遺留捜査
(2011年4月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本:尾西兼一(1)(4)(5)、坂田義和、池上純哉(3)、伊藤洋子(2)(6)
監督:猪崎宣昭(1)(2)、麻生学(3)(4)、長谷川康(5)(6)
ゼネラルプロデューサー:松本基弘
プロデューサー:三輪祐見子、丸山真哉・横塚孝弘 
主題歌「記憶」 MISIA

http://www.tv-asahi.co.jp/iryu/



第6話 神棚の木片
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居酒屋"萬月"。板前の市村俊哉の元に今日も常連客が集まる。
カウンターに座る
関口とこの店の大家でも有る新田輝夫。そこ
に少し遅れてスポーツ記者の
水沢成美がやってくる。
その晩、市村は店の包丁によって刺されて亡くなる。

第一発見者は朝8時頃忘れ物をとりに来た成美だった。
すぐに鑑識が現場検証に入る。
死亡推定時刻は昨夜24時から26時。背中を包丁で刺されたこと
による出血死。現場の壁には被害者の血痕が飛び散っていた。
厨房には被害者以外に2人分の足跡。
糸村は店内に貼られていた写真を元に、板前の俊哉が常に首
からぶらさげていた
手ぬぐいを探すが見あたらない。
現場には血の付いたウィンドブレーカーと、神棚に飾られてい
木片が落ちていた。それを鑑識に回す。
糸村は同僚の村木に頼み写真の手ぬぐいの事を解析して貰う。
手ぬぐいに書かれている文字は一体何なのか。

サンダーズスタジアムで、織田みゆきは、野口洋と共に被害者
の弟・
市村瞬に会いに行くと、兄の死亡を知らさせる。現在
十条署に遺体が安置されているので確認に来て欲しいと頼む。
しかし弟は、兄とは両親が7年前に事故死して以来、交流が
無かった事を告げ、確認に行くのを拒む。弟はプロ野球の
ドラフト候補として期待されていた人物の一人だった。

居酒屋のオープンは6年前。しかし被害者の俊哉は最近店を
辞めたいとして借金の返済分50万円を大家に持ってきていた事
が発覚する。兄弟は12歳差で、出身は北海道の函館。
被害者は成美と付き合っていたのではないか?という目撃証言
も現れ始める。現場の厨房に有った足跡は27インチのスニーカー
と24インチのローヒールだと判明する。またタオルの文字は
"龍"と書かれていることが分かる。

糸村はタオルが何処かの開店記念品に配られた物ではないかと
推察し、商店街で話を聞き回る。すると喫茶店にいた一人の
役者・
望月洋二は、事件があった夜にマスターと女性が店内
で言い争いしていた事を証言する。
一方みゆきは店の帳簿を調べていくと、Nと書かれた人物から
100万円近く借りている事を突き止める。
成美が金の件で俊哉を殺害したのか?

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居酒屋の店主が殺害される。
借金をしていた事や、疎遠になっていた弟の存在。そして
そんな二人を繋ぐ女性記者の存在と、容疑者が特定できずに
居る中で、聞き込みをしていくウチに、被害者は店を畳もうと
していた事を知る。

両親を事故で失い疎遠になっていた兄弟。
プロ野球を目指して練習してきた弟は兄の事を憎んでいる様子
で、死んだとする報告にも彼は兄のことを許そうとはしない。

兄の生前の行動は一体何を意味する物なのか。

落語を題材にしたドラマという事で、兄の弟に対する気持ち
を落語の演目になぞって綴られたもの。
ありがちといえばありがちな手法では有るけれど、実際にスト
ーリーに被せて描くとなると難しそうだね。
そんな物語を上手くまとめ上げた感じのする内容だった。

一人の女性を取り合い兄弟喧嘩したのかとか、金の件で兄弟
が差し違えてしまったのかとか色々と想像する物が有ったけど
実際には兄の生前の行動の全ては弟の事を思っての行動と
言うことで、ちょっぴり悲壮感を漂わせる流れだった。

兄と弟を結ぶ女性の存在がキーマンとして浮上し、彼女さえ
二人を上手く導けば、もう少し違った展開も有ったのではないか
と思わせる。

必要以上に出しゃばり感の無くなった糸村の行動が気にならな
くなったことで、ドラマの進行や感情移入を邪魔していない
し、最後の種明かしのシーンは若干想像力が豊かすぎるきらい
は有るけれど、なかなか形としては上手くまとまっていたと
思う。

事件自体は難しい物ではなく、犯行を犯した犯人が現場に
ウィンドブレーカーを脱ぎ捨てていったり、返り血を吹いた
手ぬぐいが残っているのだから、特定は難しくなかったと思う。

弟が持つ兄のイメージというものを如何に打ち砕くのかが
今回のドラマの良さでも有ったね。

糸村聡 …… 上川隆也 (科学捜査係主査。警部補)
織田みゆき …… 貫地谷しほり (殺人捜査第1係、巡査部長)
曽根武雄 …… 佐野史郎 (殺人捜査第1係 係長。警部)
加賀美亨 …… 大杉漣 (捜査一課長)
横山恵一 …… 波岡一喜 (科学捜査係、巡査部長)
江藤奈津子 …… 水野真紀 (日本音響研究所、所長)
宮下晴彦 …… 螢雪次朗 (殺人捜査第1係)
富樫謙三 …… 伊藤正之 (殺人捜査第1係)
堂本治 …… 妹尾正文 (殺人捜査第1係)
村木繁 …… 甲本雅裕 (科学捜査係、係長)
大石鉄夫 …… 浅見小四郎 (科学捜査係、係長)

原元太仁、田中伸一、野口雅弘、室谷康博、崔哲浩、山森大輔

村上かず、大久保運、須川和洋、高橋伸輔、八巻博史
鬼頭真也


市村俊哉 …… 近藤公園 (35歳、居酒屋"萬月"板前)
市村瞬 …… 伊藤祐輝 (プロ野球選手を目指す弟)
水沢成美 …… 北川弘美 (スポーツ記者)
望月洋二 …… 木下ほうか (売れない役者、振り込め詐欺)
新田輝夫 …… 田村勝彦 (大家)
柊龍蔵 ……沼田爆 (落語家)
森川勇太 …… 小林翼 (龍蔵の孫)
関口 …… 野添義弘 (俊哉の店の常連客)

花ヶ前浩一、松田ジロウ、中村憲刀、岡野友信、吉田祐健
堀内美希


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