遺留捜査 (2011年4月期・テレ朝・水曜21時枠) 脚本：尾西兼一(1)(4)(5)、坂田義和(8)、池上純哉(3)(7) 伊藤洋子(2)(6) 監督：猪崎宣昭(1)(2)(7)(8)、麻生学(3)(4)、長谷川康(5)(6) ゼネラルプロデューサー：松本基弘 プロデューサー：三輪祐見子、丸山真哉・横塚孝弘  主題歌「記憶」 MISIA http://www.tv-asahi.co.jp/iryu/

第8話 つぶれた指輪
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水嶋達彦(31歳)と水嶋容子(27歳)は、離婚式を開く。
江上伸治が司会進行を勤める中、結婚式のVTRを流し、そして
最後の共同作業だとして、結婚指輪をハンマーで壊す。
大学の同級生の城戸信男や小峰真由美は複雑な感じで眺めて
いた。会社の先輩・沼田明典(34歳)は二次会で浮かれている
達彦に対していい加減にしろと突っかかる。

外は雨が降る中、達彦は自宅マンションで殺害されて発見され
る。第一発見者は、会社に来ないことを不審に思って尋ねて
きた沼田だった。沼田によると午後1時頃、上司に言われて
達彦を呼びに来た時に死んでいるのを見つけたという。ドア
には鍵がかかっていなかったとの事。不動産屋によると、達彦
は三日前に引っ越ししてきたばかりだった。

達彦は包丁で一突きされていた。
血だまりの中には婚約指輪が落ちていた。しかもその指輪は
達彦の物ではなく、妻・容子のものであることが分かる。
糸村は部屋の中を捜索していくと、引っ越したばかりで殆どが
ダンボール箱に入ったままだが、クラシックのCDが一枚外に
出ているのを見つける。

所轄の月島東署に捜査本部が設置される。
鑑識によると死亡推定時刻は昨夜9時から11時。
離婚式の様子を写したVTRが有り、捜査員達はみんなで見る。
達彦の浮気によって離婚した事が分かる。VTRを見た宮下は
被害者はチャラい野郎だと呟く。

元妻・容子に月島東署まで来て貰い、遺体を確認して貰う。
自分とはもう関係のない人だという彼女。指輪の件を尋ねると
部屋に置いておいたもので、自分は知らないという。
包丁の指紋は拭き取られており、部屋に侵入した形跡はない。
容子には犯行時刻にアリバイが無かった。しかも達彦には保険
金がかけられており、受取人は容子になっていた。
糸村は捜査官達の前で、あの日は雨が降っていたのに濡れた
タオルが無かった事を指摘する。取りあえず、達彦の浮気相手
を調べようということになる。
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離婚した直後に浮気した夫・水嶋達彦が殺害される。
果たして殺害したのは、浮気をしてチャラい男になったと
見下した先輩の仕業なのか、それとも浮気された事に逆上した
妻の仕業なのか。

調査していくウチに、殺害された達彦が突然性格が変わった
かのようになった事が分かる。
変わったとされる大学4年生の夏に一体何が有ったのか。

糸村の存在が鼻につかなくなっただけで、随分印象も変わって
きた。科学捜査係の横山、村木、糸村の三人の関係が良い
感じに見えるのもドラマとしては効果的だ。

浮気しても何の罪悪感も持たない男の別の一面が捜査していく
ウチに明らかになり、妻への気持ちが徐々に浮かび上がって
くるところなど見事なものがある。

ドラマとしてのポイントは、達彦の気持ちが何処にあったのか
という事だ。
過去の事象の中に、達彦の気持ちの転換点と同時に、容子と
の因縁のエピソードが描いたこと。
達彦のその後の行動は、容子の父親を死に追いやってしまった
事で罪悪感を持って彼女と付き合っていたのか、それとも本当に
愛していたのか。
その辺の事情を遺留品の中から見出していくと言うことで、
まさに糸村が主人公らしくその役割を担っていたものだった。
捜査せずに死者の声ばかり拾い上げているのは不自然なのだけど、
今回はバランスよくそれらをこなしている。

CDの存在は直接的には犯行を裏付けるものへと繋がるものでは
無かったし、指輪もまた同様だけど、事件の解決は捜査第1係
に任せて、本当の意味で被害者の心を救済する様に遺留品を
使って導いていった方がこのドラマらしさが描ける。そういう
意味では今回、それを遂行して見事このドラマらしさが出て
いた話だったと思う。