失恋ショコラティエ
(2014年1月期・フジ・月曜21時枠)

原作 - 水城せとな『失恋ショコラティエ』
脚本 - 安達奈緒子
プロデュース - 若松央樹、小原一隆
演出 - 松山博昭
音楽 - Ken Arai
主題歌 - 嵐「Bittersweet」(ジェイ・ストーム)





第6話 俺、失恋することにした
--------------------------------------------------------
えれなは爽太に対して倉科と会えたら告白する事を告げ、
その機会がいよいよやってきた事を告げるが、残念ながら
告白は失敗に終わり、落ち込んでいる様子が彼女からの留守電
の声から伝わってくる。爽太はえれなの元に行こうとするが
薫子はこれから店の祝賀会があるのだとし、自分の店の祝い
なのに、セフレと会いに行こうというのかと激怒する。
爽太が選ぶ女性はいつも尻軽のメス犬だとすると、爽太は薫子
に対して女の悪口をいう女性は大嫌いだと語る。

えれなの家に駆け寄る爽太。
彼女が失意から自殺しているのではないかと心配になる彼は
バスルームを真っ先に探す。やはり自殺していた・・・かと
思いきや中にはいなかった。室内を探すと、クローゼットから
服が挟まっているのを見て、開けてみると、狭い中で一人
涙しているえれなの姿が有った。ちゃんと告白したが振られた
事を告げる。どうしても狭いところに隠れたくなったのだという。
えれなは告白した時の詳細を爽太に語る。すると倉科は既に
7年前に子供までいる妻帯者であることを知ったのだという。
7年以上前に出会っていなければ、まるで相手にもされない
状況であった事を知る。しかしえれなは話が出来たことで、
ようやく彼が実在するようになったのだという。
今までの彼は夢の人であり、ファンタジーの中で生きること
だったが、リアルな倉科が良い人だと分かって良かったのだと
いう。爽太はまだチャンスがあるのではないかとするが、
相手は家庭の有る人だとして、それ以上恋愛を続けることはない
事を語る。しかしえれなはそれを話した後、爽太も夫の居る
紗絵子にアプローチしている事を思い出して、紗絵子の場合
はまだ子供がいないから・・とフォローする。それを聞いた
爽太は、自分は紗絵子に子供がいたら諦めるのだろうかと
問いかけ、寧ろなんで自分は諦めていないのかと語る。
彼女と出会ってから今までずっと妖精だと思っていたが・・
そんな彼女からのメールでバースデーケーキを食べたことを
告げ美味しかったとの報告を受ける。写メにはケーキと共に
紗絵子の顔が半分だけ写っていた。爽太はその時紗絵子が
夫とケンカした末にテーブルの角に額をぶつけて怪我している
事を知らないのだった。
--------------------------------------------------------
爽太はセフレのえれなが告白し、失恋した事を知って、大事な
祝賀会にも行かず、えれなの元に駆けつける。
ちゃんと告白して振られたえりなは涙していたが、意外とサッパリ
とした様子で、相手は家庭のある身であること、そしてファンタ
ジーの中に生きていた彼が身近でリアルなものとなっても、
良い人だったことで、一気に現実の世界に戻れたことを語る。
そんな話を聞いているウチに、爽太はえりなが語ることは、今の
自分に対して示唆するものが多いことを実感する。えれなは、
今の自分があまり落ち込まずにいられるのは、爽太がいるお陰
であると告げたことで、爽太の中では一気に彼女との間に、今まで
以上の結びつきを感じていく。

殆どのシーンに於いて、登場人物が語る台詞の端々に深い意味が
込められていそうな感じのするドラマ。
そういうドラマは、台詞先行型に思えるところも有るのだけど、
それだけやりとりされている台詞の多くに興味深い心理的描写と
共に恋愛・人間関係に於ける真理が現れている部分が有るのだろう
なと思う。

人の内面というのを上手いこと描き出しているところが、この
ドラマの良さだと思う。
人って何かに気づかせてくれるものだと語られるシーンがある
けど、このドラマはまさに何かに気づかせてくれるドラマだ。

誰もが片思いする相手にファンタジーさ、幻想を求めているのだ
ろうけど、それが現実へと展開するのも、また夢の存在として
描き続けるのも、本人の行動次第。現実の世界に於いても
ファンタジーの世界そのままの相手の姿が有るのか。
夢の世界と現実の世界を渡り歩く迷走した主人公らの姿を駆け引き
を通して面白く描いている。

ドラマを見ていると、異性や同性との理想の付き合い方を指南して
いるものがあるし、何よりも恋愛に対する指南の仕方も主人公らの
アクションを通して感じられる。

一つ難を言えば、みんな優等生過ぎるかな。
恋愛に於いてなかなか上手く物事が運ばない所で藻掻いている様
は人間くささを感じる反面、誰もが常識から外れることなく、
冷静に対処しすぎているところが有るのかも。
誰もが心が満たされる部分が無いにも関わらず、変に充足感を
持って生きているように見えるのは、それだけ周りで支えている
人間関係が円滑なものがあるからだろうか。

人間関係に於いてちょっと嫌な雰囲気が流れたとしても、それら
が次の瞬間何事もなかったかのように進んでしまうというのは、
理想的ではあるけど、そんなに人は合理的なものなのかなとは
感じるところ。また収まるべきところに、恋愛対象者となる人物
がいることで、振られる事事態が悲しいことではない感じにも
思える。ただ一人の人物が気持ちに区切りを付けて次の恋愛に
進むとなると、期待が生まれる人が多いことと、それに対して
再び現実を突きつけられる人がいるということで、やっぱり
切なさが描かれているかな。

「俺が半端な付き合いをしているからえれなが悪く見られる」
「時間を戻せたとしても私は何もしない」

台詞一つをとってもそのキャラクターを表す性格が見てとれる
よね。

薫子さんの酒乱ネタも面白かった。毎回そんなにはじけなくても
良いのに(笑)。佐藤隆太さんの使い方も面白く、良い味を出して
いるな。


小動爽太 …… 松本潤 (チョコレート専門店「ショコラ・ヴィ」)
高橋紗絵子 …… 石原さとみ (爽太の高校時代の1つ先輩)
井上薫子 …… 水川あさみ (「ショコラ・ヴィ」のベテランスタッフ)
オリヴィエ・トレルイエ …… 溝端淳平 (「ショコラ・ヴィ」のパティシエ)
加藤えれな …… 水原希子 (ファッションモデル)
小動まつり …… 有村架純 (爽太の妹で大学生)
六道誠之助 …… 佐藤隆太 (チョコレート専門店「RICDOR」)
小動誠 …… 竹中直人 (父、パティスリー「TOKIO」のオーナー)
関谷宏彰 …… 加藤シゲアキ (「RICDOR」の従業員)
吉岡幸彦 …… 眞島秀和 (紗絵子の婚約者、「グルメシーカ」副編集長)

倉科 …… 佐藤祐基 (ミュージシャン)
ユカリン …… 若月佑美 (まつりちゃんの友達役)

小山弘訓、とむ畑中、松本知美


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)


inserted by FC2 system