失恋ショコラティエ
(2014年1月期・フジ・月曜21時枠)

原作 - 水城せとな『失恋ショコラティエ』
脚本 - 安達奈緒子
プロデュース - 若松央樹、小原一隆
演出 - 松山博昭
音楽 - Ken Arai
主題歌 - 嵐「Bittersweet」(ジェイ・ストーム)





第9話 最終章突入!正も誤もない、これが恋だ
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「あの頃はどんな気持ちだったか・・いつか紗絵子とこんな事
が出来たら良いなと思っていたが、夢が現実になることが分か
っていなかった」とし、現実になる訳がないというのが前提
だった。

紗絵子は家を飛び出し爽太の店の二階に住み込んでしまい、
爽太もそこで一緒に生活し始めたのである。
紗絵子はバレンタインデーにもらったチョコがあまりに美味し
かった事を受けて、商品化はしないのかと問うと、手間がかかり
過ぎるので難しい事を語る。紗絵子は商品になって欲しい様な
欲しくない様な気持ちであり、他の誰にも食べられたくない
ような気持ちがしているのだという。爽太はそんな紗絵子に
キスをする。

六道はえれなが付き合おうとしていた男性から連絡がない事
を知り興奮する。しかしえれなは私は彼女でも何でも無かった
事を告げ、彼にとってはその程度の女だったのだと語る。
彼の私に対する価値は彼が決めるものだという。
しかし六道は互いに気が合い、相手との付き合いに無理しない
関係だったのではないかという。えれなはちゃんと付き合って
いたら上手く行っていたのかも知れないが、現実には付き合って
はいなかったのだとし、何も始まっていなかったと語る。
いわゆる友達という関係だったのだと。
チョコは本来疲弊した兵士を元気づける為の薬だった事を告げ、
今のえりなの事もチョコが癒してくれれば良いが・・と語る。
その男にえりなの出演が決まったファッションショー、
Noel Marienコレクションの招待状を送りつけてやったらどうか
と告げる。

関谷はその会話を聞いていて薫子からのメールを思い出す。
人妻は振り切ってえれなと付き合うハズだったのではないのか。

薫子は、紗絵子から「本気で好きというのはどういう事なのか?」
と問われ答えられずにいた。
薫子は店の外でお掃除しているとえれながやってくる。
薫子は爽太からは話を聞いていないのかと問うと、店の二階に
本命の人妻が転がり込んできて一緒にいるという。今入ったら
邪魔になるかもと告げる。友達なのにちゃんと話してくれない
なんて酷いねとつげ、言いづらいのも分かるし気を遣ってくれ
たのかなと語る。爽太なりに考えた結果だろうと語るえれな。
それを聞いた薫子はバカだと語り、良い子ぶっても彼女に負けた
のだとし、結局はずうずうしい女が勝つのだと語る。
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爽太は紗絵子へ気持ちのけじめとしてホワイトデーを境に決断
しようと考えていたが、予想していた事とは別に紗絵子が
爽太の元に飛び込んできたことを受けて、まさかの関係が築か
れていく。爽太は紗絵子に対して改めて愛を告白して半同棲状態
を続けていく。

紗絵子の行動の意図は無意識にも思えるけど、母親からの愛情を
受けなかったが為の愛情の欠落による所に起因しているという
ことが描かれ、紗絵子側からは決して愛しているという言葉が
出てこないところに複雑な事情を感じさせるものが有った。

夢に見ていたものを手にした途端にアイディアが浮かび上がらな
くなり創造性の欠如として現れていくところはなんとも言えない
ところが有るし、爽太にとっての幸せは本当に紗絵子との関係
を成就させるところに有るのかという面で興味深い指摘が有った
のではないかな。

興味深いのは、紗絵子が精神的に爽太を傷つけているのではないか
とする疑惑と同時に、紗絵子自身も夫の吉岡から肉体的暴力を
受けている事実があるということ。
暴力はよくないのだけど、吉岡自身が暴力に対して無頓着という
か、過感情故に制御できないのか分からないけど、どの人物も
結果的にこれまでの生活環境によって形成された人格に多少の問題
として発生してしまったのではないかなと思うところが有ると、
なんとも複雑なものがある。

しかしドラマの演出自体はここに来てかなり奇抜に彩った話だ
った。

それぞれの性格を表す主張を上手くぶつけあっているのがこの
ドラマの良さで、決して答えが一つではないというところが
有って視聴者自身に問いかけるところは上手く出来ているのだろう。

シンデレラの王子の従者の気持ちに対して、その辺の性格を
あぶり出す辺りのうまさとわかりやすさ。
「私がグラスの靴をたたき割って上げた」とする薫子さんの性格
が相変わらず突出して面白さを出していたけどね。

「共犯者」だと思っていた爽太は実は紗絵子からは共犯者にさえ
思われていないのではないかとする学生時代からの永遠の便利屋
としての存在感など、不安感も有って、恋愛に於ける相手の
気持ちの探り合いなど興味深く描かれている。

「小動DNA」の下りもとても面白くて、男性陣だけでなくまつり
もまた紗絵子にドクされていく所など、薫子が紗絵子に対する
恨みを持つ程に良い味を出して居る所があるね。

泊まりvs日帰りの構図。ばっきばきのチョコ。関谷からの
4文字のメール(くわしく)など、どの流れも面白いやりとりと
タイミングとして描かれていたと思う。演技者たちの沈黙や間合い
といったものが計算高く作ってあるんだよね。


小動爽太 …… 松本潤 (チョコレート専門店「ショコラ・ヴィ」)
高橋紗絵子 …… 石原さとみ (爽太の高校時代の1つ先輩)
井上薫子 …… 水川あさみ (「ショコラ・ヴィ」のベテランスタッフ)
オリヴィエ・トレルイエ …… 溝端淳平 (「ショコラ・ヴィ」のパティシエ)
加藤えれな …… 水原希子 (ファッションモデル)
小動まつり …… 有村架純 (爽太の妹で大学生)
六道誠之助 …… 佐藤隆太 (チョコレート専門店「RICDOR」)
小動誠 …… 竹中直人 (父、パティスリー「TOKIO」のオーナー)
関谷宏彰 …… 加藤シゲアキ (「RICDOR」の従業員)
吉岡幸彦 …… 眞島秀和 (紗絵子の婚約者、「グルメシーカ」副編集長)

小原雅人、畑井咲耶、斉藤舞子(アナ)、林田岬優

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)


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