おやじの背中
(2014年7月期・TBS・日21時枠)

脚本 - 木皿泉
演出 - 北川雅一
ナレーション - 徳光和夫
脚本スタッフ - 中村千明
プロデュース - 八木康夫
音楽 - 兼松衆





第5話 ドブコ
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調布中央警察署に勤務する丸井三冬と佐々木勝はこの日、巡回
中にトラックが違反している事を知って違反キップを切る。
厳つい顔をした男の取り調べに勝はちょっとビビるが
三冬(ドブコ)はまるで平然としていた。ウチの父の方がもっと
怖い顔をしているから・・という。勝と三冬は小学からの
幼なじみだった。今度そんな勝が結婚する為に、彼女は
なんの結婚祝いが良いかを尋ねる。何でも言っていいよと
言われると勝は言いづらそうに、式には来ないで欲しいと語る。
妻の静香は自分たちが仲良くしていてその関係を知っている
ので嫉妬しているであろう事を告げ、最近その件でモメている
のだという。式には出なくても友達だから別に良いという
三冬だが、勝は友達としての付き合いも辞めて欲しいと言われ
ているのだという。

帰宅する三冬は落ち込んでいた。
三冬は母・弓子に対して父の正が悪役ばかりしているから
私が嫌われているのかも知れない事を語る。もしかして失恋
なのか問うとそれを否定する。ケンカでもしたのかと声を
かけると、勝から結婚するから別れたいと言われたのだという。

父は過去ヤクザ映画でドブネズミというチンピラ役を演じた
がその映画が公表でクラスメイト全員から"ドブコ"と呼ばれて
いた。親友のホナミからも私もドブコと呼んで良いかと言われ
私だけが三冬と呼んでいるのだと指摘される。
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三冬は調布中央警察署・交通課に勤務する女性。幼なじみの
勝と共に日夜仕事に励む中、勝が結婚することを知って結婚祝い
について何が欲しいか尋ねる。すると勝はフィアンセは自分と
三冬の関係を知って嫉妬している事を告げ、式には出ないよう
言われた事を告げ、友達関係も終わりにして欲しいと言われた
のだという。

「オヤジの背中」シリーズはどれも暗くなりがちだけど、
今回のドラマは一番エンターテイメント性に溢れていて、若年層
にも見やすい内容だったのではないかという気がする。

斬られ続けてきた男性だが、その度ゾンビのように立ち上がり、
自宅には確実に戻ってくる。
何百・何千と斬られてしなない人物に訪れた、脳梗塞をきっかけ
として、いつかは親も死ぬ存在であり、周りが確実に変わって
来ていることを語っていく。

父親は強面の代わりに、意外と娘に対して遠慮がちなところもある。
いつか風呂に入ることを拒まれる時が来ることを知っていて、
拒絶されることを恐れた彼としては、自分の方から拒絶した方が
楽だと感じて居たようだ。何千と斬られた男が最も斬られたくない
のが娘であり、斬られたくないので斬ったとする父親の初めての
秘密が明らかにされる。

変化を受け入れることは誰もが難しいことだと思うが、必要なこと
であり、三冬もまたこれまでにも実感していたのだけど、見ない振り
して活きてきたのかも知れない。

それでも良い時の思い出のままの関係を続けていたいと考える
彼女にとっては、ブレない人間として一貫した態度を貫いていた。
しかし父親と同様にいつかは自分から斬らねばならない時が来る
と感じた彼女が違った角度から人生を眺める時の様子を、父に
習って空の上の景色を見て癒されるというのも面白い演出だった。

斬られることは誰もが嫌な役目だと思っていたけど、見方によって
は良い事だというところにも繋がって居る。

あまりにタイムリーなネタだけど、カナダのモントリオールで
5万回斬られた男 主演男優賞だとして、斬られ役の名手・福本清三
さんが授賞されたというのも偶然とはいえ凄い引きの強さだな
と思った。


丸井三冬 …… 堀北真希 (調布中央警察署)
丸井正 …… 遠藤憲一 (悪者専門役者)
丸井弓子 …… 薬師丸ひろ子 (妻)
佐々木勝 …… 溝端淳平 (調布中央警察署)
静香 …… 谷村美月 (勝の婚約者)
違反するトラック運転手 …… 赤星昇一郎
少女期の三冬 …… 須田琥珀
少女期のホナミ …… 内田未来
先輩 …… 安藤玉恵 (調布中央警察署)
上司 …… 河野洋一郎 (調布中央警察署)

小柳友、宮崎吐夢、安井順平、関根大学、矢部太郎、阿由葉朱凌
神保龍之介、白土道子、井端珠里、羽鳥名美子、龍輝、勝平ともこ
重村佳伸



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