ペテロの葬列
(2014年7月期・TBS・月曜20時枠)

原作:宮部みゆき
脚本:神山由美子
プロデューサー;鈴木早苗、橘康仁
演出;金子文紀、岡本伸吾、竹村謙太郎、山ア銃司
主題歌:近藤晃央「心情呼吸」

http://www.tbs.co.jp/petero2014/





第1話 宮部みゆき最新ミステリー!“悪”が生まれた瞬間、それは30年
の時を経て日本中を巻き込む巨大犯罪に!謎はドラマ史に残るバスジャッ
クから始まる

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杉村三郎ら夫婦は事件が有った後、新築を売り払い、義理の父
今多嘉親邸の離れで住むことになる。あれから2年が経過・・

菜穂子と三郎は聖ペドロの絵の描かれた美術館を見に行く。
そこで菜穂子のお気に入りのエステティシャン・間野京子と
偶然遭う。

千葉県海風市・シースター房総。
今多コンツェルンの広報室として三郎、手島、園田は、元今多
コンツェルン常務取締役で現在リタイアして地方に住む森信宏
のことを社内報で掲載する為に取材する。
帰り際に信宏から妻・弥生が認知症である事実を聞く。だから
都心から引っ越してきたのだろうと察する。

現在の広報室は、谷垣と加西が辞めて、バイト扱いで以前より
働いている椎名とホストくんと呼ばれる野本敦広が働いていた。
また財務部からの異動で井出正男も働いていたが、彼は森の部下
であり森が辞めた途端に飛ばされたのである。

帰り道広報室の三人は路線バス「しおかぜライン」に乗って
帰宅していた。運転手は柴野和子という女性ドライバー。
乗客には、佐藤一郎、田中雄一郎、迫田とよ子、坂本啓、
前野メイがいた。迫田は母が入って居る民間老人ホームの
クラステ海風に出かけた帰りだった。

そんな中、突然佐藤が運転手の元にいくと、銃を取り出し
柴野に突き立てる。客の一人の田中はどうせモデルガンでしょ
と小馬鹿にすると佐藤はバスの天井に向けて発砲する。
私は本気だという彼はバスジャックを決行し、柴野に対して
藤野化学の駐車場にいくよう命じる。これは金目的のバスジャ
ックではないことを唱えつつ、下手な行動を取れば命の保障は
出来ないと告げる。
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過去杉村家に起きた事件から2年が経過。
相変わらず社内報の作成をする三郎たちは、リタイアした
社員のその後の様子を聞き出すために千葉の静養地へと向かう。
その帰りに不思議なバスジャック犯と出会い、一行は何かを
訴えようとしている男性によって事件に巻き込まれていく。

宮部みゆきさんの杉村シリーズの三部作の一つ。
前回放送した2013年7月期に「誰か Somebody」「名もなき毒」
の二作を放送したので、残りの一作品ということになるのかな。

短い時間の中でもキャラクターに対する興味づけは上手いこと
出来ているし、事件の調査をしたくなるだけの導入の仕方が
上手く施されているので、今後も継続して見たくなる作りでは
有る。
ローカルバスがポイントとなる事件・ドラマといえば、どことなく
オダギリジョーさん主演の「熱海の捜査官」を彷彿とさせる。
「ハンチョウ」シリーズもバスジャックから始まったシーズンが
有ったよなぁ。

この中の一人が亡くなる・・・と比較的早い段階で予告していた
ので、それがどの人物がそれに該当するのか。色んな場面でちょっ
としたトラブルを通して、事件が発生してしまうのではないか
とする緊迫感を巧みに使って引き延ばした様なエピソード構成
だった。

なんといってもドラマでは、視聴者が考え得るあらゆる可能性
を消していく作業がとても上手く、繊細に作られていたことだ。
立て籠もり事件に於いて被害者側のリスクと同時に犯人側のリスク
も提示し、武器を持っていたとしてもそれがその空間を支配する
絶対的なものではないが、それでも最少にして最大の被害を与える
武器というもののインパクトによって、その場の空気や一体感
を演出しているのである。

流石に無言でドラマを進行させる訳にもいかないだろうので
色々と今後に興味を傾けさせるだけの最小限の情報というものを
提示し、後は三郎が食いついていくというところにつなげたのか
も。
賠償金の問題、内通者の存在、そして藤野化学の問題や
人となりの人生を通した問題を通じて、何ら共通性を見出し、
何処で繋がりを見せているのかを想像させる作りで面白かった。

しかしバスジャック事件に於いてそれぞれがキャラクターを出し
過ぎていて、あの空間の雰囲気にはリアリティ感はなかった。
三郎自身がその違和感を口にして、銃だけが現実をつなぎ止める
ようなものというのが正しいものが有ったのかも知れない。

「私にとって大事というよりも世界にとって大事な人」。
いや「世の中の一部の人にとって大事な人たち」
だとされる高東憲子、中藤ふみ江、葛原昭は一体何をしたのか。

虐待とか施設などの問題がクローズアップされていきそうな感じだけ
ど、まだまだ色んな可能性は有りそうだね。
どの流れがどの流れに繋がっていくのか。


杉村三郎 …… 小泉孝太郎 (広報室副編集長兼記者)
間野京子 …… 長谷川京子 (エステティシン)
杉村菜穂子 …… 国仲涼子 (嘉親の娘、三郎の妻、心臓が弱い)

園田瑛子 …… 室井滋 (広報室室長兼編集長)
手島雄一郎 …… ムロツヨシ (広報室編集)
椎名遥 …… 岡本玲 (広報室編集)
井手正男 …… 千葉哲也 (広報室)
野本敦弘 …… 犬飼貴丈 (広報室)

今多嘉親 …… 平幹二朗 (今多コンツェルン会長)
森信宏 …… 柴俊夫 (元今多コンツェルン常務取締役)
橋本真佐彦 …… 高橋一生 (広報部会長秘書室付)
今多小夜子 …… 安蘭けい (社長夫人・菜穂子の義姉)
高野千夏 …… 映美くらら (会長秘書室秘書)
佐々木 …… 桃香 (社長付秘書)
水田大造 …… 本田博太郎 (喫茶「睡蓮」マスター)
杉村桃子 …… 小林星蘭 (娘)
遠山美緒子 …… 佐藤直子 (会長秘書室長兼第一秘書)

佐藤一郎 …… 長塚京三 (バスジャック事件犯人)
田中雄一郎 …… 峰竜太 (バスジャック事件・金属加工業)
迫田とよ子 …… 島かおり (バスジャック事件・老女)
柴野和子 …… 青山倫子 (バスジャック事件・運転手)
坂本啓 …… 細田善彦 (バスジャック事件・大学中退)
前野メイ …… 清水富美加 (バスジャック事件・「クラステ海風」バイト)
山藤 …… 金山一彦 (刑事)
今内 …… 西村元貴 (刑事)
早川多恵 …… 冨士眞奈美 ()

足立 則生 …… 渋川清彦 (新聞配達)
高越 勝巳 …… 水橋研二 (足立が恨んでいる?)
井村 絵里子 …… 入山法子
森 弥生 …… 山口果林 (妻)
加西 新 …… 森崎ウィン (元グループ広報室編集者)
谷垣 太一 …… 山崎大輔 (元グループ広報室編集者)

君沢ユウキ、兎本有紀、城戸光晴、篠川桃音


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