JIN 〜仁
(2011年4月期・TBS・日曜21時枠)

原作:村上もとか
監督:平川雄一朗、山室大輔、川嶋龍太郎
制作:石丸彰彦、津留正明
脚本:森下佳子
音楽:高見優、長岡成貢

http://www.tbs.co.jp/jin-final/



第1話 時空を超えた愛と命の物語〜完結編始動!!歴史の針が今、
再び動き出す…人は人でしか救えない

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2009年脳外科医として胎児型の腫瘍を手術して以来、数々の
不思議な出来事があり、江戸にタイムスリップしてきた仁。
医療を通して江戸の人たちと出会うことになった。
しかしいつまでこの世界に居るのか分からず、最愛の人である
友永未来の腫瘍を治せる未来を作るまで戻ることが出来ないの
か考えていた。

1864年、仁が江戸に来てから2年の月日が経過。
仁は仁友堂に帰宅すると、助手をしてくれている咲の様子が
可笑しいことに気がつく。話を聞いてみると、結納をドタキャ
ンして以降、橘家から勘当され、母・栄とも疎遠となっている
事を気に病んでいた。一度謝りに行った方が良いのではないか?
という仁だが、仁は喜市に相談すると、橘家に起きている状況
はより複雑で、容易に解決できる問題ではない事を知る。

仁は橘家に行き恭太郎に謝罪すると、咲も先日実家に来たが、
母は決して家の敷居を跨がせず、追い返したのだという。
しかもその母が現在脚気によって病床に伏せていて容体がよく
無いことを知る。脚気はビタミンB1の欠乏によって起こるもの。
江戸の市民は白米を食べるがおかずが貧素でそのような病が
はやり、当時の医療では原因や解決法が分からず、明治の時代
になっても脚気によって人々は命を落としていた。
栄に頼んで診療をさせてもらい、脚気を治すには食事療法しか
ない事を告げるが、栄は生きる望みも無いとして、自ら治療
を拒んでしまう。。

仁は仁友堂に戻り咲にその事を告げると、これは母親から私
への罰だとし、死を持って戒めようとしているのだと語る。
黙って受け入れるしかないという咲に対して、仁はそれは違う
と語る。咲は医者でも有るので患者を前にして黙っているだけ
というのは違うことを訴える。
咲は考えを改め、脚気に良い食べ物だと悟らせないように
食事をさせれば良いのだという。
その晩、医師の山田が夜中にカリントウを食べているのを見て
咲は有ることを思い出す。母親はカリントウを独り占めして
食べるほどに大好きだった事。それを聞いた仁は、道名津
(ドーナツ)という食べ物を考案する。

その頃、野風は仁から乳ガンの手術を受けて以降、横浜で子供
相手に学習塾を開いていたが、近隣の女性達は、吉原で花魁を
していた彼女に夫や若い衆が移ろいを感じているのを敏感に
察して彼女を追い出そうとする。落ち込んでいる野風に対して
龍馬は、彼女の家の外にかんざしを置いていく。

ドーナツを作るも、栄が容易にそれを口にするとは考えられな
かった。頭を悩ませていると、兄の恭太郎がやってきて一芝居
打とうという。喜市が新製品として売り出す為に試食という
形にすれば良いという。早速それを持って行くが、一口食べた
後、脚気の薬のために仁と咲が作ったものだと悟られ、それ
以上口にすることはなかった。

そんな中、京都から龍馬がやってくる。
彼は仁に有る人物を助けて欲しいという。佐久間象山という
大医学者で勝海舟の師匠だという。
現在の京では幕府と薩摩の開国派に対して、外国人を実力行使
で排斥しようという反体制派の攘夷論を掲げる長州藩の対立が
激しくなっていた。

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江戸にタイムスリップして以降、医療の質の向上に勤め、
現存していなかった夢の薬・ペニシリンによって数々の病気
から人の命を守っていく仁。いつ自分の居た世界に戻れるのか
分からない中で、未来の運命を変えないように過ごすべきなの
か、それとも医師としての使命を全うするべく、患者を助ける
事が大切なのかを模索していく。そんな中で、歴史上主要な
人たちとの関わり合いを通して、仁は決意を固めていく。

歴史を知っているのと知らないのとでは、このドラマに於ける
興味深さが半減してしまうものだけど、それでも仁の持つ圧倒
的な近代医療知識を使って当時の人たちの常識を覆していく様子
だけを見ても十二分に楽しめる内容となっている。

ドラマとしては仁がどのような経緯を経て、現代の世界に戻って
いくのかが最終的な興味だけど、それまでに彼が江戸の世界に
どこまで関わっていくのかが当面の興味の示すところ。

方向性を失い苦悩している仁の前に登場してくる佐久間象山や
西郷隆盛の姿などが、彼自身の方向性を確固な物とし、
上手く人生を導く先導役・反面教師役となっている。

初回2時間だけ有って色んなエピソードが存在したけれど、
上手くそれぞれに及ぼす影響を計算し、両方が助けられない
様にしてみたり、果ては仁の出来ることの限界点を見せたり
して、上手く色んな感情を喚起している。

仁がどの程度の事に関与しても良いのかどうか、その辺の線引
きの疑問を象山が語る辺りも上手くできている。神の意に
そぐわなければ神は容赦なく取り消すだろうとし、神は決して
甘くはないとした事で、心の意のまま進むよう上手く後押しし
ていく。

龍馬の暗殺の件を話そうとしている辺りは、映画「バック・
トゥ・ザ・フューチャー」
でマーティがドクに話そうとしている
シーンを思い出した。
何処まで歴史の整合性を図っていくのかも楽しみだけど、逆に
ドラマだと割り切って史実を変えてしまうのも一興かも知れない。

南方仁 - 大沢たかお
友永未来 / 野風 - 中谷美紀
橘咲 - 綾瀬はるか
橘恭太郎 - 小出恵介
佐分利祐輔 - 桐谷健太
山田純庵 - 田口浩正
橘栄 - 麻生祐未
勝海舟 - 小日向文世
坂本龍馬 - 内野聖陽
喜市 - 伊澤柾樹
茜 - 橋本真実
松本良順 - 奥田達士
浜口儀兵衛 - 石丸謙二郎
多紀元? - 相島一之
福田玄孝 - 佐藤二朗
八木(医学所学生) - 斉木テツ
横松(医学所学生) - 中江大樹
澤村田之助 - 吉沢悠
新門辰五郎 - 中村敦夫


西郷吉之助(隆盛) - 藤本隆宏
東修介 - 佐藤隆太 (薩摩藩、怪我していて龍馬が診療所に運ぶ)
中岡慎太郎 - 市川亀治郎
近藤勇 - 宮沢和史 (仁を西郷隆盛の元へ拉致する)
皇女和宮 - 黒川智花
佐久間象山 - 市村正親 (大怪我、10歳の頃未来へ)
久坂玄瑞 - 林泰文 (長州藩、無実を訴える)

内倉憲二、石橋祐、大森博史、石部雅紀、生津徹
石井テルユキ、原田一樹、青木忠宏、児島功一、佐伯暢晃
徳秀樹、城野マサト、西田聖志郎、山本修、中野寛大
石原和海、川渕良和、五宝孝一、小柳友、春延朋也
税所伊久磨、佐久間祐人、杉野梨琉、助友智哉、澤口夏奈子
平田浩二、植村恵、堀内充治


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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