告発 〜国選弁護人 (2011年1月期・テレビ朝日・木曜21時枠) 脚本 ： 竹山洋(1)(2)(4)(5)、吉本昌弘(3) 演出 ： 藤田明二 チーフプロデューサー ： 五十嵐文郎 プロデューサー ： 内山聖子、藤本一彦 http://www.tv-asahi.co.jp/kokuhatsu/

第5話 火を見た女!?連続殺人の点と線
--------------------------------------------------------
佐原は純子のジャズバーに戻ると、鶴子のフィアンセの佐藤健吾
がピアノを弾いていた。佐原は健吾に聞きたいことが有るとし、
記憶喪失について尋ねる。突然記憶が無くなる事は有るとする
と、思い出すにはどうしたらいいのか?と問う。寝て翌日に戻る
ケースも有れば長期間かかることも有るという健吾は、愛の大
きい人ならば必ず戻ると告げる。
健吾は難民キャンプで鶴子が三歳の男の子を死なせてしまった
時のエピソードを語り、あの時の鶴子は医者を続けることや
生きていくことも難しい状態だった事を語る。それを聞いて
佐原は娘にどうして言わなかったのかと尋ねると、立派なこと
を語ってアフリカに渡ったので恥ずかしかったと告げる。そんな
彼女の支えになってくれた健吾にお礼を告げると、私は励ました
だけで、佐原と同じである事を告げる。

そんな中、富田が帰宅すると、河辺忠一の写真を手に入れてくる。

佐原はその写真をもって敦子に会いに行く。これが火の記憶の
男なのか?と尋ねると、一瞬分からないとしながらも30年前の
記憶を呼び起こそうと頭を抱える。

もうすぐ裁判の二審が行われる為に、伸夫は静子と共に上京し
佐原と会う。娘の春子が植えた桃の木に桃がなったとして
桃を佐原のために持ってくる。熱子を死刑にして欲しいとし、
無罪になれば私は桃の木で自殺すると伸夫は訴える。

その頃鶴岡は河辺が何故警察を辞めたのか調べるためにかつて
の炭坑の街・筑豊へと向かうが、何故辞めたのかは突き止めら
れなかった。佐原は熱子が幼いときに両親の清水ゆめ子と直一
と撮ったときの写真を熱子に見せれば何か思い出すか?とし
熱子に面会する。

熱子によると4歳の時に撮った写真だという。誕生日に突然
直一が逢いたいとしてやってきたという。人気のない道を歩いて
家族三人、渡辺という父のパシリの男に写真を撮ってもらった
という。河辺が来たのはいつ頃の話なのか?と問うと、熱子は
写真の男は一体誰なのか?と問う。刑事だという。
お盆の頃に河辺が来たという彼女。熱子は母と河辺が関係を
持つのを見たという。
直一は当時まともに働いていなかったことから、河辺は彼が
盗みを働くのを監視・張り込みしていたのではないかと疑う。
熱子は河辺と母がHしていた翌日に、父の直一が来たとし、
神戸に行くと言って出て行ったという。その晩に火の景色を
見たと告げる。
--------------------------------------------------------

清水熱子は娘の秀子が亡くなる瞬間、火を見たとする証言する。
一体彼女が幼少期に見たという火は何のことだったのか。

裁判の顛末も興味深いが、やはりドラマとしては過去の記憶に
隠された真実部分がドラマとしては面白く写る。
正直、熱子が秀子を殺していないであろう事は確証はなくても
明らかだったし、問題は熱子の記憶ばかりに頼る裁判の顛末
にやや心細さを感じる点か。そんな心細さを払拭するかのように
佐原のサポートが有って上手くフォローしたような印象が有る。

清水直一の破綻した生活や家族との関係とは余所に、意外にも
熱子の母を愛していた姿があるんだなと思うと、不思議な感じ
だけど、直一の存在によって最後に熱子が気を保つことが出来た
のは明らかだし、死んだと思っていた彼が実際には生きていた
所など、面白いサプライズとなった。

30年という月日や、当時熱子が4歳で有ったことを考えると、
記憶という曖昧で利己的なものが当時のまま再現されるという
のも不自然なんだけどね。

鶴子と父・佐原の関係が正常化し始めたり、純子が佐原の仕事
に随分と感化されている点もドラマとしては面白く写る。

清水直一役を30年前、30年後を伊東親子が演じたというのも
面白い起用の仕方。またこのドラマの前枠に放送されている
「ホンボシ」でもドスの利いた低い声で、捜査一課の刑事を務めている
菅田俊さんがここでも刑事役を務めていた。