あすなろ三三七拍子
(2014年7月期・フジTV・火曜22時枠)

原作 - 重松清『あすなろ三三七拍子』
脚本 - 吉田紀子、ふじきみつ彦
音楽 - 大友良英
演出 - 土方政人、植田泰史
主題歌 - スピッツ「愛のことば-2014mix-」
編成企画 - 水野綾子
プロデュース - 小林宙





第8話 さよなら山下先輩…“連れ”とは何か?
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新学期が始まる。
応援団のお陰もあって野球部はなんとか逆転し、トーナメント
戦を残っていた。次に勝てばケイガクと戦うことが出来ると
して盛り上がる。齋藤もまた定期船の時に比べて随分と成長し
た姿に後輩達を誉める。玲奈はチア部もなんとかしてスタンド
に立って応援したいと吐露する。問題は吹奏楽部だった。

原の応援団改革によって女性から支持が上がり、応援団に
応援して欲しいとする部活からの要請も増えていた。
しかし学校側ではセタショー時代の悪しきイメージを塗り替え
るには一つ余計なものが混じっているという。それはOBの存在
であること。

齋藤は上気分になり後輩達に今夜は焼き肉を奢るのでみんな
で食べに行こうと誘う。そんな中山下もやってくると、突然
齋藤は顔色を変えて帰ってしまう。文句があるならばハッキリ
言えという山下は連れだろうとするが、齋藤はお前など連れ
でもなんでもないのだと語る。

広子は団は家族だとして応援されたことに悪い気はしていな
かった。団員のために作ったパンをみんなに食べさせてとして
大祐にパンを持たせる。広子は土曜日に高校の同窓会がある
事を告げるが心配しなくても女子校だと語る。
パパには同窓会の知らせが来ないとして、友達がいないから
だと言われる。
そんな中大介の元に山下から電話が鳴るとたまにはサシで
飲もうと誘われる。
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ケイガクとの交流戦から早くも時が経ち、新学期に入った翌檜
大学の野球部は快進撃を見せて、次の試合に勝てば本大会での
ケイガクとの対戦になることが決定していた。チア部の玲奈
は自分たちもスタンドで応援したいことを口にするが、吹奏楽部
が支援してくれないことにはそれも不可能だった。
そんな中、山下が親の介護のために大阪に帰ることになる。
山下は元々大学を卒業したら大阪に戻るつもりで居たのだが・・

このドラマが上手いと感じるのは、大学での部活動を応援すると
いうごく有り触れた内容のドラマを見せず、それ以外のところで他人
を応援するというパターンを見せていることだ。

応援団とはどういう存在なのか。
団を残したいと思うだけの気持ちを卒業してまで残していたり、
生活を犠牲にしても大学の団に賭ける思いの中には一体何があるのか
ということを上手いこと表現している。

何故ここまで視聴率が悪くなってしまったのかは分からないけど、
初回の頃はここまで面白くなるとは思っていなかったので、初回
で躓いたのはちょっぴり残念なのかも。

それぞれのキャラクターの性格を熟知するまでこのドラマの良さ
がなかなか伝わってこないが、その性格が分かった後のドラマ
はかなり濃厚になり、上述した思いというものが何なのかという
ことが見ているだけで伝わってくるものがあった。

学生時代の友達が一生の友達になるという事は明らかだけど、
表面的な付き合いだけでなく、"連れ"という意味との違いを
解いて見せた。大介にはそんな人物がいないとしているけど、
ある意味夫婦の関係は、連れに近いものが有るのではないかと
思う所も有る。

決して悪くはないのだけど、応援団以外のネタがちょっぴり幼稚
に思えるところがあるのがマイナスと言えばマイナスな点なの
だろうか。サイン会に於ける葛藤は、それぞれのキャラクターを
引き出すためとはいえ、やや幼稚に思えるやりとりも有ったし、
突然チア部の独りよがりだとする流れも、唐突さを感じるところは
否めないところだった。
しかしそれらの流れにも意味があるものなので、受け取り方は
ともかく、とても良いドラマとなっている。


藤巻大介 …… 柳葉敏郎 (エール物産総務部課長)
松下沙耶 …… 剛力彩芽 (学生・フェミニズム論)
保阪翔 …… 風間俊介 (学生、美紀の彼氏)
葉月玲奈 …… 高畑充希 (第58代副団長。チアリーダー部部長)
野口健太 …… 大内田悠平 (文理学部1年生)
藤巻美紀 …… 飯豊まりえ (大介の娘。翌檜大学生)
藤巻広子 …… 菊池桃子 (大介の妻)
荒川剛 …… 西田敏行 (応援団OBで第15代団長。エール物産社長)
原智子 …… 森口瑤子 (フェミニズム論研究室准教授)
山下正人 …… ほんこん (第38代副団長。サニー損保営業所所長)
齊藤裕一 …… 反町隆史 (第38代団長。三つ葉社営業部社員)
園田善彦 …… 山本涼介 (吹奏楽部部長)

江本慎也 …… 塩野瑛久 (京浜学院大学応援団団長)
真由美 …… 内藤理沙 (広子のパート仲間)
パン屋主人 …… 藏内秀樹 (広子がパートで働いている)
小泉紫乃 …… 長谷川ニイナ (チアリーダー部サブリーダー)
渡辺哲治 …… 一ノ瀬ワタル (京浜学院大学応援団団長)

森田幸作 …… 長谷川初範 (文筆家)

白洲迅、俵木藤汰、松永英晃、和田麻菜、伊藤未希、坂口涼太郎
吉田怜菜、櫻井保守、小平一誠、関本巧文、富永陽子



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