遺留捜査 (2011年4月期・テレ朝・水曜21時枠) 脚本：尾西兼一(1)、坂田義和、池上純哉(3)、伊藤洋子(2) 監督：猪崎宣昭(1)(2)、麻生学(3)、長谷川康 ゼネラルプロデューサー：松本基弘 プロデューサー：三輪祐見子、丸山真哉・横塚孝弘  主題歌「記憶」 MISIA http://www.tv-asahi.co.jp/iryu/

第3話 12402歩
--------------------------------------------------------
国産食材に拘ったタキ食品の専務・瀧博久(40歳)が、営業車
の脇で首をヒモで縛られ殺害される。
後頭部を殴打した跡に絞殺されている事が判明。死亡推定時刻
は昨晩21時で、絞殺に使われた物は15mmのひも状のもので
一部繊維片が手に付着していた。
恐らくヒモには皮膚片が付着しているであろうとの事だった。

糸村は遺留品の中に、万歩計付きの時計があることに気がつく。

その頃帝都新聞の町山千尋は、上司の金城に頼み、無くなった
社員証の再発行を求める。

被害者の博久が務めていたタキ食品に話を聞きに行く。
経営者は瀧隆一郎。妻・富士子、そして娘で有り被害者博久の
妻である由利枝と息子の隆太の家庭だった。被害者は40歳で
娘婿、次期社長。勤勉で低姿勢で働き者だったという。

被害者の事を調査していくウチに、口座から頻繁に金を引き出
していることが判明。被害者が乗っていた営業者には多数の
アワビ釜飯が積まれていた事。万歩計は毎日1万から1万5千歩
が記録されている事を報告する。糸村はすぐに被害者がしてい
たものと同じ万歩計を購入する。

科捜研では繊維片を調べると、ナイロン100%で赤い繊維。
主にネックストラップとして使用されているものだろうとの事
だった。

一方被害者の携帯電話を調べると会社関係の電話以外に、一人
の女性・町山千尋に頻繁に電話していることが判明する。
千尋は博久が独身時代に働いていた帝都新聞の後輩だという。

妻の由利枝から話を聞くみゆき。
そこで彼女から夫は浮気していた可能性が有ることを聞く。
最近帰宅が遅く、休日になると何処かに行っていたという。
由利枝が夫と出会ったのは大学生の頃で、その時の彼はジャー
ナリストを目指していたという。しかし父が説得して婿養子
として会社を継いで欲しいと頼んだとのことだった。
そんな中、糸村も由利枝の元にやってくる。万歩計型の時計に
ついて尋ねると、由利枝がプレゼントしたものだが、仕事が
忙しくそれを使うヒマなど無かったのではないかという。
しかし糸村によると、毎日1万歩以上の記録が残っており、
何処かに歩いて行っていたのではないか?と告げる。
--------------------------------------------------------

被害者の博久は毎日1万歩以上の距離を歩いていた。
しかも亡くなる直前まで頻繁に電話でやりとりをしていた
後輩の女性・町山の存在が明らかになっていく。多くを語ろうと
はしない町山が何か知っているのではないかと疑うが・・・

ドラマとしてはこれまでの中では一番分かりやすく内容として
も面白く構成された話だった。

万歩計によって被害者が生前どこに行っていたのかを想像
させるつくりだし、直前まで連絡を取り合っていた女性・
町山の存在が第三者として面白くミスリードを誘う。

被害者の歩数の謎と町山の関連の謎が点と点として存在し、
徐々に営業車に積まれていた釜飯の謎の解明と共に、それら
の点が上手く結びついていくという段取りが機能していた事が
成功の要因だ。

規則性の有る生活/1日1万歩のリズムの中で、日曜日にだけ
その数字が少ないとする辺り、着眼点とするにも無理が無い。

ただ被害者が生前何をしようとしていたのかを解き明かす過程
にこそ無理は無かったけれど、新聞記事を息子に手渡した事
への糸村の憶測による被害者の心情を語る辺りには、やっぱり
上手く魅せようとしてやや説得力を欠いた内容だった。
被害者は妻の事を裏切ってはおらず愛していたという事だけで
説明も辞めておけば良かったと思うとちょっぴり残念なオチだ
ったかもしれない。