JIN 〜仁
(2011年4月期・TBS・日曜21時枠)

原作:村上もとか
監督:平川雄一朗、山室大輔、川嶋龍太郎
制作:石丸彰彦、津留正明
脚本:森下佳子
音楽:高見優、長岡成貢

http://www.tbs.co.jp/jin-final/



第5話 消えた体の謎
--------------------------------------------------------
土手から転げ落ちて腹部に枝が突き刺さるお初の緊急手術中に
仁は突然消えてしまう。仁はその間に、お初の結婚式や、現在
の世界の仁自身の姿をビジョンとして見る。お初を助けたこと
で、仁自身が生まれない状態が起こっていたのである。
仁は元の世界に戻ると、お初はDICの状態にあり、助けることが
出来なかった。これがお初の定めだったのか。

咲にも自分が見てきた全てのことを語り、私がこの世界に来な
ければ、彼女ももう少し長く生きられたのではないかと悔やむ。
しかし先はお初の運命だったとすれば、別の形で亡くなる事も
考えられるとして、仁を慰める。仁はこれまで沢山の人を助け
てくるが、実際には誰一人として助けていないのではないかと
いう。

そんな中、龍馬が京の
寺田屋で襲われた事を、勝から聞いて
知る事になる。勝は今後龍馬と関わるならば用心した方が良い
と告げる。

咲の兄・恭太郎は、仁の元に行くと咲の事をどう考えているの
かと問う。自分は彼女を一人前の医者にする事が使命だと告げ
る。そもそも私のような幽霊みたいな人と一緒になろうとする
人は居ないと仁は語る。

寺田屋事件が史実通りに動いていた。龍馬暗殺を阻止する事な
ど出来ず、自分がしている事はつかの間の延命措置だという。
歴史の修正力の前には、無力だと悟る。

そんな中、仁の元に
田之助がやってきて診て欲しい人がいると
いう。
浅草守田座の兄弟子・吉十郎の事だった。
手足が動かず、指先は爛れていて、歯茎は黒くなっている。
仁はそれを診て
鉛中毒だと告げる。歌舞伎の白粉の中に鉛成分
が入っていて、湯気などで体内に取り込まれているのではないか
と推測する。現在の世界では、
キレート剤のような鉛を体外に
出す薬が無いために治療は難しいという。延命措置をする
くらいしか出来ないと告げると、田之助はせめて最後に舞台に
立たせることは出来ないか?と尋ねるが、手足の神経が麻痺して
いる現状では無理だと答える。すると田之助はそれでも医者な
のか?と憤怒する。その言葉を聞いた仁は、吉十郎を仁友堂に
運び、
塩化カルシウム生薬から、鉛中毒に対抗する処置を
取ろうと考える。

--------------------------------------------------------

仁は目の前で執刀した患者が、自分の祖先として繋がっている
事を知り、助けることで自分が生まれなくなる事を知る。
自分がしている事は僅かばかりの延命措置なのではないかと
疑問を持つ中で、一組の父子と関わっていくことになる。
そこで延命だけが最良の処置ではないことを知っていく。

歴史の修正力に対して無力感を覚える仁は、医師としての自分
の役目に疑問を生じていく。そんな中で、限りある命の中
芸人として父親としての魂の役割を見せられた仁は、自分にも
出来ることを再度模索していくという流れだった。

咲のアドバイスがとても効果的で、くよくよしている仁に対して
上手く尻を叩いて発憤させているなという感じ。
命を救うとは違う世の営みを越えた物の為の役割とは、一体
何なのか。

親子の物語がまた素直に泣ける話で、不器用で一見薄情そうに
思える父親の命を賭けた息子への思いという物が上手く、
表現されたと思う。こういう役に吹越さんは適役だなと。

医療に関しても、鉛中毒に対する対処法や動物実験の方法論、
そして偶然な所から発見されるペニシリンの粉末化なども
興味深く描かれた。今有る技術を原始的な方法で生み出す事の
難しさを感じると共に、逆に原始的な手順を踏むからこそ
理解が及ぶ所が大きいんだよな。

佐分利先生や福田先生にもちょっとした見せ場を作ったりして
上手く役割分担させている所は見事。

南方仁 - 大沢たかお (外科医)
友永未来 / 野風 - 中谷美紀 (吉原の元花魁)
橘咲 - 綾瀬はるか (旗本橘家の娘)
橘恭太郎 - 小出恵介 (徳川旗本の剣客の武士)
佐分利祐輔 - 桐谷健太 (華岡流の若き医師)
山田純庵 - 田口浩正 (西洋医学所勤の蘭方医)
橘栄 - 麻生祐未 (恭太郎と咲の母)
勝海舟 - 小日向文世 (江戸時代末期の武士)
坂本龍馬 - 内野聖陽 (土佐藩出身、脱藩し志士として活動)
喜市 - 伊澤柾樹 (枝豆とゆで卵を売っている少年)
茜 - 橋本真実 (浅草の茶屋の看板娘)
松本良順 - 奥田達士 (西洋医学所頭取助)
浜口儀兵衛 - 石丸謙二郎 (江戸で醤油工場を経営する実業家)
多紀元エン - 相島一之 (奥医師(漢方医)。医学館督事)
福田玄孝 - 佐藤二朗 (奥医師を辞して仁友堂の漢方内科医)
八木 - 斉木テツ (医学所学生)
横松 - 中江大樹 (医学所学生)
澤村田之助 - 吉沢悠 (芸人)
新門辰五郎 - 中村敦夫 (江戸火消し「を組」を束ねる人物)


吉十郎 - 吹越満 (歌舞伎役者)
与吉 - 大八木凱斗 (吉十郎の息子)
お初 - 畠山彩奈 (怪我)
東修介 - 佐藤隆太 (長州藩士、龍馬の護衛)
三吉慎蔵 - 平畠啓史 (長州藩士、龍馬の護衛)
お初の父親 - 東根作寿英
お初の母親 - 飯沼千恵子
別人の仁 - 渋谷武尊

瀬川菊之丞、桜川博子、斉藤和彦、伊住聰志


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

inserted by FC2 system