遺留捜査 (2011年4月期・テレ朝・水曜21時枠) 脚本：尾西兼一(1)、坂田義和、池上純哉、伊藤洋子他 監督：猪崎宣昭(1)、麻生学、長谷川康 ゼネラルプロデューサー：松本基弘 プロデューサー：三輪祐見子、丸山真哉・横塚孝弘  主題歌「記憶」 MISIA http://www.tv-asahi.co.jp/iryu/

第1話 玩具のピアノと乱れた足音
--------------------------------------------------------
ピアノとバイオリンの演奏会で共演する相川雪江と財津陽一。

1年後、作曲中の財津陽一がアイスピックで背中を刺されて
自宅で亡くなる。

捜査一課の・宮下晴彦や富樫謙三たちは鑑識が入るのを待つ
中、科捜研の糸村聡らは現場へ。
現場からは、床に土砂が見つかり、長い髪の毛が落ちている
のを見つける。堂本治によると頸部静脈の出血死だという。
そんな中、糸村は現場に置かれていたオモチャのピアノを
見ていた。

社長の入江大志にも財津が亡くなった事が知らされる。
捜査一課は入江に話を聞くと、あいつの才能に生き甲斐を感じ
これまで彼のことを守ってきたという。財津は芸術家肌で
もめ事が多かったという。捜査課の牛島は玄関の鍵がかかって
いなかった事を指摘すると、色んな人が出入りしていたので
鍵をかけない事が多かったという。

糸村は同じく科捜研で働く村木に現場で見つけた証拠品を
託し、自分は電話の相手と会うために出て行く。
糸村は捜査一課長の加賀美亨に逢うと、現場で見つけた楽譜と
レコーダーに吹き込まれていた曲が違う事を指摘する。

世田谷東署に捜査本部が設置され、現状が報告される。
死亡推定時刻はPM11:00からAM1:00の間。目撃証言は無く、
結婚間近の女性・相川雪江の存在が有ったことを聞く。
雪江に話を聞きに行く捜査係の織田みゆき。
すると秋には結婚する予定だったが、突然よそよそしくなった
とし、突然結婚の話が無くなった事を聞く。突然のメールが
来て断りの言葉が示されていたが、理由は言ってくれないとの
事だった。
そこに糸村がやってくると、オモチャのピアノに関して何らか
のいきさつが無いかを尋ねるが、雪江は何も知らないと告げる。
--------------------------------------------------------

遺留捜査官こと科学捜査係の糸村は、他の捜査官とは別の角度
から遺留品を調べ、犯行の真相へと導いていく。
自宅で殺害されたピアニストの財津陽一は、誰に殺害された
のか。

なんともつかみ所のない主人公・糸村聡が活躍する物語。

一見関係のなさそうなアイテムに着眼点を持つ部分は興味深い
ものだけど、それも行き過ぎるとやや興味を失ってしまう。
如何にも奇人である事を強調する演出は限りなく控えめの
トーンで描いて欲しい。そういう意味では糸村が捜査一課や
同僚達に煙たく感じられている事を除いてはまずまずと言った
感じか。

死者の言葉に耳を傾けていくという事で、この手のキャラ
クターには定番のものが有るのかも知れない。
テレ朝さんは「臨場」と「相棒」で大成功を収めた事も有って
そんな二つの主人公のキャラクター性を加味して新しいキャラ
クター像を確立して意図があるのだろう。

正直無駄に捜査官が多すぎる所が、最近のテレ朝の刑事物の
特徴で、少々取り留めがない感じがする。

何故ICレコーダーには本人が作曲したものとは違う曲が吹き込ま
れているのか。
楽曲の癖を見抜いてしまう辺りに、少々信憑性が無かった感じ
もする。
レコーダーが現場に無ければそれだけ犯人を特定するものが
減る訳だけど、そんなリスクを押してまで現場に残して言った
事に何の意味があるのか。自己顕示欲の為という理由が現実的
な事なのかどうか。その辺は受け取り方次第の所があるのかも
知れない。

ドラマとしては残されたものへ、死者の考えていた事を伝える
為にフォローするような流れが有るけれど、その辺の流れも
ピアノ一つで少々糸村が死者の気持ちを知りすぎている様な
感じを受けてしまう。良くできてはいるけど少々胡散臭い
展開な感じもする。