相棒 Season12
(2013年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・
監督・
プロデュース・
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/




 

第1話 初回2時間スペシャル「ビリーバー」
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右京はカイト(甲斐享)の恋人である笛吹悦子から呼び出されると
最近のカイトの様子が変だと聞かされる。ネット配信「みんな
の動画」サイトが流行しているが、火の玉大王というハンドル名
の陰謀説を唱え続ける男性のサイトを熱心に視聴しているのだ
という。
右京はそれを受けてカイトを尾行すると、火の玉大王と思われる
若者たちとオフ会を通して関係を持っていることを知る。
一方その頃、警視庁では人事の異動があり、トリオとして活動
していた捜査一課の三浦が警部補昇格試験に合格して、伊丹
や芹沢とは立場が上になり、微妙な関係のひずみが生まれていた。
そんな状況の中、プレンシャルホテルで、大東亜産業(株)の専務
高山哲治が死亡して発見される。
現場では遺書が発見されるが、それを見つけた鑑識と所轄の
捜査官は、それを証拠として扱うことなく、警察庁の大河内を
経由して甲斐峯秋に話を通すと、そこに書かれている内容はすべて
本当のことだと告げる。その遺書の中には、10年前にエルドビアで
起きた大東亜メタル社長・猪瀬昌幸誘拐事件の真相が書かれていて
人質解放交渉を邪魔したのが当時、在エルドビア日本大使館に
勤務していた峯秋である事が分かる。
その事件に関して、火の玉大王は日本政府による陰謀説を
動画サイトで公表していた為にカイトは興味を持っていたことが
分かる。

シーズン11の開始と同じ輿水泰弘&和泉聖治さんでスタートした
相棒の最新シーズン12。アメリカ人気ドラマLAW & ORDER
シーズン20、CSI:科学捜査班はシーズン14(現在も放送中)、
ER 救命緊急救命室はシーズン15まで続いているので、是非
とも相棒もこの域まで到達して欲しいところ。

シーズン11の開始は香港領事館で起きた顛末だったけど、今回の
事件は国内で起きた事件とはいえ、10年前の事件の真相に於ける
暴露ネタというものを取り上げたもの。

何よりも気になるのは人事の流れだった。
三浦さんが大怪我をして、杖無しでは歩けない状況に陥る
「CSI:科学捜査班」アル・ロビンス検死官状態。
既に警察を辞めることを決意したということで、これまで築き上げて
きたトリオとしての捜一にどういう動きがあるのか気になるところ。
思い切って特命に吸収されていくのか、それとも新しい人事を
配置していくのか。女性捜査官が居ないので、そろそろ一人くらい
中堅どころの女性捜査官を相棒ワールドに組み込んでも良いのでは
なかろうかという気もする。

事件は、今時のインターネットの傾向を十分に踏まえた上で、
インターネット情報にも精通する右京の活躍が描かれた。
木村太郎さんバリにITを使いこなす右京の姿はちょっと説明っぽい
役柄だったけどまぁそれも仕方あるまい。

人間の心理を巧みに突いたとするネタで、数あるウソの中でも
一つの真実が含まれていると途端に信憑性が出てくるという
不思議な心理状況が描かれているし、政府に対する不信感を募る
ものたちを正義の名の下で誘拐ではなく保護という錯覚を生み出して
操縦していくところなど面白い部分だった。

ネタ的にはネット社会に於ける主体性・自主性というものが問われ
るもので、情報の信憑性を精査するのが難しい事柄に関して、
それらしく語られると信用してしまうネットメディアの危うさが
描かれた格好だった。

同時刻に放送していたリーガルハイでも似たようにネットに
関することを取り上げていたのは、互いに意識しての事なのだろう
か。

正義の名の下で動かされていたものたちも、殺人という言葉を
聞く事によって突然魔法が解かれたようにして、現実に引き戻される
という辺りはインターネットマジックのようで、なかなか上手く
出来ていたし、知らないうちに一般人が犯罪の加害者となって
しまうとするインターネット社会に於ける人間関係の希薄さ加減
もまた面白いものとなった。

シアン化カリウムとテトロドトキシンが体内から検出されている
こと。遺書に使われた筆跡が文章はワープロで署名は万年筆と
ボールペンだったという状況証拠が意味するものとは一体何なのか
が捜査に於けるトリック解明の楽しさだった。

甲斐峯秋の責任の是非が問われるものが有ったけど、外交
と個人の問題との間で揺れる男の複雑な心境と同時に本人の覚悟
が見られて上手かったね。

それにしてもハイテク課・Nシステムが必要になった際に当然
出てくると思った岩月彬が出てこないところが不自然だった。
亀山くんの名前が久しぶりにドラマの中に出てきたところも
良かったけど、そろそろゲスト出演・顔見せくらいしても良いの
にね。帝都新聞社の名前もまた久しぶりに聞いた気がする。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)
田丸寿三郎 …… 品川徹 (警視総監)
井出実篤 …… 井上高志 (警視庁・警務部長)
田中靖 …… 五王四郎 (警視庁・総務官)
原子嘉和 …… 大出俊 (警察庁警備局・s10 10話に出演)

猪瀬幸徳 …… 石田卓也 (帝都新聞社・記者)
綾辻隆一 …… 忍成修吾 ("火の玉大王")
高山哲治 …… 大原康裕 (大東亜産業・専務)
田部井稔 …… 伊藤俊輔 ("タコツボ")
立川美鶴 …… 樋井明日香 (サイト信者)
中津聡 …… 中谷竜 (サイト信者)
一峰悠紀夫 …… 村松和輝 (サイト信者)
大原康裕 …… 高山哲治 (大東亜産業・専務)

遠矢武、田中充貴、本田清澄、清水明彦、河野達郎
吉野正弘、堂下勝気、植村喜八郎、藤原邦章、国分崇
若松恭弘、千葉誠樹、中原和宏、重松隆志、中尾尚人
荻野みかん、重村佳伸、藤川三郎、新虎幸明、川嶋秀明
秋枝直樹、五刀剛、五辻真吾、日中泰景、渡辺健、鈴木雄一郎
永栄正顕、石井淳、中園彩香

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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