相棒 Season12
(2013年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・輿水泰弘(1)、金井寛(2)(5)(12)、櫻井武晴(3)、戸田山雅司(4)(8)
(16)
徳永富彦(6)、飯田武(7)、太田愛(10)、高橋悠也(11)、真野勝成(13)
山本むつみ(15)
監督・和泉聖治(1)(2)(3)(10)(15)(16)、東伸児(4)(7)
近藤俊明(5)(6)、橋本一(8)(13)(14)、安養寺工 (11)、近藤一彦(12)
真部千晶(14)
プロデュース・伊東仁、西平敦郎、土田真通
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/





第16話 聞きすぎた男
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違法電波を探っていた小曽根直哉。
花の里の近くで捜索していると、月本から声を掛けられる。
現在盗聴器の電波をキャッチしたので調べている事を告げると
月本は店を調べてもらう。すると小曽根は流しの下から発見さ
れたとして月本から感謝される。
その事を客としてやってきたカイトや右京に話す。
そして回収してもらった盗聴器を見せると、これはコンセント
に指して使う盗聴器のようだとして、カイトはまさか金など
払っていないですよねと問うと、1万円を払ったのだという。
月本は親切な業者で良かったと告げるが・・・
そんな中、小曽根が店に現れると、決して騙す気はなかったと
して受け取った一万円を返しに来た事を語る。
小曽根は自分は現在小曽根通信技術研究所で働いており、普段は
電磁波の研究をしているが、探偵からの依頼で高性能盗聴器
の試作機を作っていたところだという。実験のためにあの周辺で
調べていただけで自分の方から金を要求したことはないという。
月本から一万円を差し出された事を受けて一瞬もらっても良いか
と思ったがやはり返しに来たと語る。これだと取りあえず詐欺
事件にはならないとして特に問題にすることは無かった。

小曽根は相変わらず受信状況を調べていた。
白金の閑静な住宅地で違法電波を拾っていたところ、不審な
女性の悲鳴が聞こえる。時間にして午前10時10分。小曽根は
悲鳴のする現場を盗聴器の電波を元に探り当てる。
「電波から聞こえてきたのは、夫が亡くなったのを観て驚く
妻の悲鳴と、男性との会話で、警察に知らせて解剖されたら
絶対に見つかってしまう」として知らせられない事を語る。
小曽根は電波の発信場所を特定し、鍵谷里枝と初男(44歳)の
自宅からだと判明すると、すぐに110番通報する。警察が
すぐに様子を見に来るが、夫は生きているとして冷静に態度
を見せられ、部屋の奥から男性の声が聞こえたので警察も
イタズラ電話だと感じて事件性はないと判断する。
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元大手通信業者の社員で現在小曽根通信技術研究所で、電磁波
の研究をしている男性・小曽根直哉は研究費の捻出の為に
たまたま副業で行っていた盗聴器の性能実験をしていたが
そんな中で月本や右京らと出会い、更には白金地区を調べていた
ところで、盗聴器からの異常なやりとりを耳にしてしまう。
そこでは夫が何らかの原因によって亡くなったであろうこと。
解剖されたら絶対に見つかるとして男性と会話していることが
分かる。すぐに110番通報するが、所轄が調べたところ、特に
問題は無いとのことだが・・・

ドラマとしては山崎樹範さんが事件を偶然拾ってきたという事で
まるで民間企業の陣川くんって感じの役割りだった。
悪い人ではないけど、誤解され易い行動を起こしていること。

色んなところで警察による違法捜査が明らかにされている事件。
盗聴電波からの情報で捜査に踏み切ることだったり、右京の
勘だけで、店の冷凍庫を調べる令状が下りてしまうところなど、
なんの物証の提示もなくとんとん拍子で捜査が行われるところ
への違和感が有ったし、民間の刑事は事件がないと動けない
とする現実的な事実なんかも示される。

有閑マダムのちょっとした刺激を求める行動と、小遣い稼ぎ感覚
で大学の研究室からドラッグを盗む学生の行動、
そして事件を引き当てた小曽根自身もまた安易な発想から事件に
関わりを見せているということで、ちょっとした軽い感覚から
事件に繋がってしまうところは、人間が陥りやすい犯罪なのだ
ろう。

実に悲しいのは、人間には欲望に対する際限のないところだろう
か。金持ちも一見すると良い身分だが、すぐに飽きてしまうという
こと。研究員が不遇な人生を送っているのに対して、対象的に
有閑マダムはドラッグに溺れ、そしてその夫もまた、無実の罪
を着せられて会社から責任を押しつけられた挙げ句、妻のドラッグ
によって亡くなるという切ない状態だった。

携帯や盗聴の電波から聞こえてくるものに対して、人が勝手に
想像力をふくらませて、物事を大げさなものへとしてしまって
いる。大山鳴動とか針小棒大な感じで物事が運んでしまうところを
見ると人の想像力は無限のものがあるな。

最後に右京はチャールズ・ケタリングの言葉を引用していた。
「999回失敗しても、1回上手くいけば良い、それが発明だ」と。
先週観た「Dr.HOUSE」だったかのやりとりの中では、
今を生きる患者が、「人間の寿命の2万数千日の事を考えて生きる
ことよりも今のこと(一日)を考えることが大切」みたいな事を
語っていたシーンを思い出すな。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)
陣川公平 …… 原田龍二 (捜査一課・経理課)

小曽根直哉 …… 山崎樹範 (小曽根通信技術研究所)
鍵谷里枝 …… 嘉門洋子 (初男の妻、白金に住む)
大藤繁一 …… 佐渡稔 (東西信販・常務)
三沢泰彦 …… 俊籐光利 (ビストロ・LOUVRE、シェフ)
小曽根由美子 …… 木下智恵 (妻)
市原保 …… タモト清嵐 (覚醒剤密売犯の学生)
鍵谷初男 …… 瀬戸寛 (44歳、夫、東西信販・情報システム課)
中澤康子 …… 山賀晴代 (東西信販)

中田敦夫、瀬田昴治、日野出清、藤井美和子、三木采香


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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