福家警部補の挨拶
(2014年1月期・フジ・火曜21時枠)

原作 - 大倉崇裕
脚本 - 正岡謙一カ、麻倉圭司
企画 - 水野綾子
編成企画 - 清水一幸
プロデュース - 貸川聡子
音楽 - 横山克
演出 - 佐藤祐市、岩田和行





第1話 奇妙な女刑事×人気脚本家!完璧な犯罪は存在しないのです
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1932年3月、C.Aリンドバーグの息子が誘拐され、10週間に渡り
身代金の交渉が行われたが、殺害され発見される。B.R.ハウプ
トマンを逮捕。彼には事件当日のアリバイが存在したが、裁判
直前にその証拠が紛失し死刑になる。当時リンドバーグ本人の
狂言誘拐ではないかという説も浮かんでいた。

水曜AM11:23。
駐車場で人気小説家の藤堂昌也は、俳優志望の男性・三室勘司
を車に乗せる。
水曜PM2:45。
藤堂の別荘に到着。藤堂は別荘で電話の留守電を聞くと秘書の
大城から電話が有ったが、すぐに削除する。そして指紋を拭き
取る。
藤堂は三室に主役・渡嘉敷役を与えると呼び出し、演技指導を
名目にこの別荘へと呼び出したのである。リアリティを求める
という事で藤堂は三室に本物の拳銃を用意される。三室は言わ
れた通り、本物の銃を試し打ちして犯人役が出来ると感じた
という。犯人が被害者宅から身代金監禁事件を起こしていると
いう役柄だった。その台詞を藤堂は三室に読ませる。そして
藤堂自身をロープで縛ったり、何度も繰り返し練習する中で、
藤堂はその台詞回しを録音していた。
するとタイミングを見計らい、電話機を使って藤堂の事務所に
電話させる。それは本物の電話を藤堂の事務所の留守録に吹き
込ませると本物の誘拐事件だと工作する。
藤堂は飲料水の中に精神安定剤を混入させ三室に飲ませる。

水曜PM23:56。
藤堂は辻骨董堂へと足を運ぶ。
店主の辻伸彦は、藤堂にあるものを高値で売ろうとしていた。
辻は酒を飲んでおり藤堂にも酒を勧める。藤堂昌也の原点で
ある1992年に新人賞を取った小説"青い龍"は、曽根誠の小説
"夜明けの虎"だったのである。藤堂は辻を鈍器で殴って殺害
すると、灯油を室内にまいて遺体共々店舗を焼失させるのだ
った。

木曜AM7:03。
留守録に入っていた録音データを聞いた藤堂の秘書の大城は
警察に連絡して誘拐事件が発生した事を告げる。
留守録の声には聞き覚えがあるという。
捜査一課の石松や二岡は事件の対応に乗り出し、すぐに電話
が山梨からだと告げる。大城は声の持ち主は恐らく、藤堂の事
をストーカーしていた三室のものだろうと語る。

木曜AM7:12。
鑑識は辻骨董堂の火災を調べていた。灯油をまいた形跡がある
ことから放火事件だろうという。

木曜AM7;41。
物置小屋で寝らされていた三室は藤堂に起こされると最後の
仕上げをさせられる。ラストシーンは君自身が死ぬことで
完成されるものだとして、藤堂は三室に銃を向けていく。
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    山梨の別荘で人気小説家の藤堂昌也が誘拐される事件が発生する。
しかし藤堂は自分が小説家である事を利用して、上手いこと
誘拐事件をアリバイに利用して、自分のことを脅している辻骨頭堂
の主人の辻伸彦の殺害を計画し、更には自分の事をストーカー
していた三室勘司も犯人に仕立てて殺害を考える。果たして
その計画に警察は対処出来るのか。

海外ドラマ「刑事コロンボ」の作りを意識しているとの事だけど
見た目の造形自体はコロンボ設定なのだけど、福家が容疑者に
着眼点を持ち、追求する流れは、相棒の右京さんの行動を
踏襲している感じ。

個人的には福家に振り回される鑑識と刑事との絡みがまるで
でこぼこしすぎてフィットしておらず、もう少し鑑識には、
味のある人物を据えても良かったのかも。
遺留捜査に於ける上川隆也さんと糸村&村木のコンビ、
都市伝説の女の月子と勝浦くんのようなやりとりがドラマに
於ける退屈な場面に於いても上手く間を持たせるやりとりで
盛り上げているからね。

どうしても事件の解明が説明っぽくなりがちで、流れの矛盾を
指摘していく流れは、重箱の隅を突いているようにしか見えず、
人の証言など多少の曖昧さの誤差というものを想定して描くべきだ。

このドラマではやりとりに於ける言葉自体が、稲垣吾郎さん演じた
TAKE FIVEの岩月刑事のように、色んな意味でキッチリしすぎて
いるところが有って、回りから見ればどう見えるのかという事実を
無視し過ぎているところも有る。

事件に於ける着眼点は色んなところに存在していて、小さな矛盾点
の断片をつなぎ合わせていくというのは面白く出来ていたのだが、
細かい矛盾点が多く、事件当日に藤堂が目撃したという骨董の
存在だったり、袖が長いことをきっかけに被害者が投降して手を
挙げていたのではないかとする流れは、正直それだけで事件に
於ける殺人の証明にはなっていない感じがして、幾らでも説明と
してはごまかせる感じがする。

この調子でいくと、「遺留捜査」に於ける糸村以上に、福家は
相当煙たがられそうだ。



福家 …… 檀れい (警部補、42歳。警視庁捜査一課強行犯第十三係主任)
石松和夫 …… 稲垣吾郎 (警部、43歳。警視庁捜査一課強行犯第十三係係長)
二岡友成 …… 柄本時生 (鑑識係、26歳。警視庁鑑識課鑑識係(巡査))
田所勉 …… 中本賢 (警部補)
村上純一 …… 斉藤佑介 (二岡の同僚)

小川ガオ、小平一成、萩原宏樹、伊藤まんごろう、河野マサユキ
宇賀神亮介

藤堂昌也 …… 反町隆史 (人気脚本家)
三室勘司 …… 小林且弥 (俳優志望、27歳フリーター)
大城加奈子 …… 水崎綾女 (事務員)
辻伸彦 …… 有薗芳記 (骨董商)

唐沢民賢、島ひろ子、松原正隆、岡雅史、平家秀樹、伊藤慶徳
阿久津尚子

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)


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