リーガルハイ
(2013年10月期・フジ・水曜22時枠)

企画 - 成河広明
演出 - 石川淳一、城宝秀則、西坂瑞城
プロデューサー - 稲田秀樹、成河広明、山崎淳子
オープニング 9nine「Re:」

http://www.fujitv.co.jp/legal-high/index.html




 

第10話 二転三転する最後の法廷!!執念で救え依頼人!!真実は悲劇か喜劇か!?
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最高裁に於ける貴和の殺害事件に於いて、古美門は検察の主張
の矛盾を解き、民意が事実を無視して法律を無視していること
を訴えると、最高裁判事としても異例の地方裁判所への差し戻し
判決を出す。

古美門らは、裁判中で留置場に収監されている貴和の面会リス
トの中に吉永慶子という人物がいることが分かるが、筆跡から
その人物が検事だった羽生だという事が分かる。
羽生は貴和と取引をしており、みんなが幸せになる方法という
ものを提案していた。死刑反対論者である羽生は無期懲役として
彼女を再度求刑しようとしていた。
貴和は羽生との取引で、自分の代理人である古美門を解任し、
三木に頼むことになる。三木もまた羽生の思想に共感して、
情状酌量による死刑回避を狙うことで、一気に自分の株を上げよう
ともくろむ。
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いよいよ最終話。
一話の頃から度々ネタのオチとして利用されてきた貴和に対する
裁判が始まるというもの。

ネタを見ると大部分で相当現実離れしていて、突っ込みどころが
多すぎるけど、ネタとして見るとホント良く出来ているなという
感じ。

一つ目は羽生は検察なのに弁護士に転身したかと思えばまだ
検察側立場で復帰していること。かつて広末さん演じる判事が
都合良く地方の案件を担当したり色々と動き回って突っ込み
どころも多かったけど、その辺である程度視聴者にも下地を
作っていたところなのか。

そして何よりも法廷での偽証はもちろんのこと、色んなな場面
でルールを守ってばかりでは実現できないという言い訳を作って
は、法曹界に於ける重大な問題をあっさりと犯してしまっている
ところなのかも。

DNA検査に於いても抜け毛から検査するという不自然な方法論を
取っていたり、別件の事件に於いて、まるで関係のない話を
判事が止めることもなく律儀に聞いて、最後には涙するような
感情移入をしていること。

ただこのドラマに於ける冒頭からの疑問でも有った、何故貴和
が証言を翻したのかという理由を探る辺りの段取りだったり、
前回古美門が民意や世論を否定した流れをくんで、今度はそれ
に乗っかる形で羽生が、死刑論廃止ということを主張していく
意図が発覚する流れは悪くは無かった。

どうしても堺雅人さんというと倍返しな半沢直樹の影響を
引きずっているところが有るけど、このドラマに於いても、
上手いこと倍返しの展開を用意できたところも爽快感があった。

ドラマとして上手く感じるのは、ウィンウィンの流れに於いて、
まかりなりにも古美門もまた方法論は違えどその手法を使って
羽生がしていることの馬鹿さ加減を説いている流れである。

また「裁判と真実」というのは永遠の課題のようにつきまとって
いる問題だけど、古美門も羽生もどちらも「真実はどうでもよく」
「勝てば良い」とする古美門と「みんなが幸せにする」という
羽生のどちらの流れにも主観的エゴが含まれており、その違いと
いうのを上手いこと比較した流れが有ったところだった。

刑事ドラマではよく見られる主張だが、犯罪者の中でもっとも凶悪
なのは犯行を犯しているという自覚がないものであり、それが
羽生と古美門の中でも違いとして描かれていること。古美門は
少なくとも悪いとする自覚が有る。
幸せになるかどうかは、弁護士が出来ることと出来ない事が有り、
過去に於いて色んなエゴを唱えるものたちを抑える役割りを果たして
来た羽生が見せかけだけの幸せを求めているところに彼の中の
主張の薄さを裏付けてしまったところが皮肉である。

またこれまで貴和が主張していたように、自分さえ幸せならば
それでも良いとする主張に対して、実際には自分以外に大切な
ものがいるという状況を持って、最終的には人間らしい行動を
取ったところは興味深く描かれた。

「小さなルーザーを作り君一人がウィナーになっている」
「人間の愚かさ・醜さを利用して勝ってきたのが古美門の手法だ」

結果的に人が人を裁く上で、全員がウィナーになるのは難しい
ことなんだろうけどね。

インチキ・ことわざも今となっては笑えた。

古美門研介 …… 堺雅人 (38歳、個人事務所)
黛真知子 …… 新垣結衣 (25歳、新人弁護士)
三木長一郎 …… 生瀬勝久 (50歳、三木法律事務所・所長)
沢地君江 …… 小池栄子 (35歳、三木担当秘書)
服部 …… 里見浩太朗 (50歳、古美門の事務員)
井出孝雄 …… 矢野聖人 (26歳、三木のアシスタント弁護士)
加賀蘭丸 …… 田口淳之介 (23歳、なんでも屋)
裁判傍聴する男 …… 大槻一人

羽生晴樹 …… 岡田将生 (25歳、元検察官・何でも円く収める天才・NEXUS Law Firm)
安藤貴和 …… 小雪 (35歳、殺害未遂容疑で死刑を宣告)
本田ジェーン …… 黒木華 (33歳、NEXUS Law Firm)
磯貝邦光 …… 古舘寛治 (45歳、元三木事務所、NEXUS Law Firm)
別府敏子 …… 広末涼子 (判事)

金崎正宗 …… 浜田晃 (暴力団「金崎組」組長)
徳永光一郎 …… 宇納佑 (徳永通運社長)
徳永さつき …… 内田愛 (光一郎の娘)
さと子 …… 大塚良重 (叔母)
裁判官 …… 小川あつし (泣いてた)

森山米次、岡崎宏、國本鍾建、森里一大
中山将志、上谷健一、諫山幸治、二木咲子、山科亨
水野小論、岐部公好、桜井ひとみ、谷藤太、平川柚那

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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