明日、ママがいない
(2014年1月期・日テレ・水曜22時枠)

脚本監修 - 野島伸司
脚本 - 松田沙也
演出 - 猪股隆一、長沼誠、鈴木勇馬
音楽 - 羽毛田丈史
チーフプロデューサー - 伊藤響
プロデューサー - 福井雄太、難波利昭
主題歌 - コトリンゴ「誰か私を」





第1話 愛を失った少女。捨てられたんじゃない私が親を捨てたんだ
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涼香は恋人を灰皿で殴ると警察に付けて行かれる。
タクヤは私が居ないと駄目なんだという涼香。涼香の一人娘
の真希は一緒に横浜東警察署へと連れて行かれる中、待合室
に居ると、水沢叶によって連れて行かれる。何の説明も受けず
に、水沢は真希を杖をつく男・佐々木友則に渡すと彼の車で
ある施設「コガモの家」に連れて行かれる。真希はあまりに
不気味な為に帰りますと語るが、部屋に連れて行かれる。
明かりも付いていない家に連れて行かれたことで恐怖が増すが
部屋はベッドが備え付けられていた。すると突然ピア美から
声を掛けられ、泣いているのかと問われる。
更にボンビが現れ、ここはグループホームである事を告げ、
訳ありの子どもたちが連れてこられる場所だという。あんたの
ママは彼氏を殺したから来たのでしょ?と言うと、それを否定
し、ウチのママは殺しなど出来ないと語る。でも施設長:魔王
(佐々木友則)と児童相談所・アイスドール(水沢叶)が会話
しているのを聞いたという。鈍器で殴ったと言っていたとし、
ドンキとは一体何なのか?と問う。するとポストが現れ、鈍器
は重たいものであり、それであんたのママが彼氏の頭を殴った
のだろうかと語る。真希はみんなが不思議な呼び名で呼び合って
いるのを知って不思議がると、ここではみんなあだ名で呼ばれる
のだという。互いにあだなの付いた名前の由来を語り合う中で、
真希のあだ名はドンキだと語り一同盛り上がる。私はどうせ
すぐに帰るから何でも良いという。そんな中、パチが現れると
ウンチを漏らしたとして涙していた。

翌朝、食卓につく子どもたち。
ロッカーが作る食事を本当に美味しいというオツボネ。
そんな中、突然友則が現れると、一同雰囲気が凍り付く。
友則は子どもたちに突然"泣く"様要求し、芸の一つも出来ない
のかと問う。ペットの幸せは飼い主によって決まることを告げ、
犬でもお手くらいの芸は出来ることを語る。どれだけ里親に
引き取られせたいと思わせるかが大事だとして、同情を引くよう
な涙を流したものから食事を食べて良いと言われる。涙する演技
を見せるが、彼はそんな演技では駄目だと激怒。ポストに対して
見本を見せてやれと語ると、ポストは突然涙し始める。しかし
次の瞬間ケロっとした態度を見せるのだった。

ポストは今日"お試し"の時だった。
細貝夫婦が里子を求めている為、連れて行く。ここでは新しい
家族を見つけた子たちから出て行くのだという。何度か養子縁
組の様な形で里親の家で過ごして相性診断をしていくのだと
いう。
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    何らかの理由で子どもを育てられなくなった子どもたちが
預けられ、里親が見つかるまでの間に滞在する児童養護施設
「コガモの家」。訳ありの男・佐々木友則が運営する施設では
現実ばかりが突きつけられていく。虚実の世界から来たもの
たちはここで現実を知り、そして現世での未練を断ち切って、
新たな人生を歩んでいく。

こういう児童養護施設の存在ってあんまりクローズアップされ
ることが無いよね。人権などを配慮しての事かも知れないけど
アメリカのドラマや韓国のドラマでは意外と素材としては多い
のだけど、日本では社会がそういうものを許さない雰囲気がある
のだろうか。

子役たちの演技力と存在感が相変わらず凄い訳だけど、台詞が
どう見ても大人が作っている感じが出ていて、その辺がどうして
も萎える部分でも有る。
ただ言動を含めて賢く生きる子どもたちが、大人顔負けの台詞と
態度で社会を目にしているのと同時に、子どもとして年相応の
感情も同居している当たりが少しでも顔を覗かせると、悲しさ
というものを感じる内容である。

子どもは親を選べないとするけど、その概念を養護施設の側から
壊そうとするところがまた斬新でもある。

幸せとは何かという事は常にこのドラマのベースにあるもので
有って、子どもたちがその幸せとは何かという事を心では知って
いるのだけど、なかなか口にしない。最後になって初めて、
本当のママが愛してくれる以上の幸せなどあるのかと問いかける
辺りがまた切ない感じだ。

子どもにとって親というとやはり、女性親をイメージするものなの
だろうか。このドラマに於いて、誰一人もパパという言葉を口に
する事がない。

恋愛関係に於いて、きちんと振られないと次に進むことが出来ない
とする主張・感覚と同じトーンで、自分から親を見限らない限り、次
には進めないとするポストと真希のやりとりがまた如何にも
大人が作った感じの設定なのだけど、違和感を覚えながらも
ドラマらしくカスタマイズされたやりとりの中に少しでも現実との
整合性が突き合わせされると、途端にダイレクトに心に突き刺さって
くる内容である。

みんな子どもが可愛らしい分だけ、そんな子どもたちを捨てた
親に対する罪深さを感じる作りだ。

子どもと厳しく接する職員たちも下手に感情を入れないようにして
いるのだろうし、互いに名前をあだ名で呼び合いところにも、
有る意味名前の由来以上に深いものが含まれていそうだ。
DQNネームを付ける親と子の方が、世間的な常識とはかけ離れていた
としても、子どもに対する愛情としては成立してしまっている所
がなんとも皮肉だ。

で、脚本監修に野島伸司御大の名が・・・
「同情するなら金をくれ!!」って言葉がいつ飛び出してくるのか
ヒヤヒヤしながら見ている(笑)



児童養護施設「コガモの家」

ポスト …… 芦田愛菜 (赤ちゃんポストに入れられていた)
ドンキ(真希) …… 鈴木梨央 (母・涼香が鈍器で恋人を殴り捕まる)
ピア美 …… 桜田ひより (ピアノ好き)
ボンビ …… 渡邉このみ (家が貧乏)
ロッカー …… 三浦翔平 (職員兼調理員、コンイロッカーに捨てられてい
た)
佐々木 友則 …… 三上博史 (48歳、施設長。"魔王")
オツボネ …… 大後寿々花 (17歳)
パチ …… 五十嵐陽向 (きよみ幼稚園に通う、母の臭いのシャンプー)
ハン …… 阪本光希 (施設で暮らす双子)
リュウ …… 阪本颯希 (施設で暮らす双子)
水沢 叶 …… 木村文乃 (25歳、児童相談所・職員、"アイスドール")
涼香 …… 酒井美紀 (真希の母、傷害事件)
東條祐樹 …… 城田優 (ボンビの理想の父親)
笹塚蓮 …… 藤本哉汰 (横浜市立川浜小学校児童)
香織 …… 鈴木砂羽 (40歳、弁当屋"味彩屋")
東條の妻 …… Mailys Robin

ダイフク(小田中鉄也) …… 田中奏生 (ラーメン店主夫婦の里子に・・)
加藤 一郎 …… 店長松本 (中華食堂「末広軒」経営)
加藤 久子 …… 池津祥子 (中華食堂「末広軒」経営)
細貝 晴美 …… 櫻井淳子 (ポストの里親候補、人形を求める)
細貝 …… 西村和彦 (ポストの里親候補、愛人に走る)

藤谷和江 …… 萩原利映 (かぐやの母)
藤谷月姫(かぐや) …… 住田萌乃 (きよみ幼稚園・園児、DQNネーム)
タクヤ …… 加藤仁志

金澤美穂

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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