緊急取調室
(2014年1月期・テレ朝・木曜21時枠)

脚本 - 井上由美子
音楽 - 林ゆうき
ゼネラルプロデューサー - 黒田徹也
プロデューサー - 三輪祐見子、浦井孝行、櫻井美恵子
演出 - 常廣丈太、本橋圭太
主題歌:『Door』JUJU





第1話 人質1300万人…42時間以内に丸裸にするのは“名前のない男”
*--------------------------------------------------------
バス立て籠もり事件が発生し、SITの交渉班・主任の真壁有希子は
人質をとって立て籠もる犯人の佐々木に対して呼びかける。
私だって幸せじゃない。45歳の誕生日に祝ってくれる夫も友達
もいない。こうして2時間も電話で会話し続けている事を告げ
こんなに長く誰かと会話したのは久しぶりだという。しかし
佐々木は別れた妻・ヒトミを連れてこいと要求し、話を聞こう
ともしなかった。そろそろ人質も限界だろうとし、真壁は自分が
人質になる事を語る。捜査一課長の相馬一成は真壁の判断に
取りあえずは任せようとする。
佐々木の元に近寄る真壁。
「例え別れたけど、女性は別れた旦那にしっかりして欲しいと
思っている」「今のあなたに奥さんが会いたいと思うか?」と
し、気持ちを宥めた後、今度は反転して「貴方が今恐いことは
分かるが、人殺しになったらもっと恐いことになる」として
猟銃を置いて投降するか、自分が人質になるので解放する様
要求する。佐々木は諦めて投降しようとするが、突然パニックを
起こした女子高生がバスから飛び出してきたことで事態は急転し、
佐々木は銃を構えて再び臨戦態勢に入ろうとする。危険だと判断
した相馬はSITの狙撃隊に指示して佐々木を撃ち殺させる。
真壁は人を殺さず救出出来た事を告げ、その判断が性急なもの
だったとして嘆く。

一方弦巻交番では、少女の竹内理絵が突然交番に居た二人の
巡査に対して贈り物だとしてクッキー缶を手渡す。本来受け取って
はいけないものだが少女の好意を無にするのもいけないと考えた
田上利一はそれを受け取る。篠田孝光はありがたく中身を開ける
と田上は異変を感じ、すぐに理絵と共に地面に伏せる。すると
爆弾は爆発する。

警視庁・刑事部部長の郷原政直は、相馬からこれ以上真壁をSIT
に置いておくのは危険だとして、一か八かの交渉術を行う彼女
を現場から外す事を指摘されていた。真壁は私にとって犯人を
捕まえることは生き甲斐であり趣味でもあるとして、絶対に
刑事を辞めるつもりはないという。すると郷原は真壁に異動を
命じる。今度新しく設置した緊急事案取調対応班だとし、梶山
勝利管理官の下で働いてもらうという。同期の梶山の下に入る
なんて屈辱的だったが、女性の被疑者の取り調べには女性捜査官
が必要だとして要求されていた事を受けて、真壁が適任だとされ
たのである。重要案件の被疑者だけを担当する部署ということで、
仕方なく命令に従うことなる。

緊急事案取調対応班には梶山以外に、菱本進、中田善次郎、小石
川春夫など自分よりも年配の捜査官たちばかりが揃っていた。
いきなり現場では、二人の刑事が一人の被疑者に取引を持ちかけ
たり証言を強要している姿を見て驚く。しかし実際には取り調べ
室にいた三人は教本ビデオを撮影していたもので、今のは悪い例
として取り上げたものだという。三人から自己紹介を受けるが
真壁はベテランの刑事たちから手厳しいことを言われイラっと
くることになる。しかしその態度もまたここでは容易に被疑者
との取り調べに於いてつけ込まれるだけだと言われ、自制した
姿を見せる。
+--------------------------------------------------------
    海外ドラマ「クローザー的に取り調べ室がメインの内容だけど、
初回は人間関係に於ける機微なやりとりも面白く出来ていたし、
緊迫感の中にも紅一点の真壁とベテラン俳優たちとの掛け合い
はバランスよく描かれ、心理を突くところで動いていた感じが
するので面白く見ることが出来た。

基本的に取り調べに於ける心理的駆け引きがメインとなるのだろ
うけど、それだけではなかなか成立させるのは難しいと思う
ので捜査一課の現場捜査官との連携がどれ程上手く機能していく
のかにもかかっているのかも。
屋内での代わり映えのしない絵の中で、どれだけ会話だけで
魅力することが出来るのか。

高嶋政伸さんがまたもこんな奇異な役割りなのかという感じが
して食傷感も出るかと思ったけど、やりとりを始めていくウチに
捜査官と被疑者とのバランスが巧みであることに気が付く。
被疑者だけを際立たせるような演出ではなく、あくまで人と向き
合う現場という所をバランス良く描いた感じで悪くなかった。
こういうやりとりのクオリティを何処まで出していけるのか。

また捜査官はあくまで真壁がメインなのだろうけど、ベテラン
俳優が揃っているだけ有って、どの人物も主張すべきところと
身を引くところのあうんの呼吸が初対面でも成立していて、流石に
普通の取り調べ室ではなく"キントリ"だとする特殊性も感じる
ところだった。

天海祐希さんといえば班内でもリーダー的役割を果たす年齢に
達しているのだけど、回りが高齢者ばかりなので、新人と化して
いるところが有る意味斬新かも。そして最後にクローズするのも
真壁であるという所も、「クローザー」のブレンダっぽくて
憎めないところが有るかも。

それにしても確かに冤罪被害に遭った寺尾光一はかわいそうだった
な。そしてそれに対応する刑事たちの憎たらしさがまた何とも
言えない後味を残した感じ。刑事と政治家は謝らないという印象
だけど、相手に対して憤りを感じつつも謝罪するべきところは
謝罪するというところがある意味救われる感じにさせてくれる
ドラマだ。あの涙は本物だったのか。その辺の曖昧さの余韻もまた
憎めない演出だと思う。



緊急事案取調対応班
真壁有希子 …… 天海祐希 (45歳、刑事部捜査一課、"キントリ")
梶山勝利 …… 田中哲司 (46歳、管理官)
菱本進 …… でんでん (56歳、捜査官)
中田善次郎 …… 大杉漣 (57歳、捜査官)
小石川春夫 …… 小日向文世 (55歳、捜査官)

渡辺鉄次 …… 速水もこみち (30歳、殺人捜査第一係)
監物大二郎 …… 鈴木浩介 (41歳、殺人捜査第一係・係長)
相馬一成 …… 篠井英介 (52歳、警視庁刑事部捜査一課・課長)
郷原政直 …… 草刈正雄 (54歳、警視庁刑事部・部長)

真壁 …… 眞島秀和 (有希子の夫、死別)
真壁 奈央 …… 杉咲花 (16歳、有希子の娘)
真壁 則行 …… 秋間将太 (7歳、有希子の娘)
かやの …… 中村静香 (23歳、居酒屋「しんじ」)
しんじ …… 生島勇輝 (28歳、居酒屋「しんじ」)
 …… RIKIYA
松本 …… 桜井聖
 …… 佐藤裕


寺尾光一 …… 高嶋政伸 (冤罪被害者・元城東大教授)
藤代保 …… 遠山俊也 (人権派弁護士、冤罪事件を取り上げる)
佐々木 …… 佐藤祐基 (バス人質立てこもり犯)
篠田孝光 …… 野村修一 (弦巻交番・巡査)
竹内理絵 …… 舞優 (爆弾を弦巻交番に届ける少女・小学生)
田上利一 …… 小川あつし (弦巻交番・巡査部長)

森下まひろ、
水野直、檜尾健太、佐々木省三、里美まや、八神徳幸、勝倉けい子
相馬毬花、佐藤まんごろう、星野博、平瀬美紀、酒井亮和
松室信一、池田美穂子

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)


inserted by FC2 system