クルマのふたり〜TOKYO DRIVE STORIES

脚本:末安正子
演出:根本和政
プロデューサー:中山和記、伊賀宣子

http://www.twellv.co.jp/event/tds/index.html





第9話 プリティー・ウーマン
--------------------------------------------------------
沢村梓は葬儀屋で働く女性。
この日霊園に常盤仁美を連れて行く過程で、生前仁美の夫に
頼まれた所へと連れて行く。仁美は夫の骨箱を手にしていた。

霊園には1時に連れて行く予定だが、あらかじめ時間に余裕を
持たせて沢村梓は彼女を連れ出していた。

最初に連れて行ったのは、夫が最後に手がけた家だった。
夫は建築家であり、この家は美術館で大型の設計の仕事を依頼
され、その美術館を見た奥さんから頼まれて改装した家だと
いう。普段夫は家の中で仕事の話など一切しなかったので、
よほど嬉しかったのかという。
夫とは結婚して19年、何不自由ない生活をさせてもらったが、
ガンだと知ったときには時既に遅く、もう少し早く気がついて
上げられればと仁美は語る。

次に行く場所があるとするが、仁美はその前に夫のために
たばこを買いたいとしてコンビニに立ち寄ってもらう。ガン
だと判明していこう、たばこを吸うのを夫は辞めていたので、
納骨の時にはたばこを吸わせてあげたいという。
しかしまさかこんな事まで葬儀屋に手配しているとは思わなか
ったと告げる。
沢村は頼まれていた夫から聞いた話を仁美に語る。
仁美は小説好きだが意外と世間知らずなところが有ると
言っていたこと。

沢村が連れて行ったのは白いマンションだった。
仁美はこの場所に何処か来た記憶があった。
なんとそこは夫が浮気していた女性が住んでいたマンションだ
った。相手はホテルのピアニストで、乗り込んだときには
ネコ踏んじゃったを弾いていたという。夫は外面ばかり良くて
だらしない人だったとして、少しずつ仁美は怒りだし、そして
ついには沢村の事も愛人だったのではないか?と疑い始める。

--------------------------------------------------------

浮気ばかりしていた夫が最後に見せた妻へのサプライズ。
こんな事で許されると思ったら大間違いだとしていた妻も、
少しずつ思い出旅行していくウチに、夫の本当の気持ちを知って
いく。

葬儀屋という難儀な職業と、浮気された妻の愚痴にも似た
夫に対する不信感を吐露する辺りの共鳴感がなんとも言えない
ものが有った。

沢村も仁美も冒頭では比較的差し障りのない対応をしていた
けど、徐々に本来の性格が現れ初めて、気持ちをぶつけ合う
所など、とても上手く出来ていたと思う。

高校時代の一年間。
純粋に今の妻の事を思っていた気持ちというものが原点にあっ
て、それを保とうとすることで人生大きくは外れなかったとも
言えなくはないが、やはり家庭を持つことでのプレッシャーを
感じたとする言い訳がましい一面をもって浮気を正当化してい
るところも同時に存在する。

結局亡き夫の良い格好しいところは、外面だけでなく家庭の中
でも存在していた事で、最初のデートの時に妻に対して君にな
らばダメな自分も見せられるとする辺りの展開は若干矛盾した
主張のようにも感じる。

沢村梓 …… 安達祐実 (葬儀屋)
常盤仁美 …… 仁科亜季子 (浮気夫をガンで亡くし未亡人に)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system