相棒 season 13
(2014年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

脚本・輿水泰弘(1)、森下直(2)、金井寛(3)
監督・和泉聖治(1)(3)、池澤辰也(2)
プロデュース・
音楽・池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_13/





第3話 許されざる者
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米沢は、マンション・エトワール南の防犯カメラ映像を調べて
いた。時は2014年10月20日(月)の午後8時前後の映像。
右京とカイトに対してこれはミステリーなのだという。
エース司法出版社に勤務する長谷川重徳(32歳)がこのマンション
の自宅で殺害されていたという。第一発見者は管理人で、
午後23時に被害者か勤める会社からの電話で、大事な会議があ
るのに長谷川が出勤しなかったので様子を見てきて欲しいと
頼まれた管理人が発見したというモノ。部屋には鍵がかかって
おらず、凶器はロープで首にはスタンガンの跡がついていた
というもの。死亡推定時刻は午後9時から11時の間。
頬に傷が付いているがそれは3日前の午後6時に病院で治療した
跡があるので殺人とは別のものだという。
長谷川と聞いて心当たりはないかと言われると右京は確か
3年前の風見公園で起きた殺人事件の容疑者の名前だろうと語る。
米沢は流石右京さんだと告げ、3年前に山本香奈(22歳)・花屋
"hana101"勤務の彼女が帰宅途中の公園で殺害され、バッグや
時計など盗まれたという。その結果、物盗り目的の犯行だろう
ということになり、ジョギング中に現場から走り去るバイクを
目撃した人がナンバーを覚えていたのでそこから長谷川が
容疑者として割り出されたのだという。逮捕・起訴されたが
被告は無罪。彼の弁護に当たったのは人権派弁護士として凄腕
の永井多恵が担当したからだった。更に半年後には堀内猛と
言うホームレスが病死したが彼の所持品の中に香奈の時計が
入っていた事から被疑者死亡の事件だったという。

そんな中何処がミステリーなのかと問うカイトたち。
話を元に戻して長谷川が殺害された日、彼は防犯カメラ映像
には午後8時05に帰宅しているという。ヘルメットを持って
いることからバイク通勤をしているのだろうとのこと。
右京はブーツが光っている事を指摘すると、カイトはライダー
ブーツは光を反射するものが多いことを語る。その後マンション
には住民以外の関係者の出入りはないのだという。

現場に行って直接調べる右京とカイト。
確かにカメラから映らずに入るのは無理だという。
出入り口は他に裏口にあるというが、中からは誰でも出られる
のだが、入るにはやはり住民用の鍵が必要で、この鍵は複製が
出来ないものだという。誰か便乗して裏口から入ったもの
なのか。
そんな中伊丹たちもマンションへとやってくる。
芹沢はこのマンション全体が密室状態になっている事を告げる。
しかし犯人が裏口から入った場合、直接チャイムを押している
訳で、オートロックシステム形式のマンションに於いて
警戒もせずにドアを開けたりするものか?と疑う。つまり親しい
人の犯行の可能性が高いと語る。

右京たちは室内を調べる。
派手に室内が荒らされていた。形の変わった灰皿のようなもの
が置かれていて、テーブルには海外の不動産情報のパンフが
置かれていた。彼はえん罪事件での体験を出版していること。
永井弁護士の推薦で今の出版社に入っていることを知る。
この部屋からはパソコンが無くなっており、金銭目的ならば
アダプターごと持っていくのではないかという。これだけ
荒らしたということは何かを探していたモノなのか。

彼が勤務していたエース司法出版社長の佐野修一から話を
聞いていく事になる。
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右京たちは米沢からマンションで殺害された出版社の男・長谷
川重徳の件で、事件当時の防犯カメラ映像からミステリー性の
ある事件だとして声を掛けられる。
マンションには不審者が侵入した形跡もなく、出入り口も限ら
れていることや、マンションの厳重なセキュリティ仕様から
完全な密室状態であることを知る。しかし被害者の名前を聞いて
右京は三年前に山本香奈殺害事件で起訴されていた男性である
事を知る。

シーズン13に入ってから一番面白く構成・演出されたエピソード
だった。

目の前で起きた殺人事件が過去に起きた事件との因果関係を調べて
いくウチに、その関係者の中で誰が殺害に当たる動機と機会に恵ま
れているのかを精査していくもの。

ドラマを見ていると犯人は相当心が病んでいて、復讐殺人を
されても当然だと思うものが有ったけど、法の及ぶところでは
罰することが出来ない(一事不再理)とする事情が存在する。
世直し殺人の形で法律家によって殺害させるというのであれば
ある程度想像出来るところが有るし、皮肉な形で法律家によって
殺害させる形で相殺させるということ自体は面白いのだけど、
そもそもこの弁護士が弱者救済と称して3年前の裁判で何をしたかっ
たのかに関してはまるで理解の及ばないところでドラマが回っている
状態だったので、正直シナリオ自体が破綻してしまった様に思う。

最後の最後で展開をひねろうとしたのか、それとも制御することの
出来ない長谷川を誰かに殺させるが為にだけ存在したような人物像
だったね。

「ウソにはウソを・・・」
ということで、最後についた右京のウソ。処分したと思われた
長谷川の原稿は、彼ならば何処か別のところにもコピーして
持っていそうな気がする。そんな心配を抱えていかねばならない
弁護士としては当然殺害するしかないとは思うけどね。

しかし外部で彼を殺したのではあれば、すくなからず遺体を動かして
いる形跡が見つかるハズで、女性一人で遺体をマンションまで
運べるものなのかということも含めて、ちょっと考えられないところ
も有ったかも。内部からは誰でも鍵が開けられるという設定もまた
都合良く作られているし。

トオルが完全に捜査一課からの情報を引き出す為に芹沢との繋がり
の為ばかりにいる感じもする。
芹沢もまた伊丹に怒られることを知って情報を流しているのかと
さえ思う所も有る。

久しぶりに内村と中園の面白いやりとりも見られて、内村が自分の
都合に合わせて中園を使うところは面白かった。



杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (警部補・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査一課)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査一課)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (二代目"花の里"女将)
笛吹悦子 …… 真飛聖 (国際線・客室乗務員、享の彼女)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・次官)

永井多恵 …… 片岡礼子 (人権派弁護士)
長谷川重徳 …… 夙川アトム (エース司法出版社)
山本香奈 …… 指出瑞貴 (花屋勤務、3年前風見公園で殺される)
山本勇一 …… 山田明郷 (香奈の父・脳梗塞で杖)
佐野修一 …… 千葉哲也 (エース司法出版社・社長)
堀内猛 …… 飯田孝男 (ホームレス)

窪園純一、隅倉啓美、水間貴弘、伊藤幸純、三倉翔、赤池高行
松木研也、増田雄二、小森郁子、尾竹明宏、金森規カ、黒澤吉彦



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