緊急取調室
(2014年1月期・テレ朝・木曜21時枠)

脚本 - 井上由美子
音楽 - 林ゆうき
ゼネラルプロデューサー - 黒田徹也
プロデューサー - 三輪祐見子、浦井孝行、櫻井美恵子
演出 - 常廣丈太、本橋圭太
主題歌:『Door』JUJU





第4話 “挑発する男”と“忠誠を誓う男”鉄壁のアリバイ
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民友党議員・三木本は十和田トンネル工事の入札に於いて、
建設局から不正に得た入札価格を織松建設に漏らしていた
見返りに5億円の巨大献金があったとして、捜査二課の刑事たち
は内偵を進め、翌日には任意での事情聴取に応じることになって
いた。三木本は証拠の隠蔽を図り、帳簿の入ったUSBデータを
第一秘書の菅沼俊樹に手渡す。そして父が議員時代だった頃
から秘書をしてくれたそんな菅沼に父親が愛用していたオール
ドグラスをプレゼントする。菅沼にとって毎晩洋酒を飲んで
眠ることが何よりも楽しみだという事を知っていたのである。
捜査二課の横村斑は三木本邸にいくと、史郎を連れて行く。
妻の唯はただ様子を見守るしかなかった。
史郎が警察庁の局長の関係が有ることから、上からの捜査妨害
も考えられる中、自供をどうしても必要だった。郷原自らが
キントリに対して地検の特捜部が取り調べをするまでの間に
なんとかして自供を引き出して欲しいと告げる。一課である
キントリには難しい案件だったが、過去二課に所属していた
小石川が主導で取り調べを行っていく。
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収賄容疑で現職の議員の三木本が取り調べの為に警視庁に
任意同行される。警察庁局長との繋がりがある為に、その影響下
にあるものの捜査は難しい為に、捜査一課のキントリ
に事情聴取の案件が任される。二課案件の専門的な事件故に
一課では難しいのではないかとされるが、小石川は元々二課の
捜査官だったとして、彼が主導で事件の真相へと導いていく。
果たして自供を引き出すことは出来るのか。

人間ってどうすると話したくないことを他人に話させる事が出来る
のだろうかと考えさせられる案件だった。政治家故にウソが上手
だろうし、どんなに証拠を突きつけても、トカゲの尻尾切りの如く
秘書がしたことだとされれば、なかなか自白をすることなど
出来ずに捜査も打ち切りになる。その後に国民が審判の手を下すに
しても、それでも有罪に導くことは出来ない可能性は高い。

いくつかの心理的描写は確かに興味深いやりとりとして描かれて
いた。突然不自然な行動を取る背景には必ず人間にとって、
後ろめたい思いが有るのだろう。
留置場に自ら入るとした流れに於いても、明朝に口数多く
捜査員たちに話しかけるところなど、本人は意識していなくても
いつもとは違う朝を迎えていることは明らかだった。

ドラマとしては、菅沼の存在が三木本家にとってどんな人物だ
ったのかということ。

今回は男性のプライドがテーマにおかれて、冒頭から有希子の
息子が、小さいながらも、父親の死を知らされていないことに
憤りを感じてすねていたり、弁当の件でも姉との関係で言い争う
姿が有るところなど、今回のテーマ性を浮かび上がらせる刷り込み
が行われている。

三木本の存在が秘書という存在を超えて、最早史郎以上に
有権者からの指示を得ているという辺りに史郎の嫉妬心が有り、
妻との愛情の件は完全ではないがミスリードの流れとして上手く
利用されている。父親の影から逃れられない二世議員という形は
よく見られるけど、秘書の存在に振り回されるところはなんとも
言えないところだった。

青酸カリのビンが何処に有るのか。
どの時点でクスリが盛られているのか。
遺書の文章での矛盾点など、ドラマではありがちなパソコンでの
遺書は証拠にはなりづらいということを指摘しつつも、文脈の
違いから本人が書いた部分を特定していく流れは面白く出来ていた。

本当のことを全て明かさずに相手が外の情報を得られないとする
不安な心理状況を巧みに利用した格好だった。
人がどんな時不安に感じるのかを上手く利用しており、どれだけ
理論武装している議員でも、根底にある心理的・精神的言動には
嘘がつけないものが有るのだろうね。

少しずつ有希子もキントリに馴染んできたし、もう少しオヤジたち
の憎たらしさが出てくるとドラマは面白いと思う。
この辺は海外ドラマ「クローザーの中に十分ヒントが隠されて
いると思うぞ。


緊急事案取調対応班
真壁有希子 …… 天海祐希 (45歳、刑事部捜査一課、"キントリ")
梶山勝利 …… 田中哲司 (46歳、管理官)
菱本進 …… でんでん (56歳、捜査官)
中田善次郎 …… 大杉漣 (57歳、捜査官)
小石川春夫 …… 小日向文世 (55歳、捜査官)

渡辺鉄次 …… 速水もこみち (30歳、殺人捜査第一係)
監物大二郎 …… 鈴木浩介 (41歳、殺人捜査第一係・係長)
相馬一成 …… 篠井英介 (52歳、警視庁刑事部捜査一課・課長)
郷原政直 …… 草刈正雄 (54歳、警視庁刑事部・部長)

真壁 …… 眞島秀和 (有希子の夫、他界)
真壁 奈央 …… 杉咲花 (16歳、有希子の娘)
真壁 則行 …… 秋間将太 (7歳、有希子の娘)
かやの …… 中村静香 (23歳、居酒屋「しんじ」)
しんじ …… 生島勇輝 (28歳、居酒屋「しんじ」)
……RIKIYA
松本 …… 桜井聖
……佐藤裕

三木本史郎 …… 神保悟志 (45歳、民友党・衆院議員)
菅沼俊樹 …… 泉谷しげる (62歳、三木本の第一秘書)
三木本唯 …… 田丸麻紀 (妻)

中野剛、山野史人、土屋美穂子、井原幹雄、井上祐子(アナ)
大谷典之


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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