JIN 〜仁
(2011年4月期・TBS・日曜21時枠)

原作:村上もとか
監督:平川雄一朗、山室大輔、川嶋龍太郎
制作:石丸彰彦、津留正明
脚本:森下佳子
音楽:高見優、長岡成貢

http://www.tbs.co.jp/jin-final/



第11話 完結〜時空の果て…150年の愛と命の物語が起こす奇跡のタイムスリップの結末
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仁から頭にガンが有る事を聞いた咲は、野風に相談する。
野風はなんとか治療する手だてはないのか?と尋ねると、仁が
元居た世界に戻るしかないと語る。それを聞いた野風は仁に
気持ちはツタを得たのか?と問う。現在仁は、医療技術を必死
に伝えようとしているので、自分にはそれだけで十分だと語る。

恭太郎は、勝からフランス留学の話を聞かされる。
今後は前を向いて歩んでいくべきだと言われる。

一方
上野の寛永寺では徳川の勢力が彰義隊を結成する。
名目上市中取締隊との事だが・・・

医学書の良順は、徳川が会津で戦がある為に一緒についていく
という。そこで仁に対して医学所での指図をお願いすると託し
ていく。
仁は
辰五郎に相談すると、我々は柵が多くて動きづらいが、
仁には柵が少ないので託したのではないかという。
そんな中、目の前で彰義隊が官軍兵から錦切れを行っているの
を目撃する。徳川の中には戦わずして降伏する事に不満が有り
この様な嫌がらせをしている事が多いのだという。

江戸時代はいよいよ終わろうとしていた。仁はここに来た意味
も分からないまま自分も終わってしまうのか?と考える。
そして最後に自分が出来ることとは何かを考えていく。

仁友堂に戻ると咲から仁の手術に関して、仁から指南を受けな
がら手術を行うことなどは出来ないのかと問われる。しかし
脳の手術には
バイポーラが必要だとし、難しい事を告げる。
咲は元の世界に戻ることは出来ないのかと尋ねるが、自分で
意図して出来るのならばとても便利ですねと微笑みかける。
こんな時にも笑っている仁を見て違和感を覚える咲だが、
自分は出来ない事を嘆くよりも出来ることをやって笑っていた
い事を語る。

その頃徳川の志士の一人・
榊原は、恭太郎に対して最後の抵抗
をする事を告げる。

一方仁は医者が最後に出来ることを考え、仁友堂でそれを発表
する。自分が亡くなった後に腑分けし、自分の脳の癌を見て
勉強して欲しいという。その為今後は脳に関する講義をする
ので、死んだら実物を見て欲しいという。私が出来ることは
医療技術の知識を与えるだけだと。私の死を意味のあるものに
して欲しいと頼む。

いよいよ明日、彰義隊は最後の戦争を仕掛けようとしていた。
それを受け勝は仁と咲を呼び出し、恭太郎に留学の話をしたが
それを受けようとしない事を語る。仁は明日一番に恭太郎の
元に行き話をするという。

その頃恭太郎は母・栄に対してそろそろ咲の事を許して、敷居
を跨がせても良いのではないか?と告げる。咲も許すと明確に
言わない限り戻りにくいだろうという。

そして翌日戦争が始まるが、恭太郎は朝早く置き手紙を残して
戦地へと向かう。仁たちが家に行く頃には、栄が手紙を持ち
放心状態の姿があった。

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江戸時代が終わろうとする中、仁の脳の腫瘍も悪化していく。
更に戦争の流れ弾が当たった咲も、傷口が緑膿菌に侵され、
自然治癒力に期待するも徐々に体力が奪われていく。
現代の世界では、ホスミシンが有れば菌を打ち殺す事が出来る
のだが・・・

結論自体はそれなりに思い描けない事もなかったけど、それ
でも尚、驚きと面白さが混在する話だった。

最後に残されていたのは、仁自身の脳の腫瘍と、咲の緑膿菌を
どのように処理していくのかという事。
そして現代に戻った仁の世界は、仁が知っている世界とどの
ような変化が訪れているのかという事だった。

何れにせよ未来と過去を行き来しないと解決できないもので
あり、どのような方法論を使ってその行き来を再現するのか、
またその行き来の中に意図して時空を旅することが出来るのか
という事がドラマとしての肝だった。

咲との別れが中途半端に終わってしまったかに思えて、実際
には時空を越えて気持ちを伝える方法を確立していく所など、
少々胡散臭さは有っても、なかなか面白いものがある。

歴史の楽しさを示すように、オープニングの絵でも描かれて
いるように、江戸時代と現在の違いを見比べていくような描き
方をしているし、歴史を探究したくなるような作りでとても
良くできている。

またドラマの中に盛り込まれたテーマも良くできていて、
人が何故生まれてくるのかという問いかけの答えにも近い
人間としての役割なんかも仁のしてきた事の中に上手く包含
されている感じがする。

全く異なる二つの流れも近視眼的に争うのではなく、大義の
ために協力していく流れは、今の日本に向けて良いメッセージ
性が含まれているのではないか。

是非ともシーズン3を・・と願いたいところだけど、完成度が
高かったのでこのまま辞めた方が良いか。出来ればタイムスリ
ップものを日本のドラマとしては極めて欲しい気がする。
色んなパターンで描けそうな気がするしね。セットにお金が
かかるかも知れないが・・・

南方仁 - 大沢たかお (外科医)
友永未来 / 野風 - 中谷美紀 (吉原の元花魁)
橘咲 - 綾瀬はるか (旗本橘家の娘)
橘恭太郎 - 小出恵介 (徳川旗本の剣客の武士)
佐分利祐輔 - 桐谷健太 (華岡流の若き医師)
山田純庵 - 田口浩正 (西洋医学所勤の蘭方医)
橘栄 - 麻生祐未 (恭太郎と咲の母)
勝海舟 - 小日向文世 (江戸時代末期の武士)
坂本龍馬 - 内野聖陽 (土佐藩出身、脱藩し志士として活動)
喜市 - 伊澤柾樹 (枝豆とゆで卵を売っている少年)
茜 - 橋本真実 (浅草の茶屋の看板娘)
松本良順 - 奥田達士 (西洋医学所頭取助)
多紀元エン - 相島一之 (奥医師(漢方医)。医学館督事)
福田玄孝 - 佐藤二朗 (奥医師を辞して仁友堂の漢方内科医)
八木 - 斉木テツ (医学所学生)
横松 - 中江大樹 (医学所学生)
澤村田之助 - 吉沢悠 (芸人)
新門辰五郎 - 中村敦夫 (江戸火消し「を組」を束ねる人物)


東修介 - 佐藤隆太 (長州藩士、龍馬の護衛)
西郷吉之助 - 藤本隆宏 (薩摩藩)
榊原 - 津田寛治 (志士)

博美 - 原千晶 (東都大学付属病院・看護師)
杉田 - 戸次重幸 (東都大学付属病院・医師)
野口 - 山本耕史 (東都大学付属病院・研修医)
官軍兵士 - 菊池均也 (森で仁たちを襲う)

金原泰成、田崎敏路、山崎画大、中野英樹
武井秀哲、山野史人、大塚洋、中田優子、篠原さとし
古木ショーン優斗、山本匠晃(アナ)


評価:★★★★★★★★★☆ (9.0)

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