家族法廷 (2011年4月期・BS朝日・水曜22時枠) 脚本：尾崎将也(1)、関えりか、山田能龍、牟田桂子 演出：植田尚(1)、二宮浩行 プロデューサー：川島保男、布施等、山本喜彦 http://www.bs-asahi.co.jp/kazokuhoutei/

第1話 父親失格
--------------------------------------------------------
小野寺達彦は裁判での判事を仕事をしている。
生活に充実しているがその分忙しい。
妻の幸子が先月他界する。いつもの癖で妻にコーヒーを求めて
しまう達彦だが、居ないことに気がつき一人で台所にコーヒー
を入れに行く。すると家の中に人影が有るのを感じる。
見たことのない女性が居た。彼女は自らを冴子だと名乗り、昨日
から住み込みで働いているという。
達彦は家の者達が誰も家政婦のことを言わなかったので知らな
かったと告げる。

達彦は急いで長女の久美に電話すると、飲食業をしている彼女
の日曜日は特に忙しく、父からの電話を煙たがられる。
用事ならば冴子にしてもらってくれというが、達彦はあの人を
変えてくれないか?と頼む。理由を問われると愛想が悪いから
だという。しかし久美は無愛想なくらいが家政婦としては都合
が良いとし、父も愛想が悪かった事を指摘。母親が居たから
こそ私たちとのコミュニケーションが取れていた事を忘れたの
か?という。

達彦は正月に撮った写真を目にする。
小野寺家は、長女・久美、次女・朋美、長男・良弘が居る。
いずれも社会人だが、皆この実家で過ごしていた。長女の久美
には婿の健一がおり、娘・由加と息子・亮太が居る。
達彦は子供達と一人一人ゆっくり喋ったのが何時だったか思い
出せなかった。

夕食にはみんなが勢揃いする。
父が遅れてと食卓に来ると、子供達は取り留めのない話で、
それぞれ一人の話を聞かず自分の主張ばかりを繰り返す。そんな
子供達を見て会話になっていないと指摘。そんな傍から携帯電話
が鳴る子供達に、家族のコミュニケーションが希薄化している
事を指摘する。しかし達彦は自分のこれまでの態度も悪かった
として、常に母親任せだった事を告げ、これからはみんなと
向き合いコミュニケーションをとる事を宣言する。

一日が終わると達彦は仏壇の前で、亡き妻に報告。これから
は子供達と明るい家庭を作ることを誓うのだった。
--------------------------------------------------------

今まで仕事人間だった小野寺家の家長・達彦。
しかし妻の幸子が亡くなった事を受けて、父は子供達と向き合
うべく、コミュニケーションを取り始めるが・・・

この手のドラマはTBSの専売特許だったけれど、完全にBS朝日
が乗っ取ってしまった感じだね。
前枠の「刑事定年」に引き続いて再び家庭の姿を描き出す。

家族間の問題を多く取り上げてきた尾崎将也さんだけに、
掴みとしては上手く描かれていた。
ただ難点を言えば、母親・幸子が居た時代の家庭の姿という
のがちょっと見えづらい。
幸子が居たことで親子の関係が機能していたとする部分が、
今回のドラマを見る限り、母親が居なくても十分に機能してい
た感じに受けるし、今時珍しいこれだけの大所帯だと、
父親の存在が無くしても問題が無いように見える。

「刑事定年」の時には刑事としての立場を面白く家庭内での
揉め事の中に盛り込んできたけど、今回は判事である事を
利用して、ちょっとした仲裁役を果たす父親の姿をコメディ
タッチで描いている。

また父親が如何に家族や妻のことを知らなかったのかという
事を実感させるために、一枚の写真を使って面白く問題を
浮上させた。
冴子が空気のような存在でありながらも、さりげなく問題解決
に於いて解決法を導いていく辺りも、なかなか面白く描かれて
いる。

ミムラさんが滅茶苦茶綺麗になっている件について小一時間
問いつめたいところ。ミムラさんの芸名は、「ムーミン」から
つけられたとの事だけど、さっき見ていた同じ時間帯のドラマ
でもムーミンがどうとか言っていたな。

初回はリフォームの是非を巡り、姉妹の葛藤を描いて見せた。
生前には感じていなかった母親からの愛情を一枚の写真から
探り当てる辺りは面白く出来ていたと思う。今後この家庭に
どんな争いの種が有るのか。
一人だけ居心地悪そうにしている健一の役に六角精児はピッタリ
だなと思う。