相棒11 (2012年10月期・テレ朝・水曜21時枠) 脚本・輿水泰弘(1) 監督・和泉聖治(1) プロデュース・伊東仁、西戸敦郎、土田真通 音楽・池頼広 http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第1話 聖域
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香港の日本総領事で身内だけで集まる夕食会の際に事故が
起きる。領事の妻・詠美が、夫のコレクションの銃を手にして
いた際に、その銃を暴発させた結果、副領事・三井の妻・絵里花
を射殺してしまうという事故が起きたのである。
その場にいたモノたちは、その事実を隠蔽し、医師からも
心不全で処理するよう圧力をかける中で、妻を殺害された
三井は怒りを露わにする。
一方たまたま香港に旅行していた右京は、二階建てバスで
市内観光していた際に、たまたま飛行機の中で、些細なトラブ
ルの有ったフライトアテンダントの女性・笛吹悦子
と偶然再会する。悦子の隣にいた恋人・甲斐享は、浮かない顔
をして"隠蔽"という言葉を発していた為に、右京は気になって
いく。

いよいよシーズン11の開始。
是非とも相棒シリーズは、2009年に幕を閉じたアメリカ長寿
ドラマ「ER緊急救命室」のシーズン15を越えて欲しいと思う。

海外の治外法権である領事館内での出来事。
中国と日本の間で起きている領土問題が、皮肉にもドラマに
箔をつけてしまった感じがする所がなんとも言えないものが
有った。

捜査一課の捜査の先に常に右京の影があるというシチュエーシ
ョンこそこのドラマの面白さだなと思わせるところが有るし、
捜査一課や米沢との絡みをほぼ電話だけで済ませてしまった
所もまた一興だった。

事件としては解明していくのが難しいと思ったけど、意外にも
二度に渡る発砲シーンが有ったことで、上手い感じで過去の
事故を浮かび上がらせた感じ。

銃の特性を知り尽くしたものたちのやりとりでプロっぽさを
感じたし、相棒3代目(正確には9代目らしい・6名は即脱退)の
キャラクターの特性・性格を見る上で、絶対音感の相棒の姿に
また捜査方針の幅が広がるなという感じがする。

事件で使用されたのは日本陸軍が使用していたとする南部
十四年式の銃が使用された。
昔読んだ漫画「うしろの百太郎」の一つのエピソードの中で、
祖父が戦争で土産に持ち帰った銃が、死者の亡霊を引き寄
せ、主人公自身が強盗によってその銃で殺害されてしまうかも
知れないという予知夢を見るエピソードの中でこの銃が使用
されていた気がする。

発砲した順番が違うだけで180度意味合いが違ってくるという
着眼点が面白かったし、壁に埋められていた一発の銃弾から
色んな事が分かってしまうというところは、その後の裏付け
捜査的なものとしても上手いフォローがして有る。

一度目の発砲は偶然だが、二度目は必然だったという銃を扱う
ものの心情に迫る内容で、見ていても無理のなかった。
愛憎劇やら上司と部下の立場を越えた人間としての関係性を
見せられるもので、色々と考えさせられるものが有ったね。