Nのために
(2014年10月期・TBS・金曜22時枠)

原作 - 湊かなえ『Nのために』
脚本 - 奥寺佐渡子
演出 - 塚原あゆ子、山本剛義
主題歌 - 家入レオ「Silly」
プロデュース - 新井順子

http://www.tbs.co.jp/Nnotameni/





第1話 セレブ夫婦殺人事件…15年前に隠された秘密
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2004年12月24日。
希美は、「その人の為ならば自分を犠牲にしても構わない、
その人の為ならばどんな嘘でもつける、その人の為ならば
何でも出来る。人殺しでも・・・。あの時は大切な人のこと
だけを考えた。一番傷つかない方法を考えた。後悔なんかは
していない。どんなことだってやる。怒ったことの重大さを
私は受け入れる。」

マスコミはスカイローズガーデンの48階の部屋で、野口貴弘
(42歳)会社員とその妻・奈央子(35歳)が血を流しているのが
発見され病院に搬送されるが間もなく死亡した。
容疑者は西崎真人(25歳)。奈央子とは半年前から交際していて
旦那が妻の浮気に気がついて刃物で刺し殺し、それを知った
西崎が旦那を殴り殺したという事件だった。

10年後、高野はどうして終わったような言い方が出来るのか
とし、私は一日だって忘れたことはないとし、決して諦めない
と誓う。野口の殺害現場には、西崎以外にも希美、慎司、
望の3人が居合わせていた。真人は事件直後に弁護士に対して
「全てはNのために」と語っていたという。
4人には古い繋がりが有った。事件よりも更に昔・15年前の
夏、瀬戸内海に浮かぶ島で島の住民を騒がす出来事が有った。
それが全ての発端だった。

1999年。
青景島駐在所。高野は妻の夏恵に見回りに行ってくると伝える。

島では夏祭りが開催され賑やかだった。
母・早苗は娘の希美に対して、父さんが待っていることを告げ
る中、希美は今年も誰からも誘われなかったのかと問う母。
女性には誘われたのだという。夏祭りは母さんが父さんに
プロポーズされた場所だとするが、希美は何度も聞いたとして
告げる。
一方島の料亭"さざなみ"も忙しくしていた。
女将の瑞穂は客の対応、料理人で主人の周平は息子の慎司に
店の手伝いを求めるが、慎司も山下や望月に連れて行かれて
しまう。この島で好きな女の子の名前を叫びながら海に飛び
込むという伝統が有った。仕方なく慎司もそれを行う。
そんな光景を希美は友達と見ていた。

今日は父さんが出張から帰ってくるとして、母・早苗は長女
の希美、長男で弟の洋平にそれを告げる。二人は学校に行こう
としていたが、突然父が帰宅したかと思うと愛人の由妃を
連れて家に来る。突然家財道具の一切を外に出すと、父は
これからは由妃と住むとして、妻・早苗と二人の子供を
追い出すのだった。
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2014年殺人を犯したとする西崎真人が出所する。
不倫していた野口奈央子のことに憤った夫の貴弘が妻を殺害し
それを見た西崎が夫を殴り殺したという事件だったが、
殺害当時の現場には、彼ら以外に望美、慎司、安藤の三人がその
部屋に居合わせていたことが分かる。弁護士には事件発生直後に
「全てはNの為に・・」と語っていたことが気に掛かるが、
西崎の自供によって有罪判決へと導かれた事件だった。
西崎の元には99年当時駐在での警察官をしていた高野が尋ねて
事情を聞いていく。

不幸な幼少期を過ごしてその後の世界に於いても男女が犯罪を
繰り返していくという描写は、東野圭吾さんの「白夜行」そのもの。
1999年当時の青春時代の映像と、2004年の事件と2014年現在の
現実の映像が交互に折り込まれて、初回では事件の発端として
起きそうな1999年の映像を中心として描かれた。

隣・近所の家庭の事情に触れないとする辺りの描写は、「夜行観
覧車」に通じるものがあるけど、雰囲気的には金曜22時っぽい
暗さと共に象徴的な時代である青春時代を色鮮やかな描写として
描くということが上手く描かれている。

当たり前にあると思っていた家族の形。
人は突然幸せを奪われたとしたらどうなるのか。
家族の中でも自分のエゴだけを突出した形で表し、他人の気持ち
などお構いなしとばかりの行動を取れば、周りで見守るものはどう
感じ、どう行動を起こすのか。
人間には理性や自制心があるにしても、悪人たちの酷さと、
人間の尊厳を踏みにじるような態度には、まさに万死に値しそうな
もので嫌な状態である。

杉下希美と成瀬慎司にはまるで接点がないように思えたけど、
終盤に来て、形は違えど、自営業・家庭の崩壊によって母親が
精神的に参っていきそうな状況は似ている感じがするし、
苦しさの中でも青春時代の心の依り所を二人の関係を通して
象徴的に描いているので、この時の光景が二人の原点になっている
ようで、なかなか興味深く描かれている。

映像が樹麗なので、1999年当時の事情だけを描いても正直成立
しそうな気がする。

Nのために・・・なんて意味ありげだけど、みんな何処かしら
Nがついているので取りあえず、そのNが特定の人を差しているのか
どうかが気になるところだね。


杉下 希美 …… 榮倉奈々 (長女)
成瀬 慎司 …… 窪田正孝 (旅館さざなみの息子)
安藤 望 …… 賀来賢人 (野バラ荘)
西崎 真人 …… 小出恵介 (野バラ荘)
高野 夏恵 …… 原日出子 (茂の妻)
宮本 由妃 …… 柴本幸 (晋の愛人)
成瀬 周平 …… モロ師岡 (旅館さざなみの主、造船業衰退で・・)
成瀬 瑞穂 …… 美保純 (旅館さざなみの女将)
杉下 洋介 …… 葉山奨之 (弟)
杉下 晋 …… 光石研 (婿養子、建設会社を立て直す。60歳を前に・・)
杉下 早苗 …… 山本未來 (晋の妻、社長夫人だったが・・)
野原 兼文 …… 織本順吉 (野バラ荘)
野口 貴弘 …… 徳井義実 (夫、加害者・被害者)
野口 奈央子 …… 小西真奈美 (被害者、西崎と不倫)
高野 茂 …… 三浦友和 (元警察官、99年当時・青景島駐在所)

掛田誠、中川浩三、佐渡山順久、杉浦大介、梨木まい、大恵彩乃
山形匠、米重晃希、浜口悟、八幡朋昭、荻野幸子、山林徹
黒田浩史、升田尚宏(アナ)、江藤愛(アナ)



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