とんび
(2013年1月期・TBS・日曜21時枠)

原作 - 重松清「とんび」(角川文庫刊)
脚本 - 森下佳子
音楽 - 羽毛田丈史
音楽プロデュース - 志田博英
プロデューサー - 石丸彰彦
主題歌 - 福山雅治「誕生日には真白な百合を」
演出 - 平川雄一朗、山室大輔、中前勇児

http://www.tbs.co.jp/TONBI/




第6話 父と息子の最期
--------------------------------------------------------

--------------------------------------------------------

由美は旭から告白され自分で良いのか?と感じる中で、彼に対し
て家族らしい事をしてあげていない事に気がつき、カレーを作
って一緒に食事をしようと誘う。旭はカレーと聞いて、受験期に
食べた父親との最後の二日目のカレー事を思い出す。

二日目のカレーの意味を面白く解釈した話だった。
単に素材が味として溶け込むというだけでなく、家族の一員とし
て溶け込んでいるという意味を上手く描いて行く。

親と子の二人きりの家族故に、別れの寂しさは当然感じるものが
有るが、子供が巣立つ際の名残惜しさみたいなものが上手くドラマ
の中で描かれているのも、これまで如何に親子の関係が色濃く
描かれてきた事への証明のような形で現れているのだと思う。

不器用な父親故に子供っぽい対応ばかり見せているところもまた
逆説的に涙できる所に繋がっているし、頼りないからこそ
離れる事への不安感が増長していくという流れも上手く出来て
いる。

何と言ってもこのドラマ、冒頭の頃から父親が現存しているのか
どうかが分からず、その辺りがミステリアスなものとして描かれ
ているところも興味深い。そして何よりも時代設定が、2013年現在
ではなく、1998年をベースにしているという所もまた、ドラマ
には何らかの演出的・ストーリー的な仕掛けがしてあるのだろう
と思う所も有る。まぁインターネットでも使えるようになってしまう
と容易にコミュニケーションを図れてしまう事も有るのだろうし、
昭和の臭いを留まらせる為にも最新の時代に設定していないだけ
なのかもしれないけどね。

今回のドラマだけを見ていると、もしかすると父親は惚けてしま
い施設にでも入れられているのではないのか?と思う所もあるが
受験(1990年冬)で東京に出てから僅か8年後の1998年冬の事が
描かれている事も有って、亡くなっていると考えるのは尚早
なのかな。

子供で居られる時間はあと少し。
お前は海になれ。

海雲だけでなく息子の照雲もまた良い感じの説得をするように
なってきた辺りも良い感じだね。

マジの言葉遊び的使い方や、男は一本勝負とばかりに、合格すれば
認めるとしつつも、合格した事を知らせる通知を見た際には
複雑な心境で見守っているところがまた、涙ポイントだったね。

相変わらず葛原の妻が面白すぎる。
意味も無く殴られる夫の方も面白いけどね。

市川安男 …… 内野聖陽 (父、とても家庭思い)
市川旭 …… 佐藤健 (徳田出版)
(3歳 - 五十嵐陽向、6歳 - 荒川槙、11歳 - 福崎那由他)
市川美佐子 …… 常盤貴子 (安男の妻、家族を求める)
坂本由美 …… 吹石一恵 (徳田出版)
六川進之介 …… 内野謙太 (徳田出版)
松本京 …… 本田翼 (徳田出版)
坂本健介 …… 黒澤宏貴 (由美の息子)

曽根崎幸恵 …… 加藤貴子 (美佐子のママ友。照雲の妻)
曽根崎照雲 …… 野村宏伸 (安男の親友、坊さん)
葛原鉄矢 …… 音尾琢真 (安男の後輩)
尾藤 …… ベンガル (カナエ水産・社長)
たえ子 …… 麻生祐未 (小料理「夕なぎ」)
曽根崎海雲 …… 柄本明 (薬師院・住職)
葛原の妻 …… 橋本真実
萩本 …… 高橋和也 (天ヶ崎通運・課長)
銭湯の番台 …… 青木和代 (潮の湯)
曽根崎頼子 …… 岩本多代 (海雲の妻)

山田春夫 …… 今村均 (安男の先輩社員)

古本新乃輔、木口亜矢、森喜行、秋田卓郎

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

inserted by FC2 system