ハンチョウ 〜神南署安積班シリーズ4〜 正義の代償 (2011年4月期・TBS・月曜20時枠) 原作：今野敏 脚本：いとう斗士八(1)(2)(4)、大川俊道(3)(6)、安井国穂(8) 岡芳郎(5)(7) 音楽：遠藤浩二 プロデューサー：橋本孝、遠藤正人 演出：酒井聖博(1)(6)、竹村謙太郎(4)、村田忍(3)(5)(7)、竹園元(2)(8) http://www.tbs.co.jp/hancho/

第8話 ニセ安積が現れた!しかも犯人まで逮捕!?
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松田吾朗という強盗犯を追い、安積班を全員で立ち向かう。
犯人はナイフを出してきた為に安積はナイフを交わして見事
取り押さえる。
近くで交通量調査をしていた林田健一と三輪幸雄は目の前の
捕り物劇に感動。しかも安積は自ら、神南署の安積である事を
名乗ると迷惑を掛けたことを謝罪していく。その姿に二人は
うっとりする。

二人はアルバイトで生計を立てており、バイトの間にハロー
ワークに通う。三輪は彼女・向井奈津美とデートの為に駅前
のお好み焼きを食べに行くという。林田は一人でパンを食べる。

そんな中、公園で女子大生のめぐみが二人組の男性に車に
無理矢理乗せられそうになるのを目にしてしまう。それを見た
林田は、自らを神南署の安積だとして名乗ると、男達はすぐに
退散し、女子大生は感謝を示す。

オフィス街の裏通りの階段で男性・杉山光男が転落して亡くな
る。落ちた場所には争ったような形跡が有る事から突き落とさ
れた可能性が高い。男はスクエア不動産を経営していた。
黒木は現場で三輪幸雄の漫画喫茶のカードを見つける。

スクエア不動産にいき、妻であり副社長をしている杉山由美子
から話を聞く。三輪の写真を見せるが由美子は知らないという。
社員の一人・榊原はその写真を見て、一度社長と揉めている
ところを見たとの事だった。
スクエア不動産について調べていくと、ホームレスを対象にし
生活保護を受給させて自分たちが担当しているボロアパートを
借りさせるという貧困ビジネスをしていた事を知る。

その頃林田の元に三輪から電話が鳴る。
"俺が人を殺してしまった"と三輪から一方的に話して電話が
切れてしまう。林田は三輪の彼女で美容院で見習いをしている
奈津美に会いに行くも、三輪の事は知らないという。

スクエア不動産について調べていると、過去に向井靖男(51歳)
が自殺している事を知る。ノルマを達成できず、社長や社員から
酷く暴言を受けていた事を知る。しかも三千万円の保険金を
会社名義で加入させられている事を知る。向井には娘が一人
いて、その子は幡ヶ谷の美容室でバイトしているというが・・
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階段から男性が突き落とされて亡くなる。
男は悪徳不動産屋で、ホームレスたちから生活費を受給させ
てアパートを借りさせたり、社員たちには会社を受け取り人
として生命保険に加入させたり、アパートを借りた人にも
1日でも家賃が滞納すれば、室内の持ち物の全てを没収する
事を繰り返していた。

カップルの男女が二人とも違う理由で被害者に対して恨みを
持つ人物として存在し、互いに相手が殺害したのではないか
と勘違いしていくミスリードのスパイラルによってドラマを
かき乱すという展開だった。

ドラマとして面白くできているのは、やはり偽安積の登場だ。

遊び心とシリアスさのバランスが絶妙で、ドラマ「BOSS」にも
是非見習って欲しいところが有るのかも。

「ヅラ刑事」として映画でも活躍しているモト冬樹さんに、
その大役を与える。
優しいけれど強さはなく、それは優しさではなく臆病の裏返し
とまで言われてしまった男に現在必要なものとして、心の強さ
が求められる。
黒い手帳を見せれば、それだけで人間が大きく見えてしまう
ということで、自ら神南署の刑事だと名乗り町中の事件を
解決したり、この一件に於いても仲間を助けるために奔走する。

神南署の刑事を名乗るにしても、何も馬鹿正直に安積だとしな
くても良いのに、その辺は本人の性格と、目の前で事件を解決
した安積に対するリスペクトさ加減が伺える。まぁ名前を
勝手に使っておいてリスペクトも何もないかも知れないが・・

林田の優しさから、三輪の事を助けたいが為に安積の名を利用し、
同じ苦労を知る人物だからこそ、底辺で生きる辛さから、
上手く元気づける言葉を探り出して、仄かな希望を植え付けて
いる。それもまた自分に対して掛けてあげるべき言葉だと
いう事で、上手くブーメラン効果を得ている。

ワンポイントで出てくる友紀子や速水の使い方も上手かった
し、久しぶりに娘の涼子が出てきたことも嬉しい演出だ。