ハンチョウ 〜神南署安積班シリーズ4〜 正義の代償 (2011年4月期・TBS・月曜20時枠) 原作：今野敏 脚本：いとう斗士八(1)(2)、大川俊道(3)、安井国穂、岡芳郎 音楽：遠藤浩二 プロデューサー：橋本孝、遠藤正人 演出：酒井聖博(1)、竹村謙太郎、村田忍(3)、竹園元(2) http://www.tbs.co.jp/hancho/

第3話 シェルターの女…DV夫から逃げる妻たち
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神南署管内でひったくり事件が多発していた。
黒木と須田はひったくりの多い現場で張り込みしていると目の
前で女性が男に襲われる。黒木が容疑者を追い、須田は被害者
望月麗子(28歳)から事情を聞く。近くの交番で調書を取らせて
欲しいとするが、電話をかけると行った隙に何処かに逃げられ
てしまう。麗子の左頬にはアザが有った。

須田たちは警察署に戻るとハンチョウに事件を報告。
被害者が消えたことに関して、何らかの身元を明かしたくない
理由があるのか。
須田は麗子が襲われた近辺のコンビニに聞き込みに行くと、そ
こで伊丹万里子(32歳)という女性が声を掛けてくる。貴方が
探している女性は私が保護しているという。居場所は教えられ
ないとする彼女に対して、自分も彼女の無事が確認されない
限りは帰れないとする須田。すると電話で一応麗子の声は聞か
せてもらえる。

麗子を連れて警察署に行き事情を聞くと、彼女は女性を夫の
DVから守るNPO団体を主催しており、希望の家というシェルター
に彼女たちのような女性を住まわせているという。安積たち
は何とか調書を取らせてDVの件でも話を聞かせて欲しいとする
が、警察からも情報は漏れるとして一切話をしてくれなかった。

麗子の夫・裕一はイタリアンレストラン"カポーティ"のオーナー
でとても繁盛している事を知る。麗子は元ウェイトレスで
3年前に結婚。シェルターには常時2、3人の女性がいて共同生活
しているという。

シェルターには石井紗耶香(21歳)や広瀬香苗(38歳)の姿も
有った。広瀬は最近夫が離婚に応じたとして解決を見せる中で
紗耶香は未だに夫の影に怯えていた。

万里子の元に須田は訪れ、麗子に対する暴力の実態を知りたい
為に是非麗子から話を聞かせて欲しいと頼むが、精神的に落ち
着くまでは連絡を取らせないという。そんな中、万里子の元に
は麗子の夫・裕一から電話が鳴り、妻が居るとするシェルター
の場所を知りたいと告げる。
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頻発するひったくり犯を捕まえる中、被害者の女性・望月麗子
は何者かに殴られたようなアザが顔にあるのを見る。
話を聞こうとするが、彼女は目の前から居なくなり、翌日には
彼女の代理人だと語る伊丹万里子が神南署の刑事の前に現れる。
麗子は夫からDVを受けているとし、万里子はそんな女性達の
避難所であるシェルターをボランティアで運営していると語る。

これだけコミュニケーションツールというものが発達している
現状にあって、逆にそれを遮断したが故に新たな悲劇を誘発
してしまうというなんとも悲しい話だった。

ドラマとしては完全にDVの話題に集中して冒頭からミスリード
を引き起こすように誘導されており、麗子や万里子自身にも
ちょっとした容疑者的視線が及ぶ一面も面白く浮かび上がる。

ネタとしてはシンプルなもので、被害者たちの頑なな心を
解きほぐしていくのが、誠実で熱心に語りかける須田の役目。
カンで捜査する悪い癖の付いた須田だけど、今のところその
カンが不利に働いた試しはないので安心してみていられる内容
かな。

今回笑えることに金子課長の動きに妙な効果音付き。
完全にネタの人になりつつある課長だけど、保身的行動を
取る彼の存在はお約束の様で楽しい。
DVは所詮家庭内のケンカだと言い退けてしまう辺りも、彼らし
い発言なのかもしれない。

また被害者のケアが前面に出始めた神南署の刑事らしい捜査だ
ったのかもしれない。
助けてくれると思っていた北原雅彦までもが、裏切りの対象
で有ったことで、より人間に対する不振さが浮かび上がるもの
だった。