おやじの背中
(2014年7月期・TBS・日21時枠)

脚本 - 坂元裕二
演出 - 鶴橋康夫
脚本スタッフ - 中村千明
プロデュース - 八木康夫
音楽 - 兼松衆





第2話 ウエディング・マッチ
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草輔は娘・誠のデートに同行する。
オッさんはどうして私のデートばかりするのかと娘は反抗する
が、リングに上がれるのは選ばれたものだけなんだぞと言われ
る。デートに来た雄介は二人の親子に圧倒され引き返すことに
なる。

2012年・春。
誠はボクシングジムへとやってくると、一人でトレーニングを
行う。溝口がジムにやってくる中、誠は父親が何処に居るのか
知らないかと問う。溝口は嘘を付くことが出来ず、思わず
亜利沙と一緒だろう事を告げる。
草輔は亜利沙と共に一緒に過ごしていた。誠が見ていることに
気が付く亜利沙。誠は父親に対して昨日から帰宅していない事
を非難する。私は毎日コンニャクを食べて生活しているのに、
一体何を食べているのかと父を責める。選手と苦楽を共にする
のがトレーナーなのではないかという。
父はあの子と結婚したいというが、私と年が変わらない女性と
結婚するなんて脱法ラブだと責める。お前も明日が五輪の選考
会だろうとし、トレーニングをして休むよう告げるが、誠は
私だって骨付きカルビなどを食べたい時も有るのだとし、
カニパンを食べ始める。父は急いでそれを止めようとする。
そんなのを食べたら五輪にはいけないですよと問う。
問題にしているのは、俺の結婚の話なのか、それとも食事の
ことなのかと問う。
私はいつも悲しいときは「今立ち止まったら、悲しみに溺れて
しまう・・・進まなきゃ」というナウシカの台詞を思い出して
頑張っている事を語る。
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二人三脚で父親と娘はボクシングでの五輪出場を目指して
トレーニングを続けていた。30歳を前にした五輪の選考会
に於いて、負けて出場が出来ないことを知って、ついに娘の
誠はボクシングの夢を諦める。元々母親とも約束していたこと
で、青木家ではボクシングに取り付かれるあまり普通の人生・
普通の家族とは違う人生を歩んできていた。ボクシングという
執着を取り外すことで普通の人生を送れると思われるが・・

夢を諦めることの難しさというのを改めて感じさせるものが
有る。これで生活出来れば別に誰も文句は言わないと思うし、
五輪に出場した先にあるものが、必ずしも求めるものとは違う
現実が待っているかも知れないし、人生はまさに五里霧中で
有る。
誠が語る様に、女性のボクシングには殆ど世間的にも関心が
ない状況である。

何処かでボクシングを辞めることが出来ていたならば、
もっと違う人生を歩むことは出来たのだろう。
誠としてはこれを機会に諦めることで新しい人生を歩もうと
考えていたが、それでもまだ固執しようとする父親の姿がある。

結婚式の前日になって、二人の別れ、そしてボクシングの別れ
としてはこれ以上にないシチュエーションかに思われたけど、
結局のところ、一年のブランクを経てボクシングへと戻ろうと
考える。
「バカなのか?」。
「貴方は私がボクシングを諦めるのを待っていたのではないか。」

父親だけが固執していたとおもっていたが体を動かすウチに、
誠もまたその関係に心地良さを感じてしまう。
父親も本人も母親も誰一人として幸せにはなれない状況である
にも関わらず、それでも固執するボクシングという競技や
五輪という目標自身にそれを上回るほどの魅力が存在するのか。

諦めた時点で人生は終わるというものなのだろうけど、何処か
で人は人生の方向を転嫁していく必要はあるのではないかな。
昔からの形に拘っていくのも一つの人生ではあるとは思うが、
それを選ぶ人にとっては相当な犠牲は覚悟しなければならないの
かも知れない。

それにしても役所広司さんと山本美月さんのカップルは流石に
不自然過ぎて泣ける。まぁ役所広司さんのネームバリューに
便乗した格好なのだろうが・・


青木草輔 …… 役所広司 (元ボクサー、"パンタロン青木")
青木誠 …… 満島ひかり (娘、元々は優花という名)
高城亜利沙 …… 山本美月 (草輔の恋人)
青木佐知子 …… 浅田美代子 (母親、五輪がダメならば諦めると約束)

小関裕太、蕨野友也、井上肇、岩田丸、鬼頭真也、藤本洋子
矢崎由紗



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