おやじの背中
(2014年7月期・TBS・日21時枠)

脚本 - 山田太一
演出 - 清弘誠
ナレーション - 徳光和夫
脚本スタッフ - 中村千明
プロデュース - 八木康夫
音楽 - 兼松衆





第7話 よろしくな。息子
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江東区十間のコンビニ。
店内にはレジ係の戸川祐介と、挙動不審の女性・大島桂、そし
て店員の様子を伺っている高村浩司の姿が有った。
桂はガムを買う振りをして店員に対して包丁を差し出し金を
要求する。しかし祐介は落ち着いた対応で強盗することを止め
させ女性に語りかける。女性もまた少し冷静になって強盗など
無理だと分かったという。女性の強盗などみたくはないとして
もうこれからも強盗はしないですよねと問うと警察に通報せず
送り出す。客の一人として来ていた高村浩司は何も出来ず、
警察に知らせることを告げるが、祐介が止めるのだった。
祐介は立ち去ろうとしている桂に3、4千円なら個人的に貸す
ことが出来るが、その程度の金では解決にならないですよね
と告げる。

看護師を止めて介護派遣会社経営している戸川泰子は、派遣
した神崎泉に対して貴方の仕事ぶりを施設長も誉めて
いたと語る。ウチから現在この施設に5人派遣出来ているが、
もっと多くの人をおくることが出来るかもとして、徐々に
泰子の経営する派遣会社が軌道に乗り始めていた。

泰子がお世話になっている施設の事務長の東郷は彼女に遭うと
見合いの件断ったのかと問う。泰子に対して断ることの結論を
少し早くはないかと問う。靴の話ばかりしていた男だったろ
と問うと、それでも良い男だったのではないかとして何が
いけないのかと問う。滅多にないくらいの良いカップルになる
と思っていたとしてどうして駄目だったのかと問う。

高村は後日祐介をラーメン店に呼び出す。
夜中に一度会っただけだが、あの時の君は素晴らしかったと
いう。祐介はあの時の高村もまた僕の気持ちを理解してくれ
たとして感謝を示す。ボクは他人に会うと靴の話ばかりをし
てしまうのだとして、それを止めなければならないことを
知人からも忠告されているのだという。ただものではない
オーラを感じたとして、貴方と一度話をしてみたかったのだと
語る。
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靴職人の高村は東郷の紹介で泰子との見合いをする。
高村は靴の話ばかりをする男性で未婚。泰子はシングルという
事も有って仕事ばかりで頭が回らない女性だった。泰子は
見合い話を断るが、高村はどうしても諦めきれず、泰子の息子
だという祐介が働いているコンビニに彼の様子を見に行くの
だった。そこで強盗事件が発生し、レジ係をしていた祐介が
冷静な対応をしているのを見て興味を持っていく。

見合いした結果、不調に終わるが、男性側の高村は泰子に対する
気持ちは勿論のこと、彼女が育てた息子の祐介にも興味を持ち
接触を図っていく。

とても面白く興味深いものが有った。
運命の出会い・・とまでは感じ無かったけど、息子の魅力を感じる
ことは十二分に感じる事が出来たし、泰子なしでも接触して
見たいとする気持ちは十分に伝わってくる。

癖のある言い回し方とか、そのやりとりは如何にも山田太一さん
っぽいところが有った。

「周りの顔色を見ず自分の判断で口が利けた。気持ちが良いと
気が付いた」という彼。決してそれが悪いことではないし、
自分の生き方を追求するのは悪くないし、如何にもそういう道
が職人にあるということを示唆しているような感じにも思える
けど、そういう靴職人が今時の仕事として成り立つのかどうか
は自分ならば不安かも。

先入観だけで人が物事を評価してしまう側面があるということも
指摘しており、日本人がブランドものだという理由だけで、外国
製品に目を向けて日本製には目を向けようとしないところも
また、人を見る目という流れにも繋がって居ると思う。

今回の流れをみるとどの人の背中を見ているのかテーマと
してき複雑なものを感じる所。
息子が母の背中を見てきたというよりも、息子を見て惚れた
高村が母親の人物像に迫るという感じの方が印象として
感じる所が大きかった。


高村浩司 …… 渡辺謙 (紳士靴の職人)
戸川泰子 …… 余貴美子 (祐介の母。医療・介護派遣会社経営)
戸川祐介 …… 東出昌大 (25歳、泰子の息子)
東郷達郎 …… 笹野高史 (介護老人福祉施設事務長)
大島 桂 …… 柴田理恵 (コンビニ強盗未遂犯)
神崎 泉 …… 田島ゆみか (派遣登録者)
藤沢 由加 …… 平田薫 (祐介の彼女)

大方斐紗子、椎名泰二



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