相棒11
(2012年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・輿水泰弘(1)(9)(10)、戸田山雅司(2)(12)、太田愛(3)(11)
櫻井武晴(4)(7)(17)(19)、ハセベバクシンオー(5)(16)、守口悠介(5・協力)
徳永富彦(6)(13)、金井寛(8)(15)、酒井雅秋(14)、柿木健二郎(16・協
力)、古沢良太(18)
監督・和泉聖治(1)(3)(6)(11)(15)(19)、近藤俊明(2)(7)(8)(16)、東伸児
(4)(14)
田村孝蔵(5)、安養寺工(9)(10)、近藤一彦(12)(13)、橋本一(17)(18)
プロデュース・伊東仁、西戸敦郎、土田真通
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第19話 拡大2時間9分最終回スペシャル酒壺の蛇
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世間では世界的なIT企業・セットシステムのアメリカ人が
東亜民主共和国で対米政策の機密文章を漏洩していたとして
スパイ罪として逮捕されるというニュースが流れる頃、
日本では角田と同様にノンキャリアで同期の組対二課の課長
恩地英之が自宅でニガクリタケを食べて死亡して発見される。
一見すると事件性は無い案件だが、彼は先行調査をしていた
可能性が有り、通話記録と妻・由美子の証言からAJファイバー
と何らかの関わりがある事を知る。右京らはAJファイバーに
ついて調べていると飛行機の炭素繊維を開発している企業で
有り、下手をすると外為法違反に接する事件を内偵していた
のではないかとの疑いが強まっていく。関係者であるAJファイバー
の我孫子大や君原いずみと接触していくことになるが・・

いよいよ相棒11シーズンも最終話。

明らかに中国や北朝鮮への批判的内容だったし、犯罪者に対して
対応できないもどかしい日本政府を非難する流れで、相棒の
スペシャル版らしい政治色に溢れた内容だった。

東亜民主共和国は北朝鮮で、井川悟・王勇の祖国・アドリア国
が中国を想定したものだというところなのだろう。
中国や韓国、北朝鮮は実名・名指しで日本を批判するドラマが
作成出来るのに対して、日本はなかなかそれが出来ないところが
ある意味現状を示しているなという感じ。以前に織田裕二さん
主演のドラマ「外交官 黒田康作」でメキシコという実名を
使って大使館の不祥事を描いた所、クレームがついて謝罪する
事態になったからね。

警察庁と警視庁の足並みの乱れが描かれるというのも、久しぶり
のネタで、岸部一徳さん演じる警察庁長官官房室長の小野田
が亡くなって以降、その役割を石坂浩二さん演じる甲斐峯秋に
求めている。警察庁と警視庁の両面に精通している神戸尊くんが
特命を辞め栄転で警察庁長官官房付になっている事から、この辺
の蟠りが解けて連携が上手く取れていくのかと思われたけど、
政治が絡むとやはり状況はそう簡単に打開出来ない所にあるんだなと
思わせた。また大人の事情なのか、本来この場面に於いて
顔見せ程度でも及川さんが出演しても不自然ではないのに、
声一つ出演されていなかった所を見ると、相当及川さんと相棒
との間で蟠りが有ったのかなと思わせるところもある。
ただ相棒の初代の寺脇康文さんも幾ら海外に渡ったという設定
でも辞めて以降一度も顔見せもしないところを見ると、そういう
方針なのかな。

峯秋はCIAに恩を売ることで利益になるとしているけど、とても
利益が出るほどの関係にも思えない中で、ひたすら政治的
駆け引きばかりをしているものたちの馬鹿さ加減が見られた感じ
がする。
ただそんな馬鹿ものたちを通して、日本の政治家を批判すると
いうのもまた上手く出来ていて、主張としては伝わる所も多かっ
たな。

さて事件自体は意外と単純なものだった。
殆ど結婚詐欺的ネタで、いずみがそこまで素性の分からない
相手を妄信している理由も弱かった。
人は考える事を辞めたらその時点で歩みは止まり自分自身を見失
ってしまうもの。時に複雑に考えすぎることも良くないとは思う
けど、この場合、相当身勝手な論理で動いていた感じにしか
見えなかったね。

米沢、角田辺りの使い方は面白く出来ていたし、これまで以上に
角田が感情移入出来るエピソードを通して、改めて警察官とは
何か、相棒とは何かを知らしめる形となった。

事の顛末を説明する過程があまりに冗長だったので、その辺を
詰めれば十分2時間枠に収められそう。
多少あくびが出始めた中で、最後はピリリとするような主張で
上手く視聴者の心をつなぎ止めたという感じかな。

シーズン11の成宮寛貴さんは思った以上にハマり役で、
及川さんバージョンの相棒に比べると、すんなりと入り込む事
が出来たな。キャラ的には亀山薫的猫まっしぐらならぬ、事件に
まっすぐ過ぎる程まっしぐらな性格の人が一人必要だったという
所なのだろうね。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)
田丸寿三郎 …… 品川徹 (警視総監)
井出実篤 …… 井上高志 (警視庁・警務部長)
田中靖 …… 五王四郎 (警視庁・総務官)
堀江邦之 …… 山口良一 (中根署・係長)
沢田泰造 …… 園岡新太郎 (中根署・警察官)
土屋公示 …… 芦沢礼多 (中根署・警察官)

岩月彬 ……田中圭 (サイバー犯罪対策課)

君原いずみ …… 星野真里 (AJファイバー)
恩地英之 …… 佐藤恒治 ()
恩地由美子 …… メイサツキ (妻、喪失感)
我孫子大 …… 桜井聖 (AJファイバー)
王勇 …… 岡本光太郎 (アドリア大使館員、井川悟と偽名)
我孫子唯 …… 今井あずさ (大の妻)
桜木信雄 …… 岡崎宏 (地方検事)

河野達郎、田畑祐一、瀧内公美、布施曜子

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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