相棒11 (2012年10月期・テレ朝・水曜21時枠) 脚本・輿水泰弘(1)、戸田山雅司(2) 監督・和泉聖治(1)、近藤俊明(2) プロデュース・伊東仁、西戸敦郎、土田真通 音楽・池頼広 http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第2話 オークション
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甲斐は元中根署の上司・堀江から呼び出されて仕事の依頼が
舞い込んでくる。ホワイトグラブズというオークションハウス
の代表取締役の坂巻から、タクシーに置き忘れた石膏で作られ
た"エド・クレメンスの腕"をみつけてほしいというもの。
70年代に奇跡のジャズピアニストとして名を馳せたエド本人
から象った腕の石膏を芸術家のホセ・バローハが彩色したと
いう作品で、作品の価値は1千万円以上するものだという。
享はそれならばマスコミに情報を流して拾得物として出てくる
のを待とうと告げる。ジャズの専門家の盛谷はテレビのコメン
トの中で、この作品が世紀の至宝である事を告げる。

右京に頼らず、甲斐を使ってある程度の捜査の進展と可能性に
言及させ、そして右京が解答編を語るという構図。
まぁこれまでもその通りの展開ではあったけど、相変わらず
甲斐享がどんな人物なのかを視聴者に探らせる意味合いの
強い話なのかなという感じ。
前回、甲斐は他の捜査官との絡みがほぼ無かったので、今回は
お披露目会というところだろうか。
後先考えない所は、亀山薫っぽさを感じるし、多少の知恵が
働く辺りは、ソン君っぽいところを持ち合わせている。
ちょっと生意気そうなキャラクターで有ったとしても、捜査一
課に対して比較的謙虚さを持ち合わせている所は、これまでの
捜査一課と特命係の見えない壁を打ち破れる役割を果たせるの
かもしれない。

もう少し右京が文明の利器に疎かったりすれば、甲斐享の若さ
が活かされると思うけど、右京さんは、フジテレビのスーパー
ニュースの木村太郎キャスターバリの先端技術にも精通してい
る人だからね。
捜査一課の面々を上手く使おうとしてバランスに配慮している
感じは受ける。

さて肝心の事件は、美術品のオークションの出品物が紛失して
しまうというもの。
拾ったものと依頼したモノの間に繋がりが有ったという事で
値を釣り上げる意図が有ったという流れ。
美術品はオークションハウスの責任者の坂巻の所有物ではない
し、常識的に見て美術品を手放すリスクを考えると、やはり
保険金を狙った犯行なのか、共謀しているかという事になる。

どうしても早い段階で出てくる容疑者が被疑者となり得ないと
いう法則と、終盤までミスリードの牽引役となったジャズ評論家
盛谷弘光のマニア心と、ねじ曲がったようなプロ意識を喚起した
川南夏彦の対決が実に分かりづらい感じだった。
普段は右京が亀山くんと共謀しそうな囮捜査的誘導の仕方で、
犯人しか知れ得ない情報を引き出そうとする方法論は面白かった
のだけど、直前まで行われていたオークションでの競りの
シーンは、やや違和感が有り、無茶ぶりを見せるにも程がある
という感じにも見えたのが残念だった。

ただオークションの値が上がる緊迫感を最後の犯人をあぶり出す
展開中でその感覚を味わせようとする意図が感じられる辺りは、
脚本家のエッセンスが感じられて良かったところだ。