37歳で医者になった僕 〜研修医純情物語〜
(2012年4月期・フジ・火曜22時枠)

原作:川渕圭一
脚本:古家和尚
プロデュース:木村淳
演出:三宅喜重、白木啓一郎
主題歌:サカナクション「僕と花」

http://www.ktv.jp/37doctor/





第9話 医者も一人の弱い人間という現実
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祐太は瑞希が亡くなった患者・伊達のカルテを真剣に見ていた
事から、そこに何か有るのかと感じて調べていくと、患者は
外来で来た段階から肺真菌症の疑いが有り、それを佐伯が見逃
していたのではないかと推察していく。担当医である下田もまた
新見がカルテを見ていた事を知り、この事実を早期の段階から
知っていたのではないかと疑い、問い詰めていく。

大学病院や組織社会での分かりやすい問題点を葛藤として描き
それぞれの思惑の元で面白くエピソードを構成づけている感じ。

今まで漫画っぽい原作・奇抜な設定のドラマばかりだった古家
和尚さんらしく無い脚本・演出で、人間ドラマを真剣に描く
ようになってきたのかな。

人間として医師としての理想と現実に揺れ動く様。
一人で動くには限界が有るであろう状況の中、患者の事に目を
配らせる余り私生活を犠牲にしているところなど、祐太自身に
突きつけた問題も面白い葛藤として描かれている。

一連の佐伯絡みのエピソードでは、もう少し明確な誤診なり
執刀時のミスが存在するのかなと思って見ていたけど、基本的
には佐伯教授が外来患者をやっつけ的感覚で見ていたで
あろう事が描かれ、グレーゾーン的なものがあるのかなと思う。
院内の政治的駆け引きにしか興味が示さなくなったのか
恩師にさえ非情な態度を見せている所は、切なく写る。
森下先生が常々語っているように、患者を助けたいと思う気持ち
が有れば大丈夫だとする台詞が象徴的に浮かび上がってくる
エピソードだ。

祐太が現場に吹き込んだ医師としての信念・信条が語り継がれる
様にして、上手く別の医師にその気持ちを注入した結果、例え
祐太の中で揺らぐ気持ちや状況であっても、上手いことその
気持ちを引き継ぐ物が居て、我が身を省みさせる状況を描いて
いる。

周りが束になって祐太を止めようとする姿が有り、その辺は
何処か滑稽な感じがするけど、患者ヨリではなく自分の生活を
守るために医師が働く事への問題点を改めて浮かび上がらせた
格好だった。

理想実現のために、大学病院ではみんなが上に立とうとしてい
るものなのか。まぁその中に医師としての信念・信条が残され
ていれば救いようがあるけど、森下先生はともかく、佐伯先生
が昔の気持ちを喚起し、心情が揺れ動くにしては少し遅すぎた
という所なのだろうか。

祐太を遠ざけ様とするほどに、医師達は自分の中に有る良心
に揺れ動いている様が面白く描かれていると思う。

東央医科大学病院・総合内科病棟
紺野祐太 …… 草g剛 (元食品メーカー、37歳でようやく研修医)
沢村瑞希 …… 水川あさみ (24歳、研修医)
葛城すず …… ミムラ (32歳、祐太の恋人)
下田健太郎 …… 八乙女光 (24歳、研修医)
谷口篤志 …… 桐山漣 (25歳、研修医)
中島保 …… 鈴木浩介 (38歳、医局長)
新見悟 …… 斎藤工 (30歳、祐太の指導医)
相澤直美 …… 真飛聖 (37歳、看護師長)
森下和明…… 田辺誠一 (42歳、腎臓内科・准教授)
佐伯毅彦 …… 松平健 (58歳、内科トップ)
葛城博昭 …… 志賀廣太郎 (57歳、すずの父)
葛城佐和子 …… 藤吉久美子 (55歳、すずの母)
永井寛子 …… 藤本泉 (看護師)
小菅直之 …… 大竹浩一 (瑞希の指導医)
大久保由香 …… 内藤理沙 (看護師)
高木慶介 …… 山口大地 (大学病院担当MR)
橋本奈美子 …… 羽村純子 (看護師)

石浜幸平 …… でんでん (61歳、肝機能・糖尿病)
伊達孝仁 …… 竜雷太 (69歳、元高校教師、肺炎)
伊達由美恵 …… 田島令子 (妻)
長谷川巽 …… 中村育二 (糖尿内科教授)
伊達側の弁護士 …… 石堂夏央
顧問弁護士 …… 渡邊鉱平

瀬戸将哉、小杉幸彦、天野勝弘

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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