僕のいた時間
(2014年1月期・フジ・水曜22時枠)

脚本:橋部敦子
プロデュース:橋本芙美・江森浩子・元村次宏
編成企画:中野利幸
演出:葉山裕記、城宝秀則





第2話 キスで結ばれた二人に忍びよる病魔―!!
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--- 拓人・社会人1年目・春 ---

朝にシャワーを浴びつつも左腕にちょっとした違和感を覚える
拓人。朝食を作っていると弟の陸人からキッチンの蛍光灯が
"寿命"じゃないかと言われる。

職場である宮前家具に出社する。
先輩の派遣の社員・宮下正樹から指導を受けるが、新人の拓人
には色々と覚えることが有るという事を実感させられる。

一方恵は結局卒業までに就職が決まらず、新卒者ではなく、
中途採用の形で面接を受けて回る。一つも内定を取れなかった
理由は何かと面接官から質問を受け、自分でも精一杯していた
つもりだったが、未だに自己分析が出来ておらず何が悪いのか
私自身分からない事を告げ、逆に面接官に私の何処が足りない
のかを尋ねてしまう。

恵は面接を終えて一息ついているところ、拓人からメールを
受ける。卒業以来久しぶりに会う二人。卒業式の時に二人は
また会えるよねと約束をしていた。
喫茶店で二人は逢う。近況を語り合う中で、就職・仕事につい
て語り合う。就職に於いての理想は職種が好きなもので自分も
得意な分野の会社に就職すること。次に好きじゃないけど
得意なこと、三番目は好きだけど苦手だという仕事、そして最悪な
ことは苦手で嫌いな仕事に就くことだという恵。拓人はその内の
どれに該当するのかと言われ、自分は仕事を覚えるまでは
その仕事が苦手かどうかも分からず、行きたいと関する部署も
まだ決まっていないという。

喫茶店を出ると外は雨が降っていた。
恵は母親から雨が降ると言われて傘を持たされたとして、折りたたみ
の赤い傘を持っていた。二人は寄り添い腕を組みながら傘に入る。
今度ウチに来ないかという拓人・・・みんなでご飯でも食べよう
と約束。別れ際に、拓人は"例えどんな仕事で有っても役に立ち
たい"ことを口にする。
帰宅した恵は母から日曜日に町内会のチャリティイベントを
手伝って欲しいと頼まれる。

恵は親友の陽菜と逢う。
陽菜は就職活動を早々に諦めて派遣社員として働いていた。
陽菜は恵が拓人と逢ったことを聞くと、彼とは何処まで行った
のか?と問われる。何もしていないとしながらも、相合い傘を
して腕を組んだんだと嬉しそうに語る。

恵と陽菜は拓人の家にいくと、そこでは守が待っていた。
拓人は少し遅れそうだと連絡が有ったという。そんな彼らの前に
拓人の弟・陸人が現れる。守は陸人は医大に通っている大学生
である事を語り、実家が医者である事を告げると、恵は面接で
の拓人の言葉を思い出す。「親の期待に応えられなくなった」
後の人生のキャラクターを演じてきたという言葉に、恵は朧気
に拓人の事情を察していく。
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    いよいよ社会人としての活動を始めた拓人。
しかし実際には自分の働きたかった仕事なのかどうか分からずに
居る中で、恵は社員になれるだけでもうらやましい事を告げる。
また拓人は派遣の上司から仕事っぷりに対して怒られている
中で、恵もそれとは対象的に、派遣が新入社員が出来ないことに
愚痴る姿を見て、拓人とは完全に意見や立場をすれ違わせていく。
しかし恵は拓人と関わっていくウチに少しずつ、拓人のことを
知らぬ間に傷つけていた自分がいる事を知り、反省していく。

人は自分の事が大事なのでなかなか他人の事まで気が回らないもの
だろう。一度でも傷ついたもので無い限り、なかなか他人を
気遣うことを忘れてしまうところが誰にでもあるのかも知れない。
崖っぷちに立たされる程に回りに目を向けられなくなるというのも
分かるのだけど、そういう時にこそ人としての資質みたいなもの
が試されていきそうだ。

今の時代、肩書きではなく、派遣が社員を馬鹿にするというのも
分からないでもないのだけど、やはり立場の違いによって、それ
ぞれの言い分は存在していそうだ。

派遣でも社員でも接客業である限り違いはないとしながらも、
給料を初めとして福利厚生に関しては雲泥の差が有る訳で、派遣と
社員が同じ分だけ仕事をしているのに、その待遇の違いには嫉妬
に繋がってしまうものがあるのだろう。ただ努力しているもの
を傷つけてまで憂さ晴らしをするというのは本末転倒になる。

それぞれに抱えている問題も違うので一概に言えないが
拓人が自立して、親との因縁から解き放たれる為には、親が出資して
いるアパートからは出る必要が有りそうだし、その反面進行してい
る病状によって離れられない状況というものが描かれていくの
だろう。
今の状況でも恋愛ドラマ・人生ドラマとしては上手く出来ている
にも関わらず、それでいてドラマ性の為にALSという難病をぶつけて
いくのだから酷な話だ。

完全に息子の存在をなき者として扱っている母親の徹底した
姿は有る意味凄すぎる。そしてそんな弟の姿を見ると
金や地位があるからと言っても決して幸せな人生を送っていない
こともよく伝わってくる。野村周平さんというと、常にこの手の
冷めた役柄をしていることが多いのだけど、弟には弟の言い分は
有りそうだし、やはり一番の元凶は親であり環境なのか。
拓人が早々に医者を脱落したことで、期待の全ては弟に向けられて
いる訳で、弟自身はどんなに嫌みな態度を取っても被害者的視線という
ものは存在している。

恋愛の描写は上手く成立していて、成就していく過程が丁寧に
描かれている。そしてそれを壊そうとしている様々な影の部分が
色んなところにトラップとして存在している為に、常に気が張って
しまうドラマだと思う。



澤田拓人 …… 三浦春馬 (22歳、就職活動中の大学4年生・ALS・宮前家具)
本郷恵 …… 多部未華子 (22歳、拓人の同級生)
水島守 …… 風間俊介 (22歳、拓人の同級生)
向井繁之 …… 斎藤工 (24歳、拓人の2年先輩、大学院、怪しい)
村山陽菜 …… 山本美月 (恵の友人、就職は諦めた!、ヒナって自分で名前を言う子)
澤田陸人 …… 野村周平 (拓人の弟・医大に合格する)
谷本和志 …… 吹越満 (拓人の主治医)
本郷翔子 …… 浅田美代子 (恵の母、彼氏が出来たら連れてきなさい!)
澤田美和子 …… 原田美枝子 (拓人と陸人の母、弟にだけ期待している)
桑島すみれ …… 浜辺美波 (小学5年生)

宮下正樹 …… 近藤公園 (拓人の上司)
恵が働く店の新入社員 …… 鈴木勝吾
堅めのベッドを購入 …… 笠木泉
松島博貴 …… 金時むすこ
辻沢英子 …… 友咲まどか

平田裕一カ、池田サトシ、高橋駿介

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)


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