クレオパトラな女たち (2012年4月期・日テレ・水曜22時枠) 脚本：大石静 演出：岩本仁志、猪股隆一 チーフプロデューサー：田中芳樹 プロデューサー：山本由緒 http://www.ntv.co.jp/cleo/

第4話 魔法の植毛手術
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形成美容クリニックには時々不思議な客がやってくる。
峯太郎の元に来た客は、自分は美人過ぎるので地味で人目を
引かない顔にしてほしいとし、睦の元を訪ねてくるオカマの
様な男性は、人気の格闘家のように筋骨隆々にしてほしいと
いう。果たしてそんな無理な要求にも応えていくのか。

クリニックの職員にしても、そこに集まる客にしても受け入れ
がたい性格をした人物が多いけれど、そのような中でも、
今回はクリニックの専門医たちの苦悩を通して、一般の人たち
と同じような悩みを抱えている事が描かれ、感情移入させる
ものがあった。

金儲けのために患者の希望を叶えるという名目で全ての
手術を受け入れるのかと思いきや、断るパターンも有るという
事を提示出来ただけでも、クリニックとしての最低限のスタンス
を提示出来たのだろう。

何と言っても欠点が無いように見える市井睦を使って、それ
ぞれに持つコンプレックスに近い悩みという物を描いて見たり、
美人だと悩む患者の悩みを通して、星田自身がもっとも共感
している姿が有り、そんな彼女の現在の立ち位置を見ていると、
必ずしも幸せではないであろう事が伺える。

普段はビシっとした格好をしている人が、プライベートに於い
ては苦悩している姿を見たり、自分の弱い一面を、峯太郎
先生にだけ見せられると、男性心をくすぐるられるのは確か。
女性不信に有る峯太郎先生の中でも、睦の姿は、彼の頑なな
心に風穴を開けるだけのインパクトの有る事実だったのではな
いかろうか。

市井は経済的に夫以上の稼ぎが有り、独り立ち出来るような
状況が有るにもかかわらずその位置に固執している理由は
何なのだろうか。肩書きが必要だとも思えない中で、やはり
引き留められているのは、子供の存在なのかだろうか。

自ら美人で損しているという女性に対する、マリのアンサー
的台詞も上手く問題の本質を突いていて、人となりの性格的
なものを指摘していたり、生まれ持った美貌を活かせない人に
はどんな顔をしても人生が上手く行くとは思えないとする
辺りは、院長ならではの達観した人生感を披露した感じがする。

今回の様に整形術でドラマを回すよりも、心の問題を取り扱う
ドラマの方が見やすいことは明らか。
整形術に関しては、魔法の植毛手術の中で披露されていたけど、
その方法論は女性の脂肪吸引にも近い醜い施術が有った。
しかし中年男性にとっての一番の悩みは確実に薄毛の事だと
思うので、これを解決できればプライドを取り戻すが出来ると
なると、案外安い物が有るのかなとも思う。

こういうクリニックには併設する形で、カウンセリングの専門医
を常備しておくべきではないのかなという気がする。