TOKYOコントロール 東京航空交通管制部 (2011年1月期・CSフジテレビ・水曜22時枠・隔週) 脚本：宇田学 製作：大多亮 企画：小牧次郎、羽鳥健一 プロデューサー：関口大輔 監督：成田岳 音楽：ティム・ウィン http://www.fujitv.co.jp/otn/TACC/index.html

第6話 引退の日
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管制技術官・横山の定年退職の日がやってくる。
引退の日にスタッフたちが花道で苦労をねぎらってくれる中で
横山の妻・カヨ子も職場に来てくれていた。しかしカヨ子の
顔色は突然変わり、部屋の整理をしていたら貴方の浮気の
写真が出て来たとして、飲み屋のママとのツーショット写真を
見せられてビンタされる。

横山は休憩中にソファーでそんな夢を見ていた。
スタッフたちは病気なのかそれとも単なる悪夢を見ているのか
判断に迷う中で、横山の引退の日は三日後と確実に迫っていた。

結城は先日のクラッキングの件で本省に調査。
松本も出張で居ない中で、斎藤からヘルプとして下柳や木下に
も管制官室で作業してもらうという。
下柳の妻・成美もヘルプにやってくると聞いて、家庭の事情を
知っているものたちは他人事ながら心配する。夫の哲司は、
先日キャバクラ通いが発覚したばかりでなく、野球少年の
息子、茂雄と貞治の教育方針を巡って最近夫婦仲が険悪化して
いたのである。

案の定、山田のヘルプに夫は指導教官役として入り、妻は
調整役として入ると二人は衝突する。夫が妻にちゃんと飯を
作れと言えば、妻はあなたこそ息子の弁当をたまには作って
家事にも協力しろと一歩も譲らない状況だった。

横山は部下の高橋の元にいく。
横山は最終日を夜勤に変更してもらっていたのを知り、定年の
日に何故横山が夜勤を選んだのか理解出来なかった。
高橋は横山に退職祝いとしてもらうならば何が欲しいか尋ねる
と、横山はやはりお祝いのキスだろうという。高橋は一瞬ドキ
っとするが、管制官室に居る中島や川元の様な美女に送り出され
れば本望だと知る。
高橋は斎藤のコンピュータがよくフリーズするという事を受けて
点検の為に管制官室へと足を運ぶ。
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いよいよ管制の技術官として働いていた横山の定年が近づく。
公務員という立場の上、職場が流動的に変わるこの仕事は
転勤が多く、その分のしわ寄せは家庭へと回ってしまう所が
有った。横山はそんな入れ変わりの激しい職場でも最後に
所沢にあるTOKYOコントロールで働けたことに感無量な思いで
最後を迎えるが、昔の職場の人間関係との多少の違いに、
戸惑いと共に寂しさも同時に覚えていく。

地味な人間関係のドラマだけど、とても面白くその関係性を
描けている感じ。
変にドラマチックな日常を描くことなく、淡々とした日常の中
での僅かな喜びや苦しみなどが上手く描かれ、今回のエピソード
は特にそれを上手く表現出来たような形では無かろうか。
若干、横山が昔との違いに戸惑いつつも、催促しているような
口ぶりで愚痴っぽくなっている部分が気になると言えば気になる
し、その愚痴が前振りとなっているであろう事が想像出来る
ので、どうしても嫌みっぽく写ってしまう部分も有る。

ただ派手に仕事の手を止めて彼の為だけに何かするというもの
ではなく、最後にみんなで職場で仕事をこなして、ちょっとした
サプライズ感で落としどころをつけていくところなど面白く
出来ていたし、横山の後ろ姿を見て、職場の後輩の高橋だけで
なく、下柳夫婦の姿勢も正していくところなど、出来過ぎいる
けど、なかなか心地よいオチへと繋がっている。

昔の人間関係とは当然違うし、何よりもコンピュータを扱う世代
との格差によって、この手の技術職を最後まで続けられたこと
は凄いと思う。

最後に深夜のカットで職場全体を眺めるようにして、感慨深げ
になる辺りの演出は、とても良いシーンだった。

結城も下手にサプライズで登場せず、ロッカーにプレゼント
を残しておく辺りが良かったね。こういうところ、普通のドラマ
ならば仕事を休んででも駆けつけるみたいな演出になりがち
だからね。