おやじの背中
(2014年7月期・TBS・日21時枠)

脚本 - 岡田惠和
演出 - 山室大輔
脚本スタッフ - 中村千明
プロデュース - 八木康夫
音楽 - 兼松衆





第1話 圭さんと瞳子さん
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国分寺、瞳子は父・圭太郎の為に朝食を作ると共に弁当を
作る。カレーの煮付け。そして圭太郎はコーヒーを淹れる為
に近くに水をくみに行く。
カレーは近頃骨があるので人気がない・・・上手いものほど
面倒臭いものだよと圭太郎は語る。
今日は週に一度の外食の日だった。二人は店を決めるとそこ
で食事をしようと語る。
朝の報道番組ではパニック障害のことが放送されている。
それを耳にした瞳子も圭太郎もちょっぴり顔をこわばらせた。

瞳子の職場はかかし書房。一緒に働くのは塩田、奥住。
一方ひぐち照明という職場で経営するのは圭太郎だった。
二人の職場は目と鼻の先。
かかし書房では、奥住が離婚したということが話題になって
おり、その為に節約しているとの話になる。
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瞳子の成長期に母親を交通事故で失って以降、瞳子はパニック
障害に悩まされる人生。圭太郎はそんな娘の身を案じて
なんとか安心させるような人生を送らせようとするが・・・

自分もパニック障害持ちなので、このドラマを見ていると
まるで自分と似たような境遇のドラマ故にリアルを感じる反面、
所詮はドラマという感じの内容に思える部分が混在する。

ただ親子の依存をパニック障害と年齢という側面から捉えた
ところが興味深く描かれており、パニック障害者にとっては、
ある意味見たくない光景の一つとなっている。
バランスよく依存していた関係から片方が巣立つ事への寂しさ
だったり、旅立ちに必要な過程というのが、
その名の通り障害として存在していたが為に、35歳という年齢
にまで繰り越されてしまった格好で、そういう意味では不幸な
ものが有る。
ただ今時の事情から考えるとパニック障害を患っていなくても
35歳まで依存するという社会の風潮は有りそうだけどね。

基本的に依存関係は、親子の関係では成り立たず、親が先に亡く
なるものという前提があるので、下手をすれば追い込まれて
しまい負のスパイラルに入る事になる。

瞳子の方がより強く依存していた流れが最後になって、父親の方
こそ依存にあったという流れは面白いと思うし、当初は明らかに
親子の関係だということを意図して隠していたところに色々と
作者の意図が詰まっていそうだ。

淡々とした流れの中にも日常の僅かな違いに一喜一憂することの
喜怒哀楽がきっちりとしていて、パニック障害にかかるほどの
感受性豊かな性格故にその機微さ加減にも敏感に感じられたのかも。

奥住の気持ち悪さが群を抜いていた。
必死さは分かるけど、この人だと絶対に瞳子のことを幸せには
出来ないことが分かる。重原というキャラクターとの出会いは
唐突過ぎたけど、1時間の流れではある程度仕方が無い。

パニック障害は行動範囲が限られてくる病気なので、小さな
世界の中で如何に人間関係をつなげていくのかは必要になって
くる。重原というキャラクターはある意味では
「飛んで火に入る夏の虫」っぽいところが有り、瞳子の小さな世界
の中に上手く入り込んできたなという感じだった。


樋口 圭太郎 …… 田村正和 (瞳子の父。ひぐち照明経営者)
樋口 瞳子 …… 松たか子 (圭太郎の娘。かかし書房編集者)
少女期:内田愛 / 中学時代:田中明
奥住 …… バカリズム (かかし書房編集者)
川崎 悦子 …… キムラ緑子 (看護師)
茂原 吾一 …… 角野卓造 (ひぐち照明従業員)
重原 一臣 …… 渡辺大 (居酒屋で瞳子と出会う)
塩田 …… 鈴之助 (編集者)
樋口 紫子 …… 水谷理砂 (圭太郎の妻、事故)

夏川加奈子、鯉沼トキ、岩本淳、矢崎まなぶ、洲矢新吾、松永ゆり子
高野貴裕(アナ)、江藤愛(アナ)



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