クルマのふたり〜TOKYO DRIVE STORIES
(2011年・BS12・3月31日(土))

脚本:龍樹
演出:星田良子
プロデューサー:中山和記、伊賀宣子

http://www.twellv.co.jp/event/tds/index.html





特別編 めぐりあう時間
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気鋭の写真家・奥村亜希子の個展が行われる。
アメリカから帰国した広瀬信之は車を飛ばして、何処へもなく
向かっていた。運転は操作を辞めたときにその分目的地は遠ざ
かる。まさに人生と同じであった。

広瀬は個展へといくと、一枚のセルフポート写真に目が留まる。
それを見ていた広瀬に奥村は声を掛ける。まるで現実の世界で
はないみたいの写真だという広瀬に対して、レンズ越しの世界
はまたそれとは違うものだという。
二人は13年ブリの再会だった。広瀬は再会に際して奥村に握手
を求める。互いに軽く近況を語り逢う。あれからずっと写真を
とり続けており、ついにここまで来た事に対して広瀬は賞賛する。
夢を叶えたことは素晴らしいと。しかし奥村はまさか貴方が
ここに来るなんて信じられないという。
ここに来た理由は二つあり、一つはただの好奇心だという。
もう一つは写真のテーマの一つにある
"振り返ることは出来ても
やり直しは出来ない"
とする広告で見たタイトルの意味が知りた
かったという。このテーマの主語は人物なのか、それとも写真
なのか?。広瀬の質問に対して、奥村はまさか忘れられない男
を思ってつけたと思っているのか?と問うと、ただの映画の台詞
である事をつける。

広瀬は少し外に行ってドライブしながら話さないか?と誘う。
奥村はマネージャーをしている藤枝真樹に少しの間、持ち場を
離れる事を話して出て行く。
広瀬は近くに居た少女・ひとみの姿を見ると、軽く挨拶を交わす。

しかし奥村はいざ建物から出ようとすると、行くのは間違いでは
無いか?と臆する姿が有った。しかし広瀬はただの酔い冷まし
だと告げ、43歳にもなれば分別はつけると約束する。

若い頃には明るい未来があることを誰もが信じているものだが、
例えその未来に挫折しても若いウチはショックは浅いもの。
しかし時と共にそれは深刻化するものだという。
古い傷は既に治っていると思っていたが、互いの間にはその
傷が深く残っていた。

ドライブしながら奥村が写真を撮る姿を見て話しかける。
奥村によると写真を撮るのは時間であり風景ではないのだとい
う。

広瀬が向かった先は昔デートでよく足を運んだ
横浜・中華街
った。
求めるものが多くなると幸せは遠くなるもの。選択肢はシンプル
な方が良い。年を取るごとにシンプルな事が出来ずに、シンプル
なことに喜べなくなるという。若いカップルの姿を見て、若者
と今の自分たちの境遇を見比べてみる二人。

奥村は広瀬に対して先ほどの質問に答えていないと告げる。
貴方の今は幸せなのか?ということ。生活には恵まれていること
を告げるも、何かが足りないと感じている事を語る。広瀬は
海外赴任する中で一度は結婚生活を送るが離婚していた。
逆に同様の質問を奥村にぶつけると、自分は離婚経験こそ無い
が別れは沢山あったという。そして広瀬と同様に何かが足りない
事を感じているとの事だった。
人生はワンピースの欠けたパズルのようなもので、そのピース
を誰が持っているのか探すようなものだという。

奥村は広瀬に対して帰る前にもう一カ所寄りたいところがある
があるという。
二人はそこに行く過程で、学生時代の事を思い出していた。
二人に共通する友人である沖野修平は本格的にバーテンダーの
道を歩もうと考えており、広瀬はアルバイトでバーテンダーの
仕事に就いていた。修平は広瀬に対して今度のカクテルコンテ
ストでは絶対に勝つとして隠し味に林檎を使う事を語る。
自分は真剣にこの道を進むことを考えており、モテようとして
バーテンダーの仕事をしているお前とは違うと。広瀬は自分が
口べたなのでその練習もかねて仕事をしている事を告げると、
バーテンダーの仕事は会話の橋渡しをする者だと語る。

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学生時代から20代後半まで付き合っていた広瀬信之と奥村亜希子。
広瀬はプロポーズする事を決意していたが、彼女はアシスタント
をしている芝崎と共にニューヨークで仕事をする事を告げる。
もうこれが最後のチャンスになるだろう事で、彼女は広瀬と
別れてアメリカ行きする。別れる直前にもう一度話したいとして
広瀬は奥村の事を待ち合わせ場所で待っていたが・・・
そんな二人の13年ブリ再会。果たして違和感なく話すことが出来
るのか。

紆余曲折した上で二人が同じ所に戻ってくるという。
時の無情さを感じる展開ではあるが、歳月は人が経験を積む
機会を与えて確実に成長させて居るし、例え若さはその選択に
ついて誤った道を歩ませたとしても戻った先には、その誤った
選択を補うだけの結末が待っているのだから、悲しい感じでは
なく上手くハッピーエンドへと流れを結んでいる。

13年前の二人の間にはどんなエピソードが隠されているのか。

色々と会話していく中で、視聴者はそれを探り探りしながら
ドラマが進行していき、会話している者同士も言葉遊びを楽し
みながらも、徐々に核心へと話が及んでいく所など上手く
構成されている。

当時の選択と同じようなシチュエーションを用意し、止まって
いた時計の針を上手く動かすような段取りが出来ている所など
とても上手いものが有るし、今回は二人だけでなく、特別編
故に第三者を登場させたり、若い頃の自分たちを引き合いに
出して、上手いこと当時との考え方の違いを提示している。

まさか子供が生まれているとは思わなかったけど、母親は子供
には父親のことをなんと説明していたのだろうね。
こういう時、女性の利点と欠点が浮かび上がってくるな。
父親側には内緒で生むことが出来るし、子供を育てる事が
出来るという利点。逆に一人で育てる事への苦労が存在する
けど、一番可愛い時である赤ちゃんの時代を一緒に過ごせなか
った父親にとっては、ちょっと気の毒な感じはするね。

広瀬信之 …… 加藤雅也 (アメリカ帰り)
奥村亜希子 …… 若村麻由美 (気鋭の写真家)
若い頃の信之 …… 徳山秀典 (29歳の頃)
若い頃の亜希子 …… 中西美帆 (29歳の頃)
若い頃の修平 …… 鈴木幸二 (29歳の頃)
藤枝真樹 …… シルビア・グラブ (亜希子の学生時代の同期、仕事
仲間)
ひとみ …… 浜辺美波 (亜希子の娘)
沖野修平 …… 別所哲也 (バーテンダー)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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