クロコーチ (2013年10月期・TBS・金曜22時枠) 原作：リチャード・ウー／コウノコウジ 脚本：いずみ吉紘 プロデュース：中井良彦、石丸彰彦 演出：渡瀬暁彦、山本剛義、平川雄一朗、大澤祐樹 音楽：出羽良彰、羽深由理 音楽プロデューサー：志田博英 主題歌：TOKIO 『 ホントんとこ 』 http://www.tbs.co.jp/kurokouchi/

第10話 完結〜三億円燃ゆ
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3億円事件が発生してから7年後の昭和50年12月10日午前0時を
持って時効は成立。17万人の捜査官を導入した事件捜査も効果
はなく無念の時を迎える。
時効を迎えた日、城尾は澤村英人の前に躍り出ると一緒に来る
様語る。

2013年12月3日。
高橋(澤村英人)を連行しようとしていた清家と牛井は気が付く
と、彼の姿は無くなっていた。
黒河内は沢渡の元に高橋から受け取った桜吹雪会の証拠を示す
パソコンを持って彼の居る警備保障会社へと現れ、これまでに
3億円を元に稼いだ総額の半分の175億円を自分の口座に振り込
めば事件のことは内緒にすることを取引にする。
そんな黒河内の元に清家から電話が鳴り、重要証人だった高橋
を逃がしてしまったことを聞かされる。高橋が隠し持っていた
スタンガンによって気を失わされてしまったのだという。
高橋が逃げたことを知った沢渡は黒河内と取引する必要もなく
なったとして、振り込みするのを辞める。
黒河内は稼いだ金を使って海外から傭兵を集めてクーデターを
起こそうとしているであろうことを沢渡に問いかけ、それを
機会に桜吹雪会を表舞台に挙げようとしていることは明らかだ
として、世間に公表する事を語る。しかしそんな証拠はないと
して沢渡は余裕の態度を見せる。そんな彼に黒河内は、貴方の
先生(城尾)はそんなことを本当に望んでいたのかと問い、彼の
顔色をうかがうのだった。
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いよいよ最終話。

黒河内が最後まで上手いことドラマを主導し、清家という人物
を操って、3億円事件の仮説を立証していったけど、最終的には
現実との整合性を図って、やっぱり表沙汰にはならないとする
流れを演出した。

正義とは何か、人を守ることとは何かというものを改めて問いか
けた感じで、正しいと思っている人それぞれの基準もそれが
一歩離れれば本当に正しいのかどうかの価値観を揺さぶる流れ
として描かれた。

3億円事件による功罪を引き合いに出すも、正しいことをしたとは
まるで思えず、それでも歴史を見ていけば、発展の陰には必ず黒い
影というものは存在している訳で、この件に限らず、大きな組織に
対する陰謀論は絶えず、人々の間では噂されている。

組織や秩序という名で犠牲にされた人たちがあまりにも切ないもの
だし、忘れてはいけないものだと思う。暴く人・暴こうとする人
がいる限りは、そうした暴走も抑止力として働くとは思うし、
組織が一方に偏りすぎないようにする為にも黒河内の役割りは
大きかったね。

人はすぐに負の歴史を忘れるものだし、歴史的事実も風化してしま
うもので、当事者が動かない限りは、なかなか真相を掴もうとする
人がいないものだなと感じさせた。

3億円事件に対する仮説は色んなところで挙げられているし、
ドラマ化・映画化もされているので特に目新しいという感じは
しないけど、それでも中盤はちょっぴりだらけたものの、全体を
通してみればなかなか面白く構成されたドラマだった。

黒河内というキャラクターがスルメイカの如く、噛めば噛むほど
良い味を出して魅力が伝わってくる辺りも良かった。