僕のいた時間
(2014年1月期・フジ・水曜22時枠)

脚本:橋部敦子
プロデュース:橋本芙美・江森浩子・元村次宏
編成企画:中野利幸
演出:葉山裕記、城宝秀則





第1話 難病と闘い今を生きる青年の物語!!あなたは全力で生きてますか?
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雨の日、車椅子に乗り、シャンパンのボトルを持った男性が
傘も差さずに町中を走る。
谷本医師の言葉が頭をよぎる。今の医学では解明されていない
病名で、全身の筋肉が弱まっていき、発症後3年からから5年で
呼吸筋がマヒしてしまい亡くなるものだという。病名はALS(筋萎
縮性側索硬化症)との事だった。

--- 澤田拓人・大学3年冬 ---
青楓学院大・経営学部に通う拓人は就職活動を始める。
親友の水島守と共に就職案内で事情を聞く。同じ会場には、
知り合いではないが同じ大学の本郷恵と村山陽菜の姿も有った。
まだ就職活動は始まったばかり。就活の学生の多さから、これから
長い一年が始まることを感じさせる。

--- 大学4年春 ---
住井物産で面接にいく拓人。面接員の古川の前で集団面接を受ける
中、大学名を名乗ることは不要だと言われる。その現場には拓人
だけでなく恵の姿が有った。面接中に恵の番が来るという時に
突然彼女のバッグの中で携帯電話が鳴り響いてしまう。恵は
自分が電源を切り忘れたとは言えず呼び出し音が鳴るまで固まって
いた。すると音が鳴り終わった後、拓人は自分が電話の電源を
切り忘れたとして、謝罪する姿が有った。
恵はその事もあって面接はボロボロ。不要だと言われた大学名を
話したり、自分が行っているファミレスでのバイトの中で
全てのメニューを食べ尽くしたことを語ってしまう。

会社を出た後に恵は拓人を見かけ声を掛ける。
何故私のことを庇ったのかと問われると、拓人は君のためではなく
面接官へのアピールの為、自分が問題に冷静に対処出来るという
ことを示しただけだと語る。

帰宅した恵は電話してきたのが母・翔子からだと知り怒る。
しかも電話した内容はホームベイカリーを通販で買うかどうかの
相談だと知って呆れる。

--- 大学4年夏 ---
エントリーシートを提出する中で、坂下という生徒が就職課
にいる事を知る。彼もまた小心者故に内定をもらえず悩んで居る
事を知る。
拓人は大学の先輩・平井を頼り、エントリーシートを彼に渡す
が、特にこの書類を見て君自身に興味を引かれるようなことが
書かれていないことを指摘される。それだけでなくこれは寧ろ
自分が薄っぺらいヤツでそれらしく書こうとしている意図が
見え見えだとして、厳しい現実を突きつけられ、人間性を否定
されたように感じていく。
恵もまたまだ内定がまるでもらえず焦っていた。母は仕事を
選ばなければ仕事なんて幾らでも有る事を告げる。しかし恵の
家は母子家庭ということもあって彼女は就職して奨学金・645万
円を返済しなければならない身だとして焦りを見せていた。

--- 大学4年秋 ---
合格の内定をもらえていないものたちは崖っぷちにいた。
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    拓人は大学就活中の学生だった。
実家は山梨では名の知れた病院を経営していて生活には不自由
ないと思われたが・・・
就職活動を通して実感する現実の数々は、多感な彼にとっては
苦しさを覚えるものとして存在していく。しかしそんな中でも
就活中に知り合う人間関係を通して、絶望の中に見る希望の光
を見出していく。

今期一番期待しているドラマ。
よく見ると今期のドラマって刑事ものと病院ものばかりしか存在
せず、恋愛ものはかなり貴重なドラマという感じ。探偵ものドラマ
を刑事枠にいれるとそれこそそんなドラマしか無くなってしまう。
フジテレビ以外に恋愛ドラマ・青春ドラマを作るテレビ局がなく
なってしまうというちょっぴり寂しい現実が有るな。

警察もの
隠蔽捜査(TBS・月)、福家警部補の挨拶(フジ・火)、相棒(テレ朝・水)
緊急取調室(テレ朝・木)、戦力外捜査官(日テレ・土)、S -最後の警官-
(TBS・日)
病院もの
チーム・バチスタ(フジ・火)、Dr.DMAT(TBS・木)、医龍(フジ・木)

さてドラマとしては、初回からビンビンと伝わってくるものが有り
素敵な若いカップルが厳しい現実を過ごす中、互いに支え合い、心の
より所にしつつも、幸せを育む過程で忍び寄ってくる対象的な
黒い闇というのが今後を予感させてなんとも切なくさせる内容だった。

互いの気持ちを揺さぶるようにして、距離を縮めたり、また遠ざけ
たりする描写がとても自然で、時に青臭くも感じるのだけど、
そこがまた心地よく写るところがある。

この二人の姿を見ていると素直に成就していく恋愛ドラマを見せて
欲しいという感じだけど、その辺はドラマだねって感じで、末路が
絶望感というだけ有ってなんともやるせない部分だ。

いずれ亡くなるであろう主人公の姿を見ると、自分のことをまるで
気に掛けようともしない両親・家族・社会に対する復讐にも思える。
1時間前に見た「相棒」の女性も死を演出することで、自分
の幸せの全てをぶちこわした同僚の女性に復讐するというストーリー
が存在したことを思い出させる。

人の顔色を見て育ってきたという分だけ人の心に寄り添い、他人の
気持ちを察してフォローしていくのも得意だったりするのだろうね。

人は何らかのキャラクターを演じることで自分の居場所を確保
するものだろうけど、近年ではそういう傾向がホント強くなって
いるのだろうなと感じる。最後の家具店で主張した主人公の心の
叫びは、確かに特異な感じがしたけど、寧ろ精神的に大丈夫なのか
と面接官ならば心配しそうだ。

キャラクターを演じることに関しては隣人の少女・すみれもクラス
でそれを求められている役柄のようだ。
恵が拓人との会話の中で、家庭教師のバイトをしていると話した際
に恵がいやらしいと語っていたけど、バイトを受け持つ相手が
女性とも言ってないのに何で嫌らしくなるんだって感じ。
小学5年生だと語るともっと嫌らしいという。どんだけ想像力豊富
なんですか!って感じだった。

ボトルを埋める描写などなかなか素敵だったけど、もうそのボトル
の存在が既に冒頭から描かれているというのもまたなんとも言えない
ね。

三浦春馬くんは、前回のドラマ「ラスト・シンデレラ」でも
金持ちの両親や兄弟の関係に悩む設定だったね。

色々と書きたいことはあるけど、キリがないのでこの辺で。



澤田拓人 …… 三浦春馬 (22歳、就職活動中の大学4年生・ALS)
本郷恵 …… 多部未華子 (22歳、拓人の同級生)
水島守 …… 風間俊介 (22歳、拓人の同級生)
向井繁之 …… 斎藤工 (24歳、拓人の2年先輩、大学院、怪しい)
村山陽菜 …… 山本美月 (恵の友人、就職は諦めた!、ヒナって自分で名前を言う子)
澤田陸人 …… 野村周平 (拓人の弟・医大に合格する)
谷本 …… 吹越満 (拓人の主治医)
本郷翔子 …… 浅田美代子 (恵の母、彼氏が出来たら連れてきなさい!)
澤田美和子 …… 原田美枝子 (拓人と陸人の母、弟にだけ期待している)

桑島すみれ …… 浜辺美波 (小学5年生)
坂下柊二 …… 夕輝壽太 (22歳、拓人の同級生)
澤田昭夫 …… 小市慢太郎 (拓人の父・山梨の病院)

津村知与友、小浜正寛、向野章太郎、白州本樹、土井玲奈
小橋宏美、伊藤陽平、桜井聖、菊池友里恵、青山祥子
中根大樹、小林浩一

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)


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