作 …… デビット伊東 (第三係係長。警部補)
藤井佐知代 …… 大森暁美 (富樫の妻・紀子の母親。のぞみの祖母)
石黒孝雄 …… 梅沢富美男 (課長。警部)
前島隆造 …… 村上弘明 (神奈川県警警務部長)


篠崎光代 …… RIKACO (ベイホールディングス・社長)
重松 …… 野添義弘 (人身売買ブローカー)
胡桃沢忠行 …… 松田ジロウ (被害者)
立石文彦 …… 岡田正典 (町野屋グループ)
タケル …… 本川嵐翔 (目撃者の子供)
池ノ上 …… 緒形幹太 (ベイホールディングス・社員)

矢嶋俊作、石堂夏央、山崎画大、田中登志哉

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