カラマーゾフの兄弟
(2013年1月期・フジ・土曜23時枠)

原作:ドストエフスキー 
企画:佐藤未郷
プロデュース:森安彩
脚本:旺季志ずか
音楽:羽深由理
演出:都築淳一、佐藤源太、村上正典

http://www.fujitv.co.jp/brothers_karamazov/index.html





第11話 真実の色
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事件当日、久留美が黒澤家に来る予定が無かったにもかかわらず
満は彼女が家に居ると知って駆けつけていた事から、犯人が
満を犯人に仕立てるために呼び出していたであろう事を知った
勲は、電話でその事を示唆した末松を問い詰めていく。
すると末松はあの男が殺されるのは必然的な事で、全ては勲兄
さんの為にした事だとして、自分たちはシンパシーで結ばれて
いる事を言われ、勲はそれを否定していくが・・・

犯人は前回の段階でほぼ視聴者にも提示してしまったので、
それぞれに持つ父親に対する憎しみや生い立ちへの痛みと同時に
黒澤家の兄弟の絆が共有した時間の中で育まれていたことを
端的に示すエピソードだった。

最近世の中の構図を問う哲学的主張の中で、頭が良い・勉強が
出来る人が何故人間として偉い人物として扱われるのかという
事が取り上げられるけど、大抵はそういう人物が世の中を動かして
いるからだという所に帰着する。阿部寛さんが主演したドラゴ
ン桜
で主人公が世の中の仕組みと現実を唱えているけど、
この犯人はまさに頭の善し悪しなり目的の為に理由する側か
される側かで判断しているような人物像だった。

勲は黒い感情に押しつぶされそうになった事を主張しつつも、
支えになったのは兄弟たちと一緒に過ごした時間だと発言してい
た。この末松にもそんな共有する人物が居れば、こういう偏屈
で猟奇的な行動を取るまでには至らなかったのだろう。

最近放送していたTBSのドラマ「夜行観覧車の中の主人公
も、犯罪を犯すかどうかは、近くにそれを止める人が居るか
居ないかだとしていたけど、まさに人は出会う人によって人生
を左右されていくもので、人との出会いこそが、人生にとっては
宝なんだろうなと思わせた。

最後はそのまんまの流れで長男が起訴されたけど、CM明けには
一瞬にして無罪判決が出ていたので思わず、「早っ」と突っ込まず
には居られなかった。
そして前回も書いたけど、如何にも"デキル"ぽい良い雰囲気を
醸し出していた刑事の入江が危うく一人の人間を冤罪へと追い込
んでしまいそうになる辺り、人生少しの掛け違いで何が起こるか
分からない事を示唆している感じで、勲自身も紙一重の人生
だとしている事で、現実感を醸し出していたかのような演出だ
った。

黒澤勲 …… 市原隼人 (26歳、次男、弁護士)
黒澤満 …… 斎藤工 (29歳、長男、失業中の遊び人)
黒澤涼 …… 林遣都 (22歳、三男、医大生、精神科に進学しようと)
遠藤加奈子 …… 高梨臨 (満の恋人)
末松進 …… 松下洸平 (使用人)
小栗晃一 …… 渡辺憲吉 (秘書)
黒澤詩織 …… 安藤サクラ (文蔵の後妻。勲・涼の母親。20年前に自
殺)
吉岡久留美 …… 芳賀優里亜 (文蔵の愛人)
入江悟史 …… 遠藤賢一 (殺人事件を捜査)
黒澤文蔵 …… 吉田鋼太郎 (黒澤家の当主。満・勲・涼の父親)
宮島 …… 今村裕次郎 (刑事)

窪園純一

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